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△特集:Kosuke Kawamura Insterview

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大友克洋の原画展のポスターやルミネ×エヴァンゲリオンのヴィジュアル制作を手がけるなど、コラージュ・アーティスト/グラフィック・デザイナーとして国内外で高い評価を得ている河村康輔。彼にとって、三角はモノ作りの原点であり、無敵のアイコンだと言う。キャリアから創作の姿勢までを聞いた。

僕は高校時代からSK8THINGさんが大好きで、ああ、これがグラフィックデザインというものかと憧れて。でも絵が描けないから、かわりにあちこちから持ってきたヴィジュアルを切り貼りしてモノ作りしていたんです。19歳で上京したんですけど、学校にも行かずバイトしながら、買ったMacの使い方を自分で覚えて、中原昌也さんなど友だちまわりのイベントのフライヤーやトラッシュ・マウンテン・ビデオからリリースされていた当時は全然注目されてなかった「ジャッロ」というジャンルのイタリアのB級ホラーなどのジャケットを作ったりしていました。B級だから予算もなければ素材もないから全部キャプチャして、昔の日本の映画のカタカナなんかを崩してコラージュしてイチから文字を作ったりして、ロゴ、ヴィジュアルまで全部切り貼りで作っていたんです。VANDALISEのTシャツやレコード、本の装丁なんかもそんな感じでやっていたら23歳くらいで仕事が回り出して。

で、26歳のときに、MAGDRONから展示に参加しないかと誘われたんです。「作品なんて作ったことないから」と伝えたら、「えっ、あのコラージュは作品じゃないの!?」と驚かれて。そう認識されているんだと知って僕のほうが驚いたんですが、それを機に展示に出すようにハンドメイドの一点モノを作り出しました。そこからギャラリーで-個展をやったり、海外のコラージュの大御所でデッド・ケネディーズやグリーン・デイの初期のジャケットなどを手がけているウィンストン・スミスに声をかけてもらって一緒に本を作ったり、極めつけは大友(克洋)さんの原画展でメインヴィジュアルをやらせていただいたことで、完全にコラージュの人と思われるようになり。自分ではグラフィックデザインとしてやっているつもりだったものが、人からアートという付加価値をつけてもらい、2本の軸ができました(笑)。

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基本的に仕事はグラフィックデザインの脳でやっているので、依頼してくれている方々の求めているものは汲みます。でも大幅な修正に応えるとグラフィックデザインになってしまい、100%自分本来の作品としてやると世には出ないんですよね。だから要求を探りながら、その中でギリギリを突いてグチャグチャに壊しながら正規のものとして世の中に出すかを試みている感じです。

仕事の振り幅も広くて、車や百貨店、スポーツメーカーなど企業の仕事もあれば、映画のビジュアル、様々なバンドやミュージシャンのCDジャケットなども進行中です。ホドロフスキーは前作の「ホドロフスキーのDUNE」と「リアリティーのダンス」がUPLINKで公開された時のメインヴィジュアルやTシャツ等をやらせていただき、その後これから公開される新作のクラウドファウンディングでのリターン用のグッズやポスターも僕がやっているんです。沢山のアパレルブランドなどとのコラボもやらせていただいて、イヤな仕事はいまひとつもやってないですね。

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僕のモノ作りにおいて三角は原点と言えます。レイアウトやコラージュをするときは、まず三点にキーとなるメインのアイコンを置き、中心に置いたら一番気持ちいい素材を探り、それを支点に三角を作るんです。そうすると段々派生していって、一旦三角っぽくなるけどまた変容していって一枚絵になっていく。でもキーとなる最初に選んだアイコンが三点にあるから全体として三角の印象を与えるんですね。
四角で四つ角囲みになるので、そこからものを派生させるのが難しい。丸は丸なものしかできない。でも最初に三角を置くとどこからでもいける。

思考する時やプロジェクトを動かすときもそうで、ディレクター、デザイナー、PRなど三点の中心から線がのびてピラミッドになっていく。その頂点がいちばん気持ちがいいところのはずなので、そこを目指します。四点でも、その真ん中から上に向かって線をひくと四角錐となって側面が三角になる。丸も中心からのばすと円錐になって三角ができる。全てが三角に結びつく。

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ピラミッド、バミューダトライアングルなど、僕らの知らないところから三角のパワーはあります。3はマジックナンバーだし、昔から重要なものとして使われているのはパワーがあるから。自分が三点に置くのも無意識にパワーに惹かれているんだと思います。

パワーというだけでなく、面に三点を置いただけで人は脳内で無意識に繋いで三角と認識してしまう、そして目を引かれる。それくらい三角は注意をひくんですよね。

三角は安定感がなく、不安にさせる。不安は人を惹きつけるから注意をひくんでしょう。唯一頂点がある形なので、カースト制度を思い起こさせたり、権力、権威の象徴ともなりやすい。生まれる前から競争を強いられている人間は、遺伝子レベルでその頂点にたちたいと組み込まれているから惹かれるのかも。

僕はわかりやすい三角形はなるべく使わず、いかに無意識下に刷り込むかとうのをやっています。理由はわからないけど、なぜかざわつくというのをやりたくて。人は歪なものに対して不安を感じるし、気になる。それはものを見せるときに一番重要なこと。完全にキレイに整えられている状態ではなく、引っかかりを残すようにしてるんです。それは三角と同じ作用で、どこかしら不安で記憶に残っていくから。

モノ作りは、ざわつかせてなんぼでしょうと思うんです。平和なものはそこで快楽を得て終わるんですが、ざわつきはそこから快楽に変わる場合もあれば、この状態を変えていかなきゃという物語の続きがある。完結しないモノづくりをしたいんです。

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①主催、関係者全てが女性の赤をテーマとしたイベントのフライヤー。

②UPLINKで公開とDVD化された『Kenneth Anger / Magick Lantern Cycle』の全ヴィジュアルを作った時のフライヤー画像。これの前に作ったタブロイド版フリーペーパーにも三角をモチーフにした作品を作りました。

③毎年リキッドルームのKATAで開催されているBLACK SMOKER主催のグループ展『BLACK GALLERY』に出展した際の作品。ヒップホップグループTHINK TANKの一点もの10inchジャケット用ヴィジュアル。

④UPLINKで公開とDVD化された『Jodorowsky’s DUNE』の全ヴィジュアルを作った時のTシャツ画像。

⑤書籍の装丁用ヴィジュアル。(『プログラミングバカ一代 / 清水亮、後藤大喜 著』デザイン:寄藤文平+鈴木千佳子(文平銀座))

interview & edit Ryoko Kuwahara

河村康輔/Kosuke Kawamura

1979 年広島県生まれ。東京在住。コラージュ・アーティスト、グラフィック・デザイナー。ERECT Magazineアートディレクター。サンフランシスコでの「TOKYO POP!!」をはじめ、スイスのフェスティバル「LUFF」でも個展を開催。Winston Smithとのコラボレーション作品集「22Idols」、単独作品集「2ND」を刊行。「大友克洋GENGA展」(メイン・ヴィジュアル制作)、ルミネ×エヴァンゲリオン(広告ヴィジュアル、アートディレクション、デザイン)などでも知られる。

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