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役割付与が認知症高齢者に与える影響とは?実例をご紹介!

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以前、私のコラム記事でお伝えいたしましたが、「役割を与える」ことは、認知症高齢者にとってとても大切です。役割付与により、「自分が必要とされている」という承認欲求が満たされます。今回は、私が実践させていただいていた方法をご紹介いたします。

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事例その1:鈴木さん(仮名)83歳女性、認知症・関節リウマチ

認知症によるBPSD(徘徊・弄便・大声など)が出現し、特別養護老人ホームへ入所となる。園芸療法を用いて介入。定期的に水やり、土の撹拌を職員とともに行う。
介入1週間目
落ち着きなく周囲を徘徊。徘徊に付き添いながら園芸場所を通るように誘導する。
介入1ヶ月後
徘徊行動に付き添いながら、園芸場所で休息を取り入れる。植物の成長を覚えており、「ツルが前よりも伸びている」などと発言あり。
介入2ヶ月後

水やり開始。定時に水遣りへの参加を促す。
介入3ヶ月後
水やりの時間になると自ら準備する。この頃から弄便行為は観察されず。
介入6ヶ月後
一時外泊で自宅に帰った際、自宅から化学肥料を持ち帰ってくるなど、植物の世話をしている記憶が保持されている。
介入1年後
持病の関節リウマチの悪化により車椅子移動となるが、毎日の水やりは欠かさず行う。

入所当初は弄便行為や大声を出すなどの行為が観察されていましたが、園芸療法介入1年後には自ら進んで水やりを行ったり、他の高齢者とともに収穫作業を行うなったりと、社会性も高まりました。介入時のポイントとしては「褒める」ことを多用したことです。「鈴木さんのおかげで植物も大きく育っていますよ」などと伝え続けていました。

事例その2:佐藤さん(仮名)71歳女性、脳梗塞・認知症・心筋梗塞

ご主人と二人で暮らしていたが、火の消し忘れなどの認知症症状や下肢筋力低下による転倒が多くなる。そのため自宅では殆ど活動する事がなくなり、施設への入所となる。佐藤さんが調理方法を選択・決定し、毎週定期的におやつ作りに参加して頂く。


介入1ヶ月目
火の消し忘れは続いており、鍋焦がしが見られる。
介入2ヶ月後
立位での活動が多かったため、下肢筋力の強化が図れ安定した立位保持が可能となる。
介入3ヶ月後
同じフロアの入居者から「あなたの味付けが最高だ」と言われたことがきっかけで、食材の選択もしたいとの希望あり、食材の選択にも関わるようになる。
介入6ヶ月後
調理時の動作パターンが一定化したため、火の消し忘れはほとんど観察されなくなる。

仲間からの承認で症状が改善

2人に共通したことは、他の入居者からダイレクトに反応が返ってきた事です。「あなたの作る野菜は大きく育っているね」「あなたの味付けは美味しいね」と伝えられたことが、本人のやる気に繋がったようです。妻として何十年も家族を支え続けてこられたお二人は、老化とともに出来ないことが増えてしまい、それが引き金となり活動性が低下していました。

今回役割を付与したことが、認知症状の改善につながったケースですが、もちろんスムーズに介入ができないことも多くあります。しかし、直接的な介入ができなくても徘徊されている利用者に対し、「いつも皆さんのために安全を確認して頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします」と伝え続けていると、「次はどこを確認したらいいのかしら」と変化されることも多々あります。

さいごに

役割の与え方は、認知症高齢者個人で違います。その方にあった役割を付与し、認知症高齢者の自尊心、承認欲求を満たす介護方法も検討していただければと思います。

この記事を書いた人

中村洋文

鹿児島県沖永良部島出身
介護福祉士 / 理学療法士 / 実務者研修教員/その他
病院、知的障害者施設、デイサービス管理者、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム等の医療・福祉施設にて勤務。現場だけではなく、行政側の立場としても市役所勤務の中で介護保険にも携わる。介護保険認定審査委員も歴任。現在、福祉系専門学校での講師及び居宅介護支援事業所、訪問看護等の介護保険事業を手掛ける会社の共同代表として活動中。介護医療現場、また行政側の様々な経験をもとに認知症高齢者本人とその家族の想いを教育現場や全国各地での講演会等で発信しています。

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