心も体もあたたまる豚汁を鍋いっぱい作って毎日食べよう
みそ汁よりも具が多いというだけで、同じ「みそ」の「汁」でも特別扱いの豚汁。野菜もたっぷり取れて食物繊維も豊富、しかも肉まで入っているし。ほうとうを作ったときも思ったんですが、「肉と野菜を煮込む」料理というのは、しみじみおいしいですね。それに具だくさんだから、汁ものというよりも食べるみそ汁、主菜としても成立します。
そこで豚汁を自宅にある一番大きな鍋いっぱいに作り、朝食として1杯分だけ電子レンジで温めて飲む、夕食に弁当を買って帰ったら汁物として添えるなどして、毎日食べようではありませんか。インスタントみそ汁や粉末スープを飲むより、確実にいろんなものが満たされると思いますし、独身男性の偏りがちな食生活の改善にも一役買ってくれるはずです。
材料はこちら(22L鍋満タン分) 豚ばら肉 200g 大根 1/2本 にんじん 1本 こんにゃく 1個 油揚げ 2枚(入れなくてもOK) 下ゆで野菜 ささがきごぼう 200g 下ゆで野菜 里芋 170g
ごぼうと里芋は下準備が大変なので、皮むき、下ゆで、アク抜き処理が施されたものを買いました。使うのは初めてなので、味にどのような影響があるかは作ってみなければわかりません。ささがきはかなり薄めにスライスされています。
にんじんと大根はいちょう切り、こんにゃくは厚さを1/2にしてから短冊切りに。よく「こんにゃくは下ゆでしておく」とありますが、面倒なのでしません。下ゆでしなかったことで後悔する出来栄えになったことも、一度もありません。
豚ばら肉はお好みの大きさに、油揚げは大きめにカット。小さすぎるとぼろぼろに分解してしまいます。
まずは鍋に適量のごま油を入れ、豚ばら肉を炒めます。
だいたい火が通ったら、その上に刻んだ具材をすべて投入。
ちょ……!
大丈夫かこれ……。
とりあえず、吹きこぼれしない程度の水を入れます。今回は900ccが限界でした。22cmサイズの鍋では、これだけの具を入れると1Lは無理ですね。24cm鍋なら余裕でいけるはず。
まずは具材に火を通します。
撮影のためふたを開けていますが、基本ふたは閉じっぱなしで。当たり前ですが熱が逃げず、火の通りも早いです。
具材に火が通ったら、顆粒だしの素大1/2と、味噌大3を加えます。味噌はこの量だとやや薄味。火を通すごとに煮詰まるので、最初は少なめのほうがいいかもしれませんが、味見してもの足りない人は大4にしてください。
具材がほんのり色づいたらできあがり!
なんという美しさ……!
豚汁は日本人のソウルフードのひとつかもしれません……。いやきっとそうだ、そうに違いない……!
味ですが、もちろんウマいです。ただ、ごぼうや里芋のアク抜きがされている分、ややあっさりしているかもしれない。ごぼうの薄すぎる食感も残念です。やっぱり野菜の持つえぐみはうま味にも通じているのでしょう。ここは「面倒でも自分で処理する」か、「面倒だから食感や若干のコク不足は容認する」か、それぞれのご判断で。
ちなみに、この1杯分をよそった後の鍋はこんな感じ。具、多い! 翌日は汁だけ追加するのもありですね。
豚汁で煮込みうどんとか、卵も落として豚汁雑炊とかもおいしそうです。
なお、最初にごま油で豚肉を炒めましたが、その工程は省いても大丈夫です。筆者はどちらかといえば炒めないほうが好き。ごま油の香りがないほうが、豚ばら肉の脂の甘みが引き立つ気がします。
鍋ごと冷蔵庫に入らない場合は、小さな鍋に小分けしてください。小さな鍋がない場合は、プラ容器に。それもない場合は、ジッパー付きの保存袋に1食分ずつ入れて冷蔵保存してください。まとめて作っても大丈夫、ちゃんと冷蔵庫に保存する手段はありますから。
「椿あきら」の顔写真になっている「椿」が他界し、半月ほど経ったとき、自宅のコンロにうっすら埃が溜まっていることに気づきました。料理をしていないどころか、温かいものを食べていなかったんですね。
その後、この記事のために作った豚汁は、ごぼうの食感がもの足りなくてもしみじみおいしく、染みました。温かい食べ物は人をいやします。みなさんも健康のためだけでなく、しんどいことがあったときは、どうかあったかいもの食べてください。
書いた人:椿あきら
猫の下僕をしているライターです。猫と暮らすようになってから、断然家飲み派になりました。著書に『オリンピックと自衛隊 1964-2020』(並木書房)。 Twitter:@nananatsubaki
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