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フリーランスエンジニアが考える「フリーランスエンジニア」という働き方とキャリア形成とは?

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フリーランスって、実際どう?

この記事では、業界大手のフリーランスエンジニア専門エージェント「レバテックフリーランス」を運営するレバレジーズのDevelopers Summit 2017のセッション、および登壇者への追加取材をもとに「フリーランスエンジニア」という働き方を考えてみたい。

レバレジーズがフリーランスという働き方をフリーランスのエンジニア自身の言葉で伝えたいという意図で行ったセッション「エンジニアのキャリア形成における、フリーランスの位置付けとは」より(左から進行のレバレジーズ株式会社 レバテック事業部 事業部長 林英司 氏、合同会社ほげ技研代表社員 小山哲志 氏、フリーランス 水野竜与志氏)

前提条件として、二人がフリーランスになった経緯だが、「流れのまま」という小山氏に対し、水野氏の場合は将来的に目指しているスタートアップの途上でのフリーランスというスタンス。これまでの経験やバックボーンなども含めて、収入やモチベーション、仕事を維持するためにしていることなど、フリーランスの実際のところを語ってくれた。

まず、気になるところとしては「収入」だ。会社員時代と比べて良くなるのか、悪くなるのか。大体の想像はつくが、実際のところはどうなのだろうか?

水野:実績を詰めば積むほど、年々収入は上がってきています。初年度に関しては、会社員時代に比べて手取りで1.5倍くらいでした。ただ、これが難しいところで初年度は手取りが魔法みたいに増えたと思っていたんですが、フタを開けてみると、翌年の住民税が増えたり、事業所得税などがかかってきました。会社員のときと比べて確かに手取りは多いんですが。なので、活動内容や人との関わり方にもよりますが、一概にみんなが揃って正社員よりも多いとは言えないですね。

水野氏は、2年間会社員として会計事務所系のサービス(コンサル)に従事し、その後、WebのUI/UXのクリエイター&サーバサイドのエンジニアとしてフリーランスで働く。フリーランスになり、いま4年目。1年目のこの失敗で2年目で以降は税金対策を学ぶべく、セミナーに参加するなどして勉強したという。

一方、最近は優秀なエンジニアにきちんと対価を払うという流れも一部のベンチャーに見られる現象で、どっちがいいというのはあまりないのではないかというのは小山氏。

小山:結果を出して、やり続けることで単価の良い仕事につながる。そこで稼ぎ続けることは、場合によっては可能だと思います。ただ、フリーランスは仕事がなければガクッと収入は下がります。発注側のタイミングもありコントロールできないことが多いため、蓄えがないとつらいかなと思います。

エンジニアとしてのキャリアが長い小山氏。仕事がなくなったときに次の仕込みをしたり、記事を書いたり、次に繋がる何かをすることが重要だと指摘する。

小山氏というとOSSのコミュニティ活動やブログや雑誌などへの技術記事の寄稿など、活発な情報発信を行っている。TwitterやFacebookなどの日々の投稿でよく小山氏のアイコンを見かけるという人も多いはず。こうした情報発信は、エンジニアとして技術的になまらないために意識して行っていることだ。

小山:IT業界は次々と新しいものが出てくるので、興味のあるものがあれば突っ込んで調べる、というのをやり続けています。特に3年くらい前から、何か興味があるものに関して発信することは意識をしてやっています。発信するところに情報が集まるというのはネットコミュニケーション時代の摂理なので。

この点は水野氏も同様の考えだ。「自分をブランディングする」という言い方を用いるが、仕事を提供してくれる人に必要とされるためにはどうすればいいかという観点で、サーバサイドに強いUIクリエイター、デザインよりのサーバサイドエンジニアとして自分に必要なスキルを定め、身に付ける努力をしているという。

フリーランスの仕事はどこから来る?

