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門前仲町「三幸苑」で町中華史上、前代未聞の“事件”が起きている【えっ寿司!?】

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町中華をただ食べ歩くというゆるい団体「町中華探検隊」に属しているんだけど、ひとりの隊員から驚きの情報が寄せられた。

なんと、東京・門前仲町にある町中華のお店がメニューに寿司や海鮮丼を出し始めたという。ここ数年、精力的に町中華を食べ歩いてきたつもりだが、そんなお店は聞いたことがない。本当なら、これはもう事件だ。

『メシ通』ディレクターであるムナカタも「町中華探検隊」の隊員なんだけど、この情報に対して即座に反応、「ぜひ真相を確かめてみましょうよ」と誘う。

よっしゃー、行くかぁ。

マジか! バラちらし+餃子

というわけで、東京メトロ東西線の門前仲町駅2番出口を上がったところで待ち合わせ。駅を出てすぐに南方向へ歩き、大横川にかかる巴橋を渡り、2本目の道を左へ。

道すがら、ムナカタが「寿司、おいしかったら取材交渉をしましょう」と言う。「じゃ、まずかったら?」と僕。

「そのまま黙って出てきましょう」と苦笑い。

「なにかサインを決めておこうか」

「そうですね、じゃあ、鼻をさわったら、『おいしい』。耳をさわったら『まずい』ということで」とムナカタ。さて、どうなることやら。

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おっ、見えてきました、「三幸苑」。

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ムナカタが「ほら見てください、この貼り紙」と指さす。

海鮮丼、にぎり、さらに「ミニバラちらしと+ぎょうざ」なんてセットメニューがある。やっぱりこんな中華料理店、見たことがない。

とにかく入ってみよう。

時刻は午後2時前なんだけれどけっこう混んでいる。

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見る限りは、ごく普通の中華料理店だ(お客さんがいなくなったのを見計らって撮影)。

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とりあえず着席。

ムナカタが注文したのは、「ミニばらちらし+ぎょうざ(1人前)」750円。

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まずは餃子が到着。

ひとつもらったけれど、かなりおいしい。肉率が高いというか、肉汁じゅわっと口に広がってくるね。

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ほどなくしてミニばらちらしが運ばれてきた。小ぶりながらこの充実ぶり。

ま、ガッツリ海鮮とまではいかないが、町の中華料理店ではまずお目にかかれないメニューである。

見れば見るほど、仕事の細かさが伝わってくる。

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そして、スープも到着して、セットメニューが勢ぞろい。

よく見て欲しい、この景色。

普通じゃありえないビジュアルだ。

事件は確かにテーブルの上で起きていた。

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そして小皿が二つ到着。

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えっと、これは、ミニばらちらし用の醤油と餃子のタレ用だ。

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で、タレなどを入れて改めて見るとこんな感じ。

第一の現場検証、完了である。

握りとラーメンが絶妙マッチ

一方、僕はにぎり(850円)とラーメン(570円)を注文。

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まずは、ラーメンが到着。

魚介系のスープで、麺はもっちりしたかんじ。

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そして、にぎり寿司が到着。

イカには包丁が入れてあるし、見たところかなりの本格派。

言っておくがここは寿司店でも、海鮮居酒屋さんでもない。町の中華料理店なのだ。

しかし百見は一食にしかず。

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まずは、マグロがマグロを食べる。

これはおいしい。いいマグロですね。

実は僕、名前がマグロだけど、あまりマグロは好きじゃないんだよね。そんなマグロが苦手な僕でもおいしくいただける。

あれっ、見慣れないネタがあるぞ。

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想像はつくけど、ちょっといただいてみよう。

あー、これはチャーシューにツメが塗られている。ツメといえば普通は穴子なんだけれど、これ合うのかねぇ。

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おっ、けっこうイケるね。チャーシューと酢飯、合うねぇ。

そして意外なことにラーメンと寿司って合う。

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これはイケる。うまい、うまい。

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あー、不思議な満足感が込み上げてくるぞ。

腹いっぱいだ。

ムナカタを見ると、鼻をさわっていた。僕も鼻をさわり、「お会計お願いします」とお店の人に告げた。

真相は本当だった。噂はウソじゃなかった。が、驚いたのは事件であることすら忘れさせられるくらい寿司自体が本格的だったことだ。

本物感ありまくりの海鮮丼

数日後、「町中華探検隊」のみなさんで、再訪問。

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昼の11時半に集合し、寿司を出していることを教えてくれた隊員の先導でお店へ。

