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確率低いの承知の上? TV超能力事件捜査の意義とは

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週刊プレイボーイ/週プレ 2017-02-06 発売号
Fujisan.co.jpより

 

1月中旬、CIA(アメリカ中央情報局)が、長く極秘にしていた資料を一般公開した。その中に1973年に超能力者ユリ・ゲラーの透視能力を実験した内容が含まれていて話題となった。8日間に渡る実験で「彼は本物である」という結論に至ったという。

 

このニュースはネット上でも盛り上がったが、その中で、「テレビでやる、超能力者の犯人探しや行方不明者探しは本当なのか?」

 

そんな話まで飛び出していた。よく、テレビの特番で透視能力による人探しを放送している。ユリ・ゲラーが透視による人探しをやったことがあるかどうかは知らないけれど・・・。

 

そこで、超能力者による事件捜索番組について、私が知っていることと、リサーチして得た情報を少しまとめてみたい。先に言っておくが、私は超能力について肯定も否定もしない。うさん臭いのは信じないし真実っぽければ信じるスタンスだ。

 

そもそも100%じゃない

 

「結局、発見できないじゃん」。ついつい見てしまい、いつも思う。皆さんも同じだろう。

 

超能力者が海外で目的人物の居場所を透視して、手がかりとなりそうな街、風景、建物、人物像へと徐々に迫っていく。スタッフが探し周ると、次々と言ったことに当てはまる場所が見つかり、超能力者が来日までするが、最後には行き詰まって目的の人物発見には至らない…というパターン。

 

「インチキだ!」「ウソつきだ!」「ニセモノだ!」とこき下ろす声が飛ぶ。まぁがっかりするけれど、これは当たり前といえば当たり前なのだ。だって、超能力者の的中率は100%じゃないし、むしろ低いから。

 

超能力者たちの実力は!?

おなじみFBI超能力捜査官ジョー・マクモニーグル

 


ムー 2016-03-09 発売号
Fujisan.co.jpより

 

その解決率は驚異の80%と謳っている・・・がしかし、調べてみるとちょっと疑惑が。まず、FBIに「超能力捜査官」という役職はない。FBIの捜査に何らかの形で協力したにすぎないのだろう。アメリカで本人がそんな肩書を名乗り仕事をしようものなら問題だ。つまり日本のマスコミがセールス用に名付けたのだ。

 

他にも、透視的中率90%ゲイル・セントジョーン、77%ナンシー・マイヤーといった超能力者が有名だが、この的中率の高さが不可解。的中率とは何を的中とするかだ。

例えば、透視した都市の頭文字とか、地形、建物、などのワードを10個挙げたとして、こじつけでも当たりを9個としたら90%になる。これが的中率のからくりではないかと思う。

 

マクモニーグルは解決率80%と謳われている。解決は案件を解明させた事になるが、この数字の高さは異常。おそらく、ちょっと事件に関わっただけで、のちのちに解決したものも含んでいるのではなかろうか。日本の番組で解決できた件は皆無に等しいのだから眉唾的な数字だ。

 

だから、ウリ文句にほだされ超能力者たちを過信しているかもしれない。

 

本当に事件捜査に携わっているのか?

番組を見ると、冒頭で、警察と共同捜査をして事件を解決に導いた事例が紹介される。超能力を利用するなんて「海外ってすすんでるな」「映画みたいことするんだな」なんて思う。

 

ただしテレビなので、どこまで本当なんだ? と疑りたくもなる。そこで調べてみた。

 

1993年頃、アメリカで超能力捜査の実態を研究した大学教授がいた。まず48の都市で警察署にアンケートを取った。いくつかの項目の中から結果を抜粋する。

 

Q「犯罪捜査で超能力を使ったことがありますか? 今も使っていますか?」

YES:17 NO:31

 

Q「もしあなたの警察署が超能力者を使用したなら、寄せられた情報は他の情報源よりも事件の解決に役にたちましたか?」

YES:0 NO:26 未回答:20

 

