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日本人の生産性が欧米にかなわない決定的な理由

日本人の生産性が欧米にかなわない決定的な理由

「生産性向上」はどんな会社にとっても追求すべき課題だ。

もちろん常に努力すべきだが、その前に企業の生産性を上げる取り組みの主体は、「現場」ではなく「人事部」だということは理解しておくべきだろう。生産性の大部分は人材育成と人材の配置で決まる。それは紛れもなく人事の仕事である。

この観点から、企業の生産性を最大化させるためにSWP(Strategic Workforce Planning)と呼ばれる人事手法を提唱しているのが『稼ぐ人財のつくり方 生産性を2倍にする「攻めの人事」』(日本経済新聞出版社刊)の著者で人事コンサルタントの山極毅さんだ。

今回はその山極さんにインタビュー。

個人や企業が生産性アップのためにどんなことをすべきかについて聞いた。

■「自分がいないと職場が回らない」は勘違い

――SWPを採用する大きなメリットの一つとして「生産性の向上」があります。日本人の生産性の低さはかねてから問題視されているところですが、この原因はどんなところにあるとお考えですか?

山極:特にサービス業に言えますが、「サービス過剰」ですよね。

「おもてなし」という言葉が有名になりましたが、これは「お客さんが幸せになるように尽くす」ということです。

この「おもてなし」が相手に感動を与えるのは確かだとしても、その対価をきちんともらっているかどうかを考えると過剰でもあります。本来高いサービスに対して、対価を取れていない面はあるのではないでしょうか。

それと、日本人の国民性として、過去からの積み重ねをすごく大事にするところがあって、そのせいか前例のある仕事や実績のある仕事が、今も必要なのかどうか検証されることなく続けられてしまう傾向もあります。これも生産性という面からはマイナスです。

会社の中には必要のない仕事もあります。だからこそ、「この仕事がなぜ必要なのか」という視点は持っていただきたいですね。その必要性についてもし人に説明できないようであれば、その仕事は不要なものなのかもしれません。

――個人としての生産性が下がってしまう働き方についてもお話を伺いたいです。長時間労働は結果として時間あたりの生産性を下げてしまうものですが、「自分がいないとこの職場は回らない」と考えて仕事を抱え込みすぎると、どうしてもこのパターンになってしまいますね。

山極:「自分がいないと仕事が回らない」は完全に勘違いで、そういう人は一度強制的にでも休ませて、自分がいなくても職場に何も問題は起きないということをわかってもらう必要があります。

もちろん、顧客対応があったり締め切りがあったりといった日に休むのはまずいですが、そこさえ気をつければ、どんなに仕事ができる人が休んでも何も問題は起こらないはずです。

――遅くまで残っている上司の手前、早く帰りにくいという声もよく耳にします。

山極:本来は上司が真っ先に休んだり、帰ったりするべきなんです。自慢ではないですが、私は日産にいた頃、部長職の人間の中で一番残業が少なかったんです。

――時間内にすべて仕事を終わらせていたということですか?

山極:いえ、終わらなくても帰るんです。それも、ものすごく中途半端でキリの悪いところであえて帰る。

――なぜですか?

山極:中途半端で切り上げれば翌朝はその続きから始めるわけで、前日キリのいいところまで終えて、翌朝新しいタスクを1から始めるよりも早く仕事に入っていけます。

人間のパフォーマンスは朝が一番高いことを考えると、全部終わらせて帰るというのは、生産性としてはあまり高くない。「キリのいいところまでがんばろう」などと思わずに、途中だろうと時間がきたら帰るという働き方の方が、個人としての生産性は上がると思います。

――働いている身としましては、海外との生産性の違いは不思議です。労働生産性の高い国の労働者と日本人労働者の働き方はどう違うのでしょうか。

山極:ひとつ注意していただきたいのは、国としての生産性というのは産業構造にもよります。ルクセンブルクが代表的ですが、金融業の多い国は概して生産性は高い。

ただ、それを差し引いても日本の労働生産性が低いのは確かです。では何が違うのかと考えると、欧米の労働生産性の高い国は家族と過ごす時間をものすごく大切にしますよね。

仕事と家族どっちが大切といったら当然家族でしょう。海外の方がその優先順位がはっきりしていて、家族を第一に考えて一緒に過ごす時間を確保したうえで、残りの時間で仕事に集中して取り組むというスタイルが定着しています。

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