おっ、店内お客さんでいっぱいだ。

理由はこちら。

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多くのお客さんがタンメンを頼んでいた。

なんだかこのお店、寿司だけじゃなくていろいろと奥が深いね。というわけで、タンメン。瓶ビールも頼んで、ズルズル。

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さすが中華のお店、間違いない味わいだ。

そして、海鮮丼をいただいた。

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見た目はもう銀座あたりの寿司店で食べる海鮮丼ランチみたいだが、にぎり同様においしい。850円でこれはうれしいね。というわけで、お会計時に寿司職人さんを取材させてもらうお願いをし、日時を決めた。

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と、このお店の常連である探検隊員が「お客さんカードを」とお店の人に言われている。このお店、スタンプカードがあるようだ。スタンプがたまると餃子がもらえるそうだ。あの餃子なら、スタンプをためてでも食べたい気がする。

常連客を寿司職人としてスカウト

というわけで、改めて取材にうかがったのは昼休み時間に入った午後2時。いったいどういう人が寿司を握っているんだろうか。

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左の方が二代目の永野信行さん。このお店自体は先代の父親が始めたのだけれど、交通事故に遭ったために、よそで働いていた信行さんが戻ってきて二代目として働いているのだそうだ。

そして右側が寿司職人の小仲井豊さん。どうやらこの人が事件となる「海鮮モノ」を一手に引き受けているらしい。

ふだんはお店の奥の見えないスペースで寿司を握っているそうなのだが、今回は特別に寿司を握るところを見せてくれるという。

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小仲井さんに聞いてみる。

いつもはどちらで握っていらっしゃるんですか?

中華の厨房っていうのは熱がありますでしょ、寿司は熱を嫌いますので、奥の部屋で握っているんですよ。

本日の材料はこちら。すでにお昼の営業でなくなったネタもあるとか。

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まず、なんで中華料理店で寿司を出そうと思ったんですか、と二代目に聞いてみる。

寿司メニューは去年(2016年)の11月から始めたんですよ。中華で寿司を出すのっておもしろいかなって、前から思っていたもので。ただ、私は寿司は握れないから、小仲井さんに全部お任せしようと思って。(永野さん)

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寿司職人の小仲井さんはどういうきっかけでこのお店を手伝うようになったのだろう。

私はもともとこちらのお客さんだったわけ。父が寿司職人で、父に教わって寿司を握るようになったんですが、その後、寿司職人をやめて、まったく別の仕事をしていたんです。でも、30年ぶりに寿司を握ってみないかとこちらの二代目の若旦那に言われましてね。まあ、若旦那に言われちゃ、断れないですよ。(小仲井さん)

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実は小仲井さん、こちらのお店の方々と一緒に旅行にも行くほどの仲なのだとか。ちょっとした時に寿司も握ってみなさんにふるまっていたそうで、職人としての技量もよく知っていたわけだ。

つまり、二代目の長野さんがスカウトした、というわけか。名プロデューサーである。

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ちなみにこちらのお店は、残念ながら昨年お店を閉めてしまった横浜の桜木町にあった「三幸苑」ののれん分けのお店だそうだ。

お話を聞いている間、ムナカタが寿司を握る手元の写真を撮ろうとするが、動きが速くてうまく撮れないようだ。スローモーションで握ってもらっている。なんだかやりにくそう。

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ところで、小仲井さん、仕入れはどうしていらっしゃるんですか?

毎朝、築地で仕入れているんですよ。仕入れるものによって、その日のネタが決まるってことですね。

そんなこんなで、にぎりが完成。

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「イカとか今日は出ちゃったんで、こんなんですみません」と小仲井さん。もちろん問題ないですよ、しかしうまそうだねぇ。

ウチの海鮮丼にはけっこう江戸前のワザが入っているんです。中でも、この“おぼろ”はタラから作った自家製なんですよ。(小仲井さん)

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“おぼろ”、あるいは“でんぶ”ともいうけれど、確かにこれがおいしいと海鮮丼もしまるね。

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そう、この部分ね。ほのかに白身魚の味がして美味いんだ。

というわけで、海鮮丼 850円も完成。

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うん、やっぱりこれホンモノだ!

いやぁ、ごちそうさまでした。

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寿司メニューの発展、期待しておりますよ。

なんたってこれは前代未聞の事件なんだから!

お店情報

三幸苑(さんこうえん)

住所:東京都江東区牡丹3-7-6

電話番号:03ー3641ー8791

営業時間:11:00~14:00、17:00~20:30(土曜日は〜20:00)

定休日:日曜日

※この記事は2017年2月の情報です。

※金額はすべて税込みです。

書いた人:下関マグロ

下関マグロ

1958年生まれ。山口県出身。出版社、編集プロダクションを経てフリーライターへ。『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『歩考力』(ナショナル出版)『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)など著書多数。 Twitter:@maguro_shimo

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