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祝来日!ポール・マッカートニーの今聴いておきたい5曲~来日公演の聴きどころ~

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選曲のエキスパート“ミュージックソムリエ”があなたに贈る、日常のワンシーンでふと聴きたくなるあんな曲やこんな曲――。
4月に2年ぶりの来日公演を行うポール・マッカートニー。昨年始まった今回のワールド・ツアーは、“ワン・オン・ワン(1対1)”と名付けられています。ポールが“1対1”で向き合った相手と言えば、まず思い浮かぶのはジョン・レノンですね。そこで、最新のセットリスト※を参考に、今回演奏が期待される代表曲5曲でポールとジョンの物語を辿ってみたいと思います。
※文末に“ワン・オン・ワン・ツアー”の最新(2016年10月5日)のセットリスト
祝来日!ポール・マッカートニーの今聴いておきたい5曲~来日公演の聴きどころ~ (okmusic UP's)

1.「A Hard Day’s Night」 /The Beatles
●2分32秒に込められた、濃密な二人の時間

この曲が発表された1964年、ビートルズは2枚のアルバム、3枚のシングル、ワールド・ツアー、そして映画主演(こんなに働くバンドが今ありますか!?)と、想像を絶するスピードで駆け抜けました。しかも、同名映画の冒頭シーンのように、四六時中熱烈なファンの群れに追い回される日々。「もうくたくたで、やってられないぜ」とジョンが乾いた声で歌えば、追いかけるように、ポールが熱っぽく「家に帰れば、君が僕を強く抱きしめてくれるから大丈夫だ」と返します。そしてそれが終わらないうちに、ジョンが又「もう……」と冷水を浴びせます

。狂ったような騒ぎの渦中で、時には顔を突き合わせて二人で、時には相手に負けまいと一人で曲作りに没頭した、まだ23才のジョンと21才のポール。同志でありライバルである二人だけが共有した濃密な時間。疾走感溢れるサウンドに乗ったボーカルの応酬が、限界を取っ払って見たことのない世界に連れて行ってくれます。
[来日公演の聴きどころ]

ポールが、ジョンのパートも一人で歌います。印象的なイントロの「ジャーン!」一発で、オープニングから会場総立ちになる様子が今から目に浮かぶようです。ポール版は、今回が日本初披露になります。
https://youtu.be/TWbiVqlSMgc

2.「Here Today」 /Paul McCartney
●本当のことは、僕と彼にしか分からない

この曲は、ジョンが狂信的なファンに射殺された時に制作中だったアルバム『Tug Of War』(1982年作)に収められました。彼は死後に神格化されて、遠い存在になってしまったようでした。「本当のことは僕と彼にしか分からない。この曲は、そんな自分とジョンとの関係についてのラブソングなんだ。」とポールは言います。「もし今ここに君がいたら、おまえとは住む世界が違うというかもしれない。でも、それは本気じゃない。初めて出会った時のこと。二人で泣いた時のこと。君はいつも微笑んで傍にいてくれた。僕は君のことがよくわかっているんだ、本当は僕のことを好きだって。そして、僕も本当に君が好きなんだ。君と出会えてうれしかったんだよ」。

もし、ジョンが生きていてこの歌を聴いたら、何と言ったでしょう?
[来日公演の聴きどころ]

ポールは、毎回弾き語りを始める前に「これはジョンと交わせなかった会話についての歌です。(日本公演では、日本語で「ツギノウタワ、ジョンノタメデス。」)」と紹介します。そして歌い終わると、ジョンに見せるかのようにギターを高々と掲げます。その時の彼の気持ちを思うと、胸が熱くなります。

3.「The Fool On The Hill」 /The Beatles
●「丘の上の愚か者」と「一人ぼっちのあいつ」

ポールが書いたこの曲と、ジョンが書いた『 Nowhere Man』。どちらの主人公も、何を考えているのか分からないはぐれ者で、相手にする人がいません。曲の終盤、ジョンが「でも、彼ってちょっと僕らに似ているよね。」と誰もが抱える疎外感に共感するのと対照的に、ポールは「分かってないのは、周りの奴らなんだ。」と切り捨てます。ジョンが褒めた歌詞と、牧歌的なサウンドのコントラストが素晴らしい曲です。『Magical Mystery Tour』(1967年作)収録。
[来日公演の聴きどころ]

最近作のアルバム『New』からのモダンな曲(「Queenie Eye」「New」)が続いた後、リリカルでノスタルジックなこの曲で会場の空気が変わることでしょう。
https://youtu.be/DGEX_7IqaC4