フリーランスが成り立つには外部から仕事を依頼され、「継続的に仕事がある」状態にする必要があるわけだが、どういう流れでそう持っていくのだろうか。エージェントサービスやクラウドソーシングサービスなどのキャリア支援サービスは世の中には数多く存在する。もちろん、そうしたサービスをとっかかりにする場合もある。

水野氏は選択肢を広げるという意味でレバテックフリーランスを利用している。フリーランスになった当初は、エンジニアやクリエイター同士の交流会・イベントで出会った人、会社員時代に取引のあったクライアントから紹介してもらう形だった。

しかし、それだけではなかなか自分の欲しいスキルのある案件に行き当たらない。エージェントサービスを使うことで、希望要件のクライアントが探しやすくなったという。

小山氏は、友だちや知り合いから来る仕事とタイミングやスキルなどの条件がうまくマッチングすればやるという形に自然になっている。これはキャリアがあり、コミュニティに顔が広い小山氏の強みといえる。ただ、そこでなんとなくこなしているというのではないのがポイント。

小山:なるべく相手の立場に立つような気持ちでやろうと。多少無理でも、これは必要だなと思ったらちょっと採算度外視してもやっちゃうくらいのことはやっています。小山に頼んで良かったという感想を持っていただけるのが大事だと思っています。

どの仕事、どの立場でも同じだと思うが、要はやはり信頼関係ということ。特に、フリーランスの場合、それが最重要の要素になってくる。この人に頼めば想定以上の結果を出してくれる、と相手との間に信頼関係が築ければ継続的に仕事が来る状態になる。

とはいえ、これはクライアントの言うことを何でもきくということではない。小山氏の言葉を借りると「がんばるところはがんばって、突っぱねるところは突っぱねる」となる。対等に信頼関係を築くことが肝心だ。

「社員にしかできないこと」とフリーランスが「自分でやらなければならないこと」

フリーランスと社員、立場の違いはプロジェクトへの関わり方にも影響してくるのだろうか? 林氏が具体的に上げたのは、「フリーランスの場合、社員とは異なりコアな部分の開発に関与できないのではないか」という懸念だ。

水野:私は基本、現場でこれができます、これがしたいですと主張するので、コアな部分に触っています。やり方次第だと思います。コアな部分に触れなくてもどかしいというのは工夫をしていないからだと思います。だとすれば、どうすれば自分が触れるようになるか? クライアントとの信頼度であったり、自分のスキルであったり、足りない部分を補うよう現場で活動をすればよいのでは……。信頼さえあれば、そもそもそういったことはおきないと思っています。

小山:私の場合、基本的に作り直しとかそういうのが多いんです。そのため、コアというか設計から全部やるようなことが多いですね。やはり案件次第、ケースバイケースというところなのかなと思います。フリーランスだからコアにはさわらせないというクライアントもあるでしょうけど、そうでないところもいっぱいありますよということだと思います。

このように実際の仕事においてはフリーランスだから、社員だからという敷居はあまりないという二人だが、一方、「チームに入り込んでチームビルディングする」ことは会社の中にいないとできないという。

「この組織をこう強くしていきたい」と考えたとして、フリーランスの立場で関わっている場合、なかなか周囲の理解を得ることが難しい。社員とフリーランスでは、周囲からの見え方も違う。たとえば、フリーランスの人が何を言っても「この人、いつまでいるかわからないし……」ということになりがちだ。

小山:チームで会社のミッションにコミットするということは、フリーランスではおそらく限界がある。会社とともに自分も成長して、会社も大きくなっていくという成長物語を描くのはたぶん社員じゃないと難しいと思います。

小山氏は大型案件のプロジェクトチームを通し、自分もチームとともにスキルアップしたいと考える場合、フリーランスになることでもしかしたらそういう機会を失う可能性があると指摘する。

逆に、(案件によっては現場で勤務の場合もあるが)同期や先輩・後輩が周囲にいないという環境では、自身のモチベーションの維持、時間の使い方など、完全に自分だけでマネジメントしなければならない。いわゆる自己管理能力ともいえる部分は、仕事の質とともにシビアに求められる。

ただ、セルフマネジメントは活動をしているうちに自然とできるようになるのではないかと水野氏は話す。つまり、スキル的にできない人はいない。エージェントサービスやクラウドソーシングサービスといった支援ツールも日本には多い。あとはマインドの問題なのだ、と。

