東京のご当地料理店開拓 青森編 ~地方を旅する気分で訪れたい~

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こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキストKikutaniです。

マニア道企画からスピンオフしまして、「東京で全国47都道府県の味を堪能する」

新企画、東京ご当地料理店開拓がスタートします。

タベアルキストご当地料理担当目線で、ディープでマニアックなご当地料理をお届けしたいと思います!

ご当地料理の3タイプ

少々マニアックですが、ワタクシはご当地料理を大きく3タイプに分類して見ることが多いです。

この基準を共有していただけると、よりディープにご当地料理を楽しむことができます。

1.ご当地グルメ (B級グルメ)

B級グルメと言った方が、なじみがあるかもしれません。B-1グランプリなどに出てくる、知名度の高い「料理」の一群です。観光地でよくPRされています。

昭和の高度成長期のころから、地元で愛されてきた「ノスタルジーグルメ」と、平成に入ってから町おこしの一環で開発された「新規開発グルメ」、一般家庭の味に光を当てて掘り起こした「発掘系グルメ」の3カテゴリーに細分化できます。

2.郷土料理

戦前、古いものは江戸時代、さらにその前から食されている、その土地ならではの料理の一群です。

名物として根強く愛されている料理がある一方、廃れていくものも多いです。

いわゆる、おばあちゃんの味。

3.特産品

その土地で生産量の多い食材や、調味料が該当します。気候や風土がマッチして、他地域と明確に差別化された、クオリティーの高い食材は絶品です。

一方で付加価値をつけようとただ銘柄を付与しただけの物もあるので、見極めが重要です。

ザックリとまとめましたが、実際はこの3タイプが混じったものもあり、ご当地料理の世界は複雑です。

さて、百聞は一見に如かず。食べながら「あぁ、なるほどね~」と思っていただければ幸いです。

のれんをくぐれば、そこは青森県。ほんの3時間旅に出かけましょう!

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記念すべき1回目の旅先は、青森県!

グルメなお店ひしめく、新宿区荒木町の一角にある「りんごの花」が今回の旅先です。

外観からしてコッテコテで期待感が高まります。

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旅のアテンダントは、横浜ご出身、青森にほれ込んだ小池店長と、青森県十和田ご出身の坂本女将です。

<ご当地料理店の楽しみ方 その1>

その土地出身の人がいる店はGOODな確率大!

その土地出身の人が切り盛りしているかは、欠かせないチェックポイントです。

加えて、外部出身でその土地のファンの人がいると、客観的な視点も加わり鬼に金棒のクオリティーになります。

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旅のガイドブックはメニューブック。

オール青森で固められた、素晴らしいラインナップ。3時間の旅が幸せになるかどうかは、メニューのチョイスにかかっています。

ご当地マニアはビールを頼まない

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▲王林サワー 626円

旅のスタートはドリンクのオーダーから。

「まずはビール!」は、もったいない!! せっかくのご当地旅。1杯目からご当地ドリンクと参りましょう。

こちらは、青森が誇るリンゴのサワー。王林を使った一杯です。

使っているジュースのラベルからして、ご当地感があふれています。素晴らしい。優しい甘さと酸味のバランスが取れた、大人のリンゴジュースです。

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▲豊盃 734円

お酒の強い方は日本酒を。

蔵元によって味の変わる日本酒は、まさにご当地感の塊。地元だけで消費されてしまう、希少な銘柄も並ぶこともあるのが、ご当地料理店の魅力です。

豊盃は、吟醸ならではの華やかな香りと、柔らかい飲み口でスイスイいける一杯。後味のお米の余韻も素晴らしいです。

<ご当地料理店の楽しみ方 その2>

普段見かけない、ご当地ドリンクには積極的にチャレンジ!

