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街で見かけた服の類似商品を数ミリ秒で検索。Yahoo! JAPAN研究所「高次元ベクトル近傍検索(NGT)」の威力とは──

画像をベクトルデータ化。最短距離で類似商品を探す

例えば、音楽を聴いている友だちのヘッドホンがかっこよくて、自分も欲しいと思ったとき。普通なら商品名を確認したり、バーコードを読み取ったり、ショッピングサイトで探したりしませんか?

「画像に写っている物体とまったく同一のものが写った画像を膨大なデータベースから発見する処理は、計算機科学では『特定物体認識』と呼ばれています。物体特有の特徴が現れており、かつデータベースが整備されていれば、認識は比較的容易です。実験アプリ『サイヤスカメラ』で使われている技術がこれです。撮影した商品を最安値で販売している店舗を『Yahoo!ショッピング』内から検索できます。

現在は、同時には三つか四つまでの異なる商品の検索しかできませんが、いずれはもっと対象を増やせるようになります。例えば、スーパーのペットボトルの陳列棚をさっと撮影して、そのうち特殊なアレルギー体質の人には不適な商品だけをより分けるというような使い方も可能になるでしょう」

と語る、Yahoo! JAPAN研究所の岩崎雅二郎上席研究員。商品やパッケージ自体が容易には変形しないソリッドな形をしていれば、特定物体認識はより簡単になりますが、問題は認識時間です。

Yahoo! JAPAN研究所 岩崎 雅二郎氏

また、商品検索ではこんなニーズもあります。

「街ですれちがったあの女性のワンピース、紫がとてもきれい。あの色のバッグと合わせたらステキよね」

ひらひらと風に舞うワンピースは、形状が複雑でその全体をなかなか写真に収めにくいもの。しかしその特徴の一部でもわかれば、なんとか似たような色のバッグを探せる手だてがあるのです。

Yahoo! JAPANラボが実験的に提供する「FashionNavi」というサイトでは、画面左上のカラーピッカーから好みの色のポイントをクリックするだけでその色の商品を検索することができます。

さらに、商品画像一覧の中から類似検索したい商品を選択して検索することも可能です。見た目の特徴から似ている商品を瞬時に検索する。これは「類似商品検索」と呼ばれています。

特定物体認識も類似商品検索も、コアにあるのは人や物や商品の画像をベクトルデータで表現する技術。例えば、商品を色:模様:形状:種別:価格:メーカーなどにカテゴリー化し、それぞれに区別された番号をふっておきます。すると、対象の商品をすべて数字に置き換えることができるのです。

なんらかの商品が写っている画像についても、特徴を表すデータを付与することで、ベクトルデータ化することが可能です。

ある商品に類似する商品を探したいときは、あるベクトルデータに類似するデータを探せば解決。言い換えれば、あるベクトルデータに近いデータをベクトル空間上で検索すればよいことになります。これを近傍検索と呼びます。

物体や商品をベクトルデータ化し、データの検索・照合を通して、そのものがなんであるかを特定したり、似たような商品を探したりする研究は、いま世界で盛んに行われています。ビッグデータ分析やディープラーニングの精度を高めるためには不可欠の技術だからです。

「次元の呪い」を振り払う高速インデックス技術が鍵に

サイヤスカメラやFashionNaviで使われているのは、Yahoo! JAPAN研究所が独自に開発したオブジェクト抽出および類似画像検索の技術。FashionNaviでは商品画像から1000次元(商品特徴を表す種別数が1000個あるということ)を超えるベクトルデータを画像の特徴として抽出して検索します。

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