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西加奈子、最新作『i』に込めた願い

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西加奈子、最新作『i』に込めた願い
J-WAVEで放送中の「〜JK RADIO〜TOKYO UNITED」(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「antenna* THE HIDDEN STORY 〜CURATING@NOW〜」。3月17日(金)のオンエアでは、作家・西加奈子さんに本屋大賞の最終候補にもノミネートされた小説『i』について執筆秘話を伺いました。

直木賞を受賞した『サラバ!』から2年、西加奈子さんの新作『i』は昨年末に発表されました。西さんは、最初にLGBTQの「Q」=「Questioning」という「まだ自分のセクシャリティを決めかねている概念」が素晴らしいと思い、その「Q」のことを書きたいと思ったそうです。しかしじっくり考えるうちに、LやBやQの前に「人間がもし一番最初に属するアルファベットがあるとしたら『i』、私自身の『i』なんじゃないか」と思い、着想を持ち始めたのが1年前でした。世界が激動している中で「自分って何だろう」と自身も思っていて、「そのことを書かないのは嘘だろう」と思って書き始めたのだそうです。

主人公の名前は、ワイルド曽田アイ。シリア出身で、生まれて間もない頃、ニューヨークの夫婦のもとに養子としてやってきました。アイを育てたお父さんはアメリカ人、お母さんは日本人。アイは、大変な状況にあるシリアから自分だけが困難をまぬがれ、裕福な家庭で育てられた、と考えています。

シリアにルーツがある主人公アイという設定について、西さんは「いろいろ飛び込んでくるニュースの中でシリアのことに一番胸がえぐられ無視できなかった」と、その理由を話しました。日本人である西さんも、たまたまシリアに生まれていないだけで「まぬがれている」という感覚があり、日本という比較的平和な国にいることは偶然だという思いから「もしシリアにルーツがあったらどういう気持ちだろう」と考えたそうです。

小説『i』は、2001年のアメリカ同時多発テロを始め世界に衝撃を与えた事件・事故と共に進行し、主人公アイが、悲しい出来事で亡くなった人の数をノートに書き留めていきます。この気持ちについて「自分もそうなのですが、例えば寄付をすることで義務を果たしたとホッとする気持ちとかあると思うんですよね。ニュースでも『私は知っていて苦しんでいる』ということに安心してしまって、それが本当に嫌だったんです。でも『それも悪くないんだ、スタートでもあるんだ』と私自身にも言いたかったし、アイちゃんにも言いたかったんだな、というのを書き上げてから思いました」と語りました。

成長の過程でアイが日本に移り住み、さまざまな人々との出会いが彼女の人生を動かしていくという物語、続きはぜひ本を読んでいただきたいのですが、西さんは、主人公アイと、親友のミナ、大切な男性であるユウという3人の登場人物について、こう語ります。

「ミナちゃんという親友は、『all』(皆)という世界の一員でありたいなという思いを込めてます。今は『i』という個人が『all』がいるから存在している状況で、例えば『国があるからあなたがいる』というのは怖いなと思って。『i』と『all』はイーブンな関係でいいし、支え合っていける世界と個人でありたいです。ユウ(you)も他者なので、自分もそういう関係性を築きたいと願いを込めました」

最後に西さんは、「理解できなくても愛することができると言ってくれるような世界であってほしいです。自分自身もすぐに殻を作って、ボーダーを作ってしまう人間なので、いつだって私より小説のほうが勇敢で、こうでありたいってことを書いています」と力強く語ってくれました。

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【番組情報】
番組名:「〜JK RADIO〜TOKYO UNITED」
放送日時:毎週金曜 6時ー11時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/

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