さぁ、青森を旅しましょう

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▲八戸前沖さばの冷薫 734円

日本一脂の乗ったさばとも言われる、八戸前沖さば。

現地の工場で加工された冷薫をお取り寄せした一品。オープン時から不動の人気No1。青森形の人参が旅行感UPです。

脂の乗ったさばは、生ハムのように柔らかできめの細かい、しっとりとした食感。どんなお酒とも相性の良さそうな一品です。

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▲長ーい! 大鰐温泉もやしのナムル 842円

もやしなのに842円!? などと言わず、是非とも食していただきたい一品。

野菜ソムリエプロとして、味わい・レア度ともに太鼓判の食材です。

何しろビジュアルが……

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こう。

30cmはあります。350年の歴史を誇る、門外不出の伝統野菜。温泉の地熱と温泉水を活用した独特の栽培法、そして、一般とは異なる豆を用いた希少価値の高いもやしです。

細くてしなやかなボディは、シャクシャクとした歯ごたえがあり、普通のもやしとは一線を画す存在感。酸味の効いたサッパリとした味わいでいくらでも食べられます。

さて、ここにご紹介した2品は、食材ベースの特産品タイプご当地料理です。

<ご当地料理店の楽しみ方 その3>

ブランド食材とレア食材の2種類を食べるべし!

有名なブランド食材の八戸前沖さばと、知る人ぞ知るレア食材の大鰐温泉もやし。

要チェックです。

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▲貝焼き味噌 950円

大きなホタテ貝を鍋代わりに、ネギやホタテを味噌で煮込んで卵でとじた料理。江戸時代から続く伝統料理で、お店の人気No2だそうです。

ビジュアルは地味ながら、いぶし銀のようなうまさの一品。日本酒がすすみます。底部に残る、おこげ部分が乙です。

<ご当地料理店の楽しみ方 その4>

郷土料理は地味だけど、歴史に裏打ちされたうまさがある。

古臭いというイメージだけで避けがちな郷土料理ですが、食べてみれば発見もあります。先入観だけで決めつけず、レッツトライ!

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▲長いものバターソテー 518円

青森は全国の長いもの4割(※1)を生産する一大生産地。これを、青森のソウルソース・源タレとバターでソテーした一品。

源タレ独特の香りが食欲をそそります。シャリシャリとした食感とトロッと粘りが同居する長いもの味も特徴的。

(※1)青森のうまいものたち「あおもりの特産品図鑑」より

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▲ねぶた漬け 518円

ねぶた漬け、または津軽漬けと呼ばれる、長年愛されている漬物。

北海道の松前漬けと見た目が似ていますが、こちらはキュウリや大根も入っており、シャキシャキとした食感も加わっています。

海の幸と山の幸がタッグを組んだメシ泥棒。

この2品は、ご当地で愛されている調味料や漬物といった加工品を使った、特産品タイプのご当地料理です。

<ご当地料理店の楽しみ方 その5>

調味料や漬物は、その土地のソウルフード。家庭の味を楽しめる。

地元の人のソウルフードともいうべき味を手軽に味わえるのが、こちらのカテゴリーになります。

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▲青森馬肉鍋 2,592円

青森は馬肉の生産量全国3位(※2)。軍用馬を育てていた名残で、古くから馬肉を食す文化がありました。そんな青森の馬肉鍋は味噌仕立て。キャベツを中心にたっぷりの野菜とコックリと煮込まれた鍋は体の温まる味。馬の上品な脂は、もたれることもありません。

そして驚くは、豆腐ではなく凍み豆腐(高野豆腐)を使うこと。

鍋の具として凍み豆腐はかなり珍しいと感じたのですが、青森では普通だそうです。

<ご当地料理店の楽しみ方 その6>

自分の「普通」とは違う食べ方を見つけよう。

「まさかそんな食べ方があるなんて!」という発見があるのもご当地料理の魅力です。

(※2)農林水産省 平成27年度馬関係資料「馬肉関係」より

ご当地料理の醍醐味(だいごみ) 発掘系グルメ「筋子納豆」!

