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「昔の社会には”闇”があった」 元”トップ屋”大下英治、記者時代を語る

元週刊誌記者の作家・大下英治氏

 かつて雑誌「週刊文春」で、13年間にわたり”トップ屋”(主にトップ記事を執筆する契約記者)として活躍した作家の大下英治氏が2012年1月27日、BSジャパン『勝間和代#デキビジ』に出演した。

■「怪物には、コンプレックスや歪みがある」

 これまで政界・財界・芸能界など、業界を問わず社会の裏側と、その世界にいる人間をリアルに描いてきた大下氏、好きな人物は田中角栄元首相など”怪物”と称される人。大下氏は「”怪物”と呼ばれる人々は、どこかコンプレックスや歪みを持っている。キザにいえば、地獄を見ている人たち」と語り、そのコンプレックスや歪みが人間的な魅力につながっているという。そんな人を容易に近づけない”怪物”から話を聞き出すのは至難の業だが、大下氏は取材のコツについて、

「取材で難しいのは、相手と平行線であること。高い目線から無理やり相手に合わせようとすると、相手は敏感に(バカにされていると)感じ取ってしまう。かといって、下から目線で無理やり調子を合わせても面白くない」

と述べた。

■「一日5人の人間に会ったら、スクープをつかんだ」
 
 番組の後半では、大下氏のスクープした1982年の「三越事件」(老舗デパート・三越に関わる一連のスキャンダル事件)の話題に。先輩から「一日、5人の人間と会え」と言われ、実践しているうちに、三越事件のネタをつかんだ。内部密告者への取材の際は、密告者を守るために取材場所を毎回変えた。当時の三越には社員を監視する「秘密警察のような部門」があったからだという。このような泥臭い取材活動に対し、司会の勝間氏が「今のジャーナリズムはどうなのか。同じように作られているのか」と、質問を投げかけた。これについて大下氏は、

「昔の方が”闇”があって、(取材が)やりやすかったと思う。企業のコンプライアンスという言葉も馴染みが薄かった。今は民主的にはなったが、”闇”が小さくなったから、おもしろい話が出てこなくなった」

と答え、時代の変化に伴い”ネタ”が少なくなり、取材の在り方も変化してきたことを指摘した。また大下氏は、時代の変化と共に”怪物”が少なくなってきたことにも触れ、

「今の時代は”怪物”がいない。かつての政治家には”味”があったが、今は”蒸留水”のようだ。勉強はできるが、ぬくもりがない」

と述べ、かつてと比べて人間味が希薄な政治家が多くなっている現在の政界を嘆いた。

 番組の最後に大下氏は、浄土真宗の宗祖・親鸞の「心身柔軟」という言葉を引用しながら、

「自分の信念ばかりを追い求めるのではなく、自分が絶えず生まれ変わるような、柔らかい心を持ってほしい。そういう人が、チャーミングな人だと思います」

と、視聴者へメッセージを贈った。元々は漫画家や純文学作家を志望だった大下氏らしい言葉であった。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 大下英治氏が語る「三越事件」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv78451943?po=news&ref=news#39:20
・BS JAPAN「勝間和代#デキビジ」 – 公式サイト
http://www.bs-j.co.jp/dekibiz/

(吉川慧)

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