Q「超能力者からの情報は、他の通常ルートから寄せられる情報よりも有用だと個人的に思いますか?」

YES:0 NO:39 未回答:7

 

などの結果から、本当に超能力捜査を行っている事実はわかる。でも超能力による捜査はほぼ役立っていないようだ。さらに、270人の警察官による無記名アンケートでは

 

Q「個人的に警察の捜査に超能力者を使いますか?」

YES:35・75% NO:62・75% 場合によっては:1・5%

 

Q「過去に、あなたの組織は捜査で超能力者を使ったことがありますか?」

YES:23% NO:40・5% わからない:36・5%

 

Q「あなたの組織は何回超能力者を使いましたか?(確証がないのなら見積りで)」

1回:30人 2回:18人 3回:8人 4回:3人 5回:4人

 

Q「超能力者は、どのように捜査に関係しましたか?」

警官の依頼:41% 家族の依頼:20% 自己志願:34% 知らない:5%

 

Q「事件を解決するにおいて、有効な情報が超能力者から与えられましたか?」

YES:13・5% NO:50% おそらく:36・5%

 

Q「事件は超能力者の協力なしでも解決できたでしょうか?」

YES:51% NO:0% わからない:49%

 

頼ってはみたものの、芳しい結果は得られないといったところか。自己志願で34%が協力してくるとは少し驚き。おそらくちょっと面倒臭い人も含まれるだろう。それにしても有効な情報を13.5%得られているのは高いんじゃないかと思う。

 

中には「遺体が実際に見つかった」という回答もあったそうだ。ただし、手がかりは往々にして曖昧で、例えば「水の近く」と言えば、海、川、池、プール、貯水タンク、湿地帯、水たまりだって当てはまるわけで、適当に言っても当たらずとも遠からずの透視になってしまうわけだ。

 

つまり、アメリカ警察の認識として超能力捜査は、あくまでも捜査方法のイチ手段で、アテになる確率はかなり低い。一縷の望みの一縷、藁をも掴むの藁なんだろう。

 

テレビで解決になったことはある?


ジャンル別番組ガイド ドキュメンタリー NHKウイークリーSTERA(ステラ)
Fujisan.co.jpより

そもそも超能力捜査解決は100%じゃない、と言ったが、低い確率でもその力が発揮されることが実際あるから騒がれるわけだ。

 

アメリカやイギリスなどでは、テレビの超能力捜査番組で事件解決に至るケースが度々あるそうだ。おそらくその番組情報を得て、日本でも制作を検討しているはず。

 

では日本のテレビ番組では?有名なのは、芸人の麒麟・田村さんの、行方不明だった父が透視によって発見された件だ。ところが、透視したキーワードからスタッフが調べに調べ、さらに番組側が独自調査もして、やっと発見に至ったそうだ。透視はあまり役立っていなかったとも言われる。

 

2001年に起こった武富士放火殺人事件。透視によって犯人の似顔絵が作成され、後日それがきっかけで犯人逮捕に至ったと新聞などが騒いだことがあった。

 

ところがこれも、透視した内容とその後判明した犯人の供述がかなり食い違っていた。似顔絵も、テレビ放送以前に作成されたものが公表されていて、そっちが決め手だったという話もある。

 

結局のところ、日本のテレビ番組で超能力捜査大成功! と胸を張って言える事例はないかもしれない。がしかし、ちょっと次を読んで欲しい。

 

怖いのは結果がガチのケース

今から20年以上前、私はある長時間の生放送特番に関わった。そこで、アメリカの超能力者が、日本で行方不明になった人物を透視で探すコーナーがあった。

 

アメリカで透視した事をVTRで紹介し、かなり場所を絞ってから、来日した本人が現場まで足を運んだ。そしてスタジオと中継を結びながら捜索を進める流れだった。

 

そこで、徐々に恐ろしい雰囲気が漂ってくる。超能力者の言うことがバシバシ当たるのだ。そしてたどり着いたのは人が寄り付きそうもない山林だった。このあたりまで来ると番組の他のコーナーはどうでもよくなってきていた。超能力者が透視する。