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▲筋子納豆ごはん 734円

今回、「りんごの花」を取材先にした理由が、この「筋子納豆」。初耳のご当地グルメを食すべく選んだのでした。素晴らしいビジュアル。筋子と納豆がキラッキラ輝いています。納豆ご飯+筋子という至ってシンプルな構成ながら、他ではなかなか見かけない組み合わせ。その味わいは、納豆ご飯をベースに、リッチ度を5割増しにした感じと言えましょう。

ちなみに、店長の小池さんは日本筋子納豆協会の会長です。もともと青森で広く食べられていた食べ方で、太宰治の小説に登場するなど、彼も愛していた食べ方だそうです。納豆は小粒を使い、筋子と粒の大きさを合わせるのがポイントとのこと。

青森の人の日常生活から発掘された、発掘系ご当地グルメ、それが「筋子納豆」です!

<ご当地料理店の楽しみ方 その7>

明日からマネしてみたい! というグルメに出会えたら最高。

発掘系ご当地グルメの良いところは、もともと家庭料理が多いので、比較的簡単に自分でもマネできるところです。

今まで県民だけの秘密だったなんてズルいという料理に出会えたら最高です。

料理以外のこだわりにも注目

「りんごの花」は料理だけでなく、内装にもこだわりがあふれています。

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本物のねぶたの一部を飾ってあったり、

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地元の人がみれば、思わずニヤリのロゴがあったり、

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高校の同窓会ノートがあったり、

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ローカルTVが流されていたり。

もう、これでもか! と青森感で満ちあふれています。

お客さんの約3割が青森の人で、友人を連れてきたり、上京してきた人の歓迎会をしたり、さまざまに使われているそうです。

青森の旅、いかがでしたでしょうか?

東京のど真ん中で、青森に旅できる「りんごの花」、いかがでしたでしょうか。初回なので、マニアックにご当地料理を食べる際の注目ポイントをご紹介をさせていただきました。

ご当地料理は、味だけでなくその土地の食文化や歴史も合わせて知ることができる点が魅力です。「情報を食べている」と揶揄(やゆ)されることもありますが、ご当地料理に関して言えば、情報も食べ、相手に対する理解を深めることも重要なポイントと考えております。

<ご当地料理店の楽しみ方 その8>

知らないことはどんどん聞いてみよう。

現地に住んでいた人には絶対かないませんので、旅人の気持ちで、知らないことはドンドン聞いてしまうのが、ご当地料理店の楽しみ方です。

郷に入らば郷に従えと言いますし、もしローカルルールがあるなら、それにならってみるのも旅の楽しみです。

とはいえ、東京で味わえるご当地料理は、現地の70%が上限と考えましょう。

<ご当地料理店の楽しみ方 その9>

おいしかったら、今度は現地に行って100%を味わおう

残りの30%は、風土とか人が生み出す空気感と、圧倒的な鮮度の差。こればっかりは東京ではどうにもなりません。もし、おいしいと感じたなら、今度は現地へ本当の旅に出かけましょう!

日本中のおいしいを食べる楽しさを、少しでも感じていただけたら、とてもうれしいです。

お店情報

りんごの花

住所:東京都新宿区荒木町11-24 荒木町エーシービル1F

電話番号:03-6380-6724

営業時間:17:00~23:30(LO 22:45)

定休日:日曜日

ウェブサイト:http://www.ringonohana.com/

www.hotpepper.jp

※この記事は2017年2月の情報です。

※金額はすべて税込みです。

書いた人:Kazushi Kikutani

Kazushi Kikutani

ご当地グルメフリークで、野菜ソムリエの資格をもつタベアルキスト。B級グルメや郷土食、旬や特産品を活用した料理に目がない。食べ歩きに際しては、情報よりも店舗から感じるインスピレーションを重視。「美味しいもイマイチも丸ごとひっくるめて楽しむのが食べ歩きの醍醐味」と語る。 Webサイト:Tabearukist Association facebook:Tabearukist Association

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