体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

【イノベーターズ】「月間数千万枚! 累計数億枚! 名刺をデータ化し、働き方を変える男」常楽 諭

通信やICTにまつわる”なにか”を生み出した”イノベーターズ”。彼らはどのように仕事に向き合ってイノベーションにたどり着いたのか。インタビューを通して、その”なにか”に迫る。今回は、この人がなにをしたかという以前に、まず記憶を探っていただきたいのですが、みなさんは「井上ビルディングシステムズ」の3人が、「浅葉建設社」の案件を巡って奮闘している姿をどこかで見たことないですか?

――毎回、井上側は競合に敗れる。競合はどうやら浅葉のキーマンである田中常務に直接アタックしていたようだ。だが、井上にその術はなかった。だって誰も田中常務を知らなかったのだから! だが、井上側の若手社員は田中常務と面識があり、名刺交換もしていたというのだ! 「それさ……」部長を演じる松重豊は口走るのである。

「早く言ってよ〜」

SansanのCMである。部長の松重豊に、若手社員の満島真之介が「その人知ってる」と告げるのだが、実は人違いだったり、すでに異動していたりで、結局は常に競合に「してやられる」ことになる。

Sansan TVCMはこちら

「実際によくあるんですよね」と語るのはSansan株式会社創業メンバーで取締役の常楽 諭(じょうらく さとし)さん。
で、社名と同じ「Sansan」は、法人向けのクラウド名刺管理サービスの名前でもある。簡単にいうと、社員一人ひとりがもらった名刺をデータ化して一元管理する。そしてそのデータを社内で共有できるように「名刺を企業の資産に変える」ものだ。あと、個人向けの無料名刺アプリ「Eight(エイト)」というのもある。

きっかけは、誰しも経験のある「あの会社の人、誰か知ってる?」問題

「発案したのは、代表である寺田 親弘(てらだ ちかひろ)です。彼は前職が三井物産でした。他社になにか案件を提案したいときって、先方のキーマンを知らなければ、ひとまずはお問い合わせ窓口に連絡しますよね。イチから巡り巡ってようやく担当者にコンタクトが取れて、会いに行ったら、”あ、御社だったら○○さんよく知ってますよ”と。また、それがすぐ隣の部署の人間だったりするケースがよくあったそうなんです」

どんな会社でも「先方に誰か知り合いはいないか」というやり取りは頻繁に行われる。だってそれで格段に距離は近づくし、一段上のステージから話が始められますからね。で、しかも寺田さんが職に就いたのが1999年。折しもIT化の波が押し寄せている最中だった。そんななかで依然として”紙”でやり取りされる名刺の非効率さにも愕然としていたのだと言う。

「だから逆に、いつまでもIT化されない部分で、名刺は人脈を表現するツールになりうると。これをうまくデータ化して共有することによって、働き方は変わるんじゃないかって思ったそうです」。

こうしてSansanは2007年に創業される。

名刺管理サービスは実によくできていて、交換した名刺を登録して社内で共有するだけでなく、社内の誰がもらった名刺なのかも一目瞭然。名刺の相手が異動したり昇格すると情報はアップデートされるし、メールの一括配信や、「いつ誰が」その相手にコンタクトしたかというログも残る。また、日経や帝国データバンクと連携し、企業情報をSansan上で閲覧できる。Sansanは名刺を軸に企業と人の情報が活用できるプラットフォームになっているのだ。

大手システムインテグレーターで、おもに通信ソフトウェアやデジタル衛星放送システムの設計・開発責任者を務めていた常楽さんは創業に参画し、「Sansan」の開発部長・プロダクトマネージャとなった。名刺のデジタル化に関して掲げた絶対的な価値観は「簡単・早い・正しい」だった。

「まず前提としてそれがないと話になりませんので。市場にはすでにOCR(光学文字認識)みたいなものもありましたし、個人向けスキャナーとCD-ROMがセットになったアプリケーションも市販されていましたが、それじゃ100%の正確さを維持できない。名刺のデータなんて電話番号やメールアドレスが一文字違うだけで、まったく価値がなくなるわけじゃないですか。そこに信頼が置けなければ、そんなアプリ、どんどん使わなくなりますよね。ですから”正しさ”はとにかく重要視してきました」

1 2 3次のページ
TIME & SPACEの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。
GetNews girl / GetNews boy

オスカー2018年晴れ着撮影会