4.「Band On The Run」 /Paul McCartney And Wings
●ピンチの時こそ、マジックが生まれる。ポールの真骨頂

作風が異なる3曲を、違和感なく1本にまとめあげる構想力と、ドライブ感。先が読めないシュールな展開なのに仕上がりはポップで開放的という、ポールにしか出来ない限界知らずの音楽のマジックがここにあります。1973年の発表以来、いまだにビートルズ解散後の最高傑作といわれるこの曲と同名のアルバムは、新バンド(ウィングス)が存続の危機に陥った時に生まれました。ビートルズの解散以来“別れた夫婦のように”関係がこじれていたジョンも、このアルバムを絶賛しました。そして、翌年ポールがジョンを訪ねて二人は仲直りします。
[来日公演の聴きどころ]

惜しげも無く連発されるビートルズ有名曲(「Ob-La-Di, Ob-La-Da」「Back In The U.S.S.R.」等)に挟まれて披露されても強い存在感を示す、ポールのコンサートの定番です。

5.「Golden Slumbers~Carry That Weight~The End」 /The Beatles
●ビートルズのラスト・メッセージ

オノ・ヨーコとの活動に関心が移っていたジョンを始め、もはやグループとしての結束が保てなくなったビートルズ。ポールは、有終の美を飾るべく、自らイニシアティブをとってアルバム『Abbey Road』(1969年作)の制作を進めました。(『Let It Be』が後で出たため、そうなりませんでしたが)同アルバムのB面最後を飾るこのメドレーで、ポールは他の三人とファンに語りかけるかのように「もう後戻りはできない。ここから先はずっと、自分で重荷を背負って行くんだ。」と歌います。それから、四人が順にソロを取って、こう締めくくります。「最後にあなたが手に入れる愛は、与えた愛に等しくなる」。

愛を歌って若者の意識を変革し、世界をリードし続けたビートルズのクロージングにふさわしい、ラスト・メッセージ。それは、ジョンがアルバムA面最後の曲をホワイトノイズで唐突に終わらせたのと、あまりにも対照的でした。

※参考資料:「ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実」/ジェフ・エメリック他著
[来日公演の聴きどころ]

3時間余り、30数曲にも及ぶビートルズ、ポール・マッカートニーのコンサート、イコール“音楽の冒険”を締めくくるのに、このメドレー以上のものはないでしょう。音楽を好きになってよかった、大げさでなく、生きていてよかった、と感涙必至です。

最新の“ワン・オン・ワン・ツアー”のセットリスト~2016年10月5日カリフォルニア、サクラメント、ゴールデン1センター
☆1.A Hard Day’s Night

2. Save Us

3.Can’t Buy Me Love

4.Juniors Farm

5.Temporary Secretary

6.Let Me Roll It

7.I’ve Got A Feeling

8.My Valentine

9.Nineteen Hundred And Eighty Five

10.Here, There And Everywhere

11.Maybe I’m Amazed

12.We Can Work It Out

13.In Spite Of All The Danger

14.You Won’t See Me

15.Love Me Do

16.And I Love Her

17.Blackbird

☆18.Here Today

19.Queenie Eye

20.New

☆21.Fool On The Hill

22.Lady Madonna

23.Four Five Seconds

24.Eleanor Rigby

25.Being For The Benefit Of Mr. Kite!

26.Something

27.Ob-La-Di, Ob-La-Da

☆28.Band On The Run

29.Back In The U.S.S.R.

30.Let It Be

31.Live And Let Die

32.Hey Jude

(アンコール)

1.Yesterday

2.Hi, Hi, Hi

3.I Saw Her Standing There

☆4.Golden Slumbers~Carry That Weight~The End

おわりに
今年は、史上最高のロック・アルバムとも評される『Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band』等の発表から50年にあたり、また3月には名盤『Flowers In The Dirt』(1989年作)がリイシューされます。日本公演では、これらの中からサプライズ披露や、前回の来日同様、新曲披露もあるかもしれません。

ポールは、大会場でもステージから客席の個人が見えると言います。例えば、ある曲の演奏中、ライターを灯し続けた女性。次の曲が始まると、火傷した彼女の指をキスで冷ましていた隣席の男性。そういう場面が、自分の曲の知らなかった側面を分からせてくれる、そこにツアーの醍醐味がある、と。観客とポールが紡ぎ出す新しい物語。“ワン・オン・ワン(1対1)”の真意はそこにあります。

(選曲・文/藤原学)

■ポール・マッカートニー ワン・オン・ワン・ジャパン・ツアー2017

http://oneonone-japantour.jp/

■チケットぴあ 2月19日 23:59までのプリセール

http://ticket.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1658474&rlsCd=004&lotRlsCd=

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