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創業300年超! 都内最古の老舗に聞く、知られざる「質屋」の実態

創業300年超! 都内最古の老舗に聞く、知られざる「質屋」の実態

大相撲の街・両国に、東京最古の「質屋」がある。創業320有余年、都内に現存する質屋のなかでは最も歴史が長い「福島質店」だ。かつては、庶民の暮らしに身近な存在だったという質屋。今も街中でたまに見かけるが、そういえば利用したこともなければ、そもそもの仕組みもよく分からない。数が減っているとはいえ、今なお生き残っているということは、一定の需要はあるのだろう。江戸時代から続く老舗を訪ね、質屋にまつわるアレコレを伺った。

庶民の暮らしに密にかかわる、昔ながらの質屋

名前は広く知られていても、その実態はよく分からない。「質屋」もそのひとつではないだろうか。古くから日本に根づく商売だが、実際に利用したことがある人はさほど多くはないだろう。

「福島質店」は江戸幕府5代将軍・綱吉の時代に創業し、現在までに10代を数える。現・当主の福島昌一さんに話を聞いた。

「最近は質屋が弱くなりましたね。リサイクルショップなど中古品の買い取り屋さんが街中にあふれていて、それも衰退の原因。元々はそれも質屋の原点なんですけどね。なけなしの物品を預け、お金に変える。古物営業だと売って処分して終わりですが、質屋の場合はお金を借りる信用として大事なものを預ける仕組みですね」(福島さん、以下同)

一般的には、ものを担保に金銭を都合する「金貸し」というイメージ。しかし、昔ながらの質屋の実態はドライなビジネスではなく、人肌のぬくもりが伝わる客商売であるらしい。

「サラ金のようなものだって誤解している人もいます。確かに“金融機能”としては銀行よりも古い。質屋の歴史は700年というくらいですからね。かつての質屋は融資というより、なじみの客に生活資金を貸すという役割を担っていました。質草(しちぐさ ※担保となる物品のこと)が二束三文にもならない物だとしても、『しょうがない、あなたを信用して貸すから逃げるんじゃないよ』と、そんな感じですよね。江戸時代には夫が病気になると、貧乏長屋に住んでいる妻たちがこぞって質屋に着物を持っていき医者の金を工面するなんて、時代劇を地で行くような涙ぐましい話も実際にあったわけです」

生活に密着した存在であったことは、質屋の立地からも読み取れる。

「昔ながらの質屋って住宅街に多いんです。今なら駅前のほうが便利だけど、昔はやはり暮らしに欠かせない存在だったから、庶民の生活に近い場所にあったんでしょうね。特に下町は質屋だらけ。下町には職人が多く住んでいたので、例えば大工が大工道具を質入れしちゃった話とか、落語なんかだと質屋がおもしろおかしく取り上げられていますよね。実際に当時はそんな世界だったようですよ」【画像1】10代目の福島昌一さん(写真撮影/榎並紀行)

【画像1】10代目の福島昌一さん(写真撮影/榎並紀行)

時代背景を映す「質草」の変化

おもしろいのは「質草」の変化だ。福島質店に預けられてきた物品からは、300年間の時代背景を読み解くことができる。

「昔は衣類、特に着物が大半でした。質屋の蔵が大きいのは、預かった着物をかさばらないよう、しわにならないように管理するためでもあります。今は宝石・貴金属が中心。時代時代で確実に値段がつくものが質草になることが多いです」

なお、かつては両国ならではのこんな質草も。

「化粧まわしです。昔の相撲取りは給料制ではなく、親方におこづかいをもらってやりくりしていた。だから、若い衆はお金がないんです。今は彼らもサラリーマンになって普通に生活できるようになったけど、30年前くらいまではちょくちょく来ていましたよ。今だから言えますが、タニマチ(※ひいきにしてくれるお客)にもらった物品を質入れする力士も珍しくありませんでした」

さらに興味深いのが幕末のころの逸話。明治維新で困窮した大名が、人知れず質屋を訪ねていたという。

「文献は戦火で焼けて残っていませんが、口伝えでそういう話を聞いたことはあります。徳川幕府に御用金という名目で大名貸しもしていたとか。江戸時代末期は武士もみんな貧乏で、戦後は貴族制度も崩壊してしまった。よほどの大名であれば別ですが、一気に困窮してしまったようです。ただ、階級的に庶民になっても生活レベルは急に落とせないから、質屋を利用する元大名が多かったんじゃないでしょうか」

戦火を生き延びた、3階建ての巨大な蔵

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