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【大人が出逢う、東京古着】吉祥寺のgarnishで過ごす、フルコースな1日

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—「きみが歌うクロッカスの歌も新しき家具の一つに数えんとする」寺山修司

2017年の古着初めに選んだお店は、私自身も初めて訪れるお店だった。
インスタグラムに投稿されるアイテムたちがどれも素敵で、
つい、袖を通した後の自分を思い浮かべてしまう。
セレクトされているもの1つ1つから放たれる、溢れんばかりの魅力。
いつか行ってみたいと思い続けていたお店だった。


カシミヤコート¥18900+tax

ファッションそのものが、想像と冒険であるように、内から外へ。
上着を着て、井の頭線に揺られ、想像の世界から冒険へ。着駅は吉祥寺。
終点っていうのもまた、物語めいていて嬉しい。
上京したての頃、よく井の頭公園に来ていた。
ボートに乗って水の流れに身を任せたまま、宵待ちをする。
夕焼けを見るために電車に乗るなんて、東京に来ないと、多分しなかった。
これまでの自分がしなかったことと知らなかったこと。
「人生は冒険から」という詞に背を押されて上京したわたしは、
仕事に就いて、結婚をして、母となった今もずっとそういうものを探している。
思い出と並走しながら目的地を目指していた。

公園、商店街、映画館、デパートも電気屋さんもある。劇場、喫茶店、昔ながらの惣菜屋さん…。
吉祥寺は、東京の中でも屈指の“歩いてるだけで楽しい街”だ。
だから、物理的には駅から徒歩7分だけど、体感時間は1分で着く。
中道通りに佇む、「garnish」。10周年を迎えたという。

お店に入った瞬間、一瞬にして悔やまれた。
「なんで知らなかったんだろう!」

1950〜70年代の物を中心に、アクセサリや子ども服、レディース、メンズと、目を奪うアイテムたちが、縦に伸びる絵のようにひしめきあっていた。
あれ可愛い、これも着てみたい、これは夫に似合うんじゃないか、娘には少し大きいけど、大きくなるまで待とうかな。
どのフロアでも、つい長く立ち止まってしまいそうになる。

甘いピンクのショート丈のカーディガン、味も品も兼ね備えたレザー、総レースのワンピース、1点もののアクセサリ。
思わず、10年分損した気分になってしまった。
知らないものを探し続けているのは、こういう、流れた時間が悔しいくらいの素敵な出逢いがあるからなのだけど、でも!
夏目漱石がI love you を「月が綺麗ですね」と訳した逸話はあまりにも有名だけど、今のわたしならこう訳す、「もっと早く会いたかった!」 

一人心の中で悔しがるわたしを優しく迎えてくれたのは、
オーナーの菅原太一さんとりえさん。見るも素敵なご夫婦だった。
太一さんは、元々、「DEPT」のスタッフさんだったという。
一時代のカルチャーを築いたと言っても過言ではない伝説のお店だ。
夫婦でお店を始めるなんて思ってもみなかったと、笑いながら話す太一さん。

カメラマンさんがこっそりと物陰から、隠し撮りを…。
お写真は若い子で!と、二人してユーモアのあるご謙遜をなさるのですが、
本当に、絵になるご夫婦なのです。

スタッフの小関尚恵さんは、お店に入って5年になるという。
赤いスカートと黒のニットのコントラストに、白い肌がよく映えたとても美しい人だ。
お店のアイテムとご自身の好みについてお話ししていた時だった。
「5年前から自分の好みは変わらないです」。
小関さんは控えめな声で、でもはっきりと言った。
そして、こう付け加えた。
「garnishに来るものが、どれも自分の好みというか、本当に好きなものに囲まれて働いているなと思うんです。だから買い付け後は毎回ワクワクしています」
少し笑って話す小関さんが、最高に可愛かった。


ニット ¥9800+tax

小関さんがitアイテムとして選んでくれたニット。赤がメインで、中央はミックスになっている。珍しくて、可愛い。リラックスしながらも、ゆるすぎない、サイズ感も絶妙。
「これは、アイスランドのものですよ」
太一さんがこの子ふるさとを教えてくれる。
garnish流の買い付けのポイントを聞いてみた。
「まずはコンディション、そして持っている新品の洋服に合わせて着られるかということは考えています。うまく混ぜられるものを、というイメージですね」

そして太一さんは、garnishの哲学とも言える素敵な話をしてくれた。 「garnishって言葉は、添える、とか、飾る、とか、食事で言うところの付け合わせみたいな意味合いがあるんですよ。もちろんメインはお客さまで、そのファッションや生活の一部として取り入れられるものをと思っています」

garnishには、洋服も家具も雑貨もある。
言葉の意味を聞いて、今一度店内を見渡すと、本当にたくさんの選択肢があることに気がつく。かっこよくなりたい、愛らしくいたい、挑戦したい、変わりたい…。あらゆる“自分”を、彩りあるフルコースに仕上げるための、頼れる付け合わせ。甘酸っぱいフルーツで、お料理の旨みが引き立つように。
あるいは、こっくりと濃いコーヒーでデザートの甘さに思い切り浸れるように。

白い服を着ると、背筋が伸びる。赤いソファに並んで座ると、たまには愛を口にしたくなる。黒いピカピカの靴なら、いつもより早い電車に乗るかもしれない。見上げた空の青は、まばらに浮かぶ雲が教えてくれる。 それらは全部、生活に“ときめき”が増えるということだと思った。
愛おしい者の鼻歌を、ふと家具にしたくなるのと、似ている。

garnishの素敵の秘密は、実はこれだけではない。
太一さんとりえさんは、元々高校の同級生だったなのだ。
10代からずっと一緒で、この第二の家のような素敵なお店で一緒に働いている。テレパシーなんて朝飯前なんじゃないか、と思ってしまう。
「もう四半世紀以上一緒にいるんですよ、びっくりしちゃいますよね」
笑いながら、りえさんは言った。

「でも、10年一緒にやっていて、なんでこんなの買い付けてきたんだろうって思ったものはないです。…1回ぐらいしか(笑)」
「喜びたいけど、逆にその1着が気になるんだけど!」
愛と信頼とリスペクト、そして、ユーモア。
笑いあう2人を見て、改めて、本当に素敵なお店に出逢えたと思った。

帰って、改めてgarnishのインスタグラムを見て気がついた。
素敵な洋服や家具の中、本当にさりげなく、時折投稿されている、家族の日々。
「きみが歌うクロッカスの歌も新しき家具の一つに数えんとする」
大好きな詩が、また浮かぶ。

そう、私も、いつかはこうありたいんだ。
日常に散らばる愛やときめきと“生活”がしたい。
頑張らず、大げさじゃなくて。
ごくごくさりげなく、家族の日々の、生活の、一部として。
重ねていく思い出の中に、愛すべき服を、物語のある家具を、見逃せないときめきを添えていきたい。
そして、この先四半世紀以上を一緒に過ごせる愛おしい家族がいてくれたら、わたしのフルコースは完璧だ。
まだ、古着という冒険を知らない幼い娘の寝顔を見ながら、そんなことを思った。
 


柄ワンピース¥11900+tax


やまみちテープ サーキュラースカート ¥14900+tax

Photo:Kayo Sekiguchi
Edit:Namiko Azuma
Text:Miiki Sugita
 

garnish(ガーニッシュ)
住所:武蔵野市吉祥寺本町4-1-2
tel:0422-21-2707
営業時間:1300
定休日:なし
Instagram:@garnish_vintage

出典:She magizine

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