 

「林の中に雨具のような物が落ちていないか? 色は黄色だ」

 

レポーターと現場スタッフが探すと、数分後、決してヤラセで用意したとは思えない、風雨に晒され草むらに埋もれたカッパが発見された。色は黄に黒が入っていた。私はスタジオにいたが、出演者、観客、スタッフ、その場にいた全員が驚きどよめいた。何しろ人が着用するモノである。

 

次に何を透視するんだ!?と期待感が高まった。

 

しかし、ここでストップがかかった。コーナー中止である。理由は、「これ以上詰めていくと事件捜査を惑わしかねない」というプロデューサー判断だった。私はこのコーナーの担当ではなかったが、あとでスタッフに聞いたら、「ヤラセは一切ない」「カッパが見つかった時はビビった」と話していた。

 

番組を見ていた警察の方から電話が入ったとも聞いた。生放送で、マジのガチでそのまま進行し、もしも遺体なんか出てきたら対外的に問題になっただろう。(その後、その山林から遺体などは出てこなかったそうだが)

 

また、こんなことがあったと聞いたことがある。

 

アメリカかイギリスで、行方不明になった子どもの行方を超能力で探す番組が進められた。超能力者が、子どもがどこにいるか透視したところ「いろんなところに散らばっている。どういうことだろう?」と言った。最初はバラバラ殺人か? と考えられたが、「でも生きているのかもしれない。よくわからない」と話した。そして、捜索を進めていくうちにだんだん判明してきた。

 

臓器だ。

 

子どもは誘拐された後、いくつもの臓器を取り出され売られたのだろう。そして臓器はどこかで活きているが子どもは死んだのだ。結果が残酷すぎてこの企画はストップ、お蔵入りとなったそうだ。

 

テレビ番組なのになんだか矛盾するが、完璧に的中しすぎても、放送に耐えられない場合はお蔵入りになる場合もある。おそらく他にも放送できない超能力捜索はあると思う。

 

確率は低くても

ひとつの結論を言えば、テレビの超能力捜査番組は、目的達成の確率は低いことを承知で、事件・事故解決の役に立てれば、緒(いとぐち)が見つかれば、という思いで制作しているわけである。

 

例えば行方不明者を、超能力者が居場所をピンポイントに言い当て、その人の元へ一直線に辿り着けば完璧である。スタッフもそれを望むはず。しかし、そうはいかないからもどかしい。

 

超能力者も、何かが透視できているからこそ、ある程度の場所が特定できる凄さを見せつけられるわけだ。当てずっぽうでできる芸当ではないし、そもそも彼らが完全なインチキだったらスタッフは感付くので、二度と仕事を依頼しないだろう。

 

テレビマンの名誉として言いたいが、事件・事故の裏側には悲しみに暮れる家族や関係者がいる。その人たちを慮(おもんばか)れば、安易に「ヤラセ」「インチキ」で番組を制作しようとは絶対にしない。期待を持たせておいて解決に至らないとは先方に対して申し訳ない気持ちでいっぱいなはず。これは超能力者達も同じに違いない。

 

ただし、最終的にうまくいかないからといって過剰な演出やヤラセやウソで終わらせた番組もあったはず。それは恥ずべき行為だし、テレビマンの風上にも置けない。超能力捜索番組はドキュメントバラエティ番組である。完璧な結果を日本では残せていないが、いつか困っている人たちが安堵できる結末があることを願う。

 

否定する気持ちもわかるが

こういった超能力を、存在しないとか、インチキ、デタラメ、ウソ、サギ師と、酷評する人は多い。おそらく結果を出しても認めず、ツッコミどころを探して文句をつける人は多いだろう。それはそれで構わない。逆に認める人が大多数のほうが世の中怖い。

 

こういう番組は、常人を越えた能力が存在することをいつか証明できると信じてチャレンジし続けているのかもしれない。否定的な人も、こんな番組がなくなったらアラ探しする楽しみが減ってつまらないでしょ?(笑)

 

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