小山氏、水野氏、二人を通して見えてくるフリーランスに必要なマインドは、
自分の時間をコントロールしたい(できる)
枠に縛られない、自分の仕事に自分で挑戦していく

といった点になる。

仕事のないときもモチベーションを維持し、インプット・アウトプットをする。結果的に、それが次の仕事につながる。要は、「自分の時間をどう使うかというのを意識する」(小山氏)こと。また、水野氏は将来のスタートアップ事業のリハーサルとしてのフリーランス。そのことから、「枠に縛られない、自分の仕事に自分で挑戦していきたいという方が向いていると思う」という(水野氏)。

フリーランスに限らず、これらは「働く人」には共通して言えることかもしれないが、特にフリーランスでは必須マインドといえる。

フリーランスを取り巻く環境の変化

技術の進化が激しいIT業界、フリーランスを取り巻く環境の変化も著しい。

小山:以前よりも、フリーランスに対するネガティブなイメージがだんだんなくなってきているのを感じます。会社に所属していなくても、いろいろな仕事をやっていてそれなりにお金を稼いでいるという実例が出てきているからだと思いますね。

実際、キャリアアドバイザーである林氏も「年々、フリーランスと正社員の垣根がなくなってきている感覚だ」という。

以前なら、フリーランス以降のキャリアパスとして多かったのが法人化、会社組織にするという流れだったが、いまは片道通行ではなく、フリーランスでしばらく働いたあとまた正社員で他の会社に入社するというように、「フリーランス」と「会社員」を自由に行き来するようになった。

:見ていると、フリーランスの経歴がマイナスになることがそんなにない。「この期間フリーランスでした」というのが正社員に戻るときのデメリットになることってあまりないんです。

また、今回のセミナー終了後に登壇者を囲んだ質問コーナーで盛り上がったテーマが「地方とエンジニア」だ。エンジニアの働き方として、Iターン、Uターンという動きも珍しくない。十分かというとまだいろいろ十分ではないところもあるが、それでも地方でのこうした動きは増えてきている。

小山:コミュニティが広めていったという側面もあります。コミュニティが地方にできて、そのコミュニティをバックアップする企業が地方にブランチを作って……という流れも多いです。
さくらインターネットさんなど、福岡にオフィスを作るという話もあります(*1)。こうした流れがいま起きています。逆にそうでもしないと東京ではもう人が採れないんですよ。そもそも、人が足りない。
じゃあ地方にそういう人がいないかというとそういうわけではなくて、いろいろな事情で東京には出れないけれど、地方で技術を持っている人はたくさんいる。いかにそういう人たちを取り込むかというのがいまのベンチャーさんの流れだと思います。
(*1)2/14、さくらインターネット、アカツキ、ピクシブ、メルカリの4社が福岡市に新オフィスを開設することを発表した。

働き方の軸は「自分のしたいこと」

フリーランスにはリスクがあることも事実だ。全然仕事がなくて……という話がないわけではない。向き不向きの話をしても、最終的には自分の判断になる。ただ、選択肢の1つとして考えておくのはアリだ。

最後は、それぞれ登壇の3人からのメッセージを。

:エンジニアの方はすごく転職歴はあっても、確かにこれをやりましたというものがあれば就職できます。会社側も考え方が変わってきています。嫌なことをがんばっているなら、一歩踏み出すのもありです。

水野:これは自分に対しての言葉でもありますが、フリーランスも正社員も、自分で会社を作るのも選択肢の1つ。根底として何がしたいかがすごく重要。もし、どうしてもこれがやりたいというとき、会社でその環境が作れるのであればいい。何がしたいかの基準で行動していかないと、フリーランスで活動していくにしてもどこかで詰まってしまうと思います。

小山:自分に何が向いているかというのは、実は自分でもよくわからない。思い込むことはできるけどそれが間違えていたら最悪ですし。がんばって思い込むよりは、自分が何をしたいかを軸に自分で自分を観察する。こういうとき自分が逃げるな、嫌だなというものを丹念に拾っていく。すると、本当に何がしたいかが見えてくるんじゃないかなと思います。

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