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回答率100%!? 希望通りの飲食店を探してくれるグルメチャットアプリ『ペコッター』の裏側とは?

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仕事の接待や思いを寄せる人との食事において、お店選びは明暗を分ける大事な選択。相手を満足させるべく、味や雰囲気、予算などさまざまな条件をクリアする店探しに翻弄される人も少なくないだろう。また、出張先などでふらっとどこかへ立ち寄りたくなったときにも、近場の飲み屋情報があればありがたいもの。

そんなとき役に立つのが、回答率100%で話題のグルメチャットアプリ『ペコッター』だ。ペコッターは、行きたいお店の要望などをチャットに書き込むだけで、イメージキャラクターの「はらぺこ君」や、ユーザーからおすすめのお店情報が寄せられるというiOS専用アプリ。回答まで約5分というスピード感も然ることながら、行きたいお店が決まったらすぐに予約を代行してくれるという、なんともありがたいサービスを兼ね備えている。突然店探しの必要に迫られても、忙しくて予約の電話をかけられなくても、ペコッターに問いかけるだけですべてが解決するのだ。

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チャット形式でお店を探せるグルメQ&Aアプリ「ペコッター」(アプリダウンロードページ:http://bit.ly/PECOTTEr

そもそも、なぜたったの5分足らずで100%回答することができるのだろうか。ペコッターに対するさまざまな疑問を、サービスを運営している株式会社ブライトテーブル代表取締役で開発者の松下勇作さんに伺った。

◆会社員時代の同期が気づかせてくれた“食卓を囲む”大切さ

――ブライトテーブルを立ち上げる前は、どんな仕事をしていたのですか?

松下勇作さん(以下、松下):東京大学の生物化学専攻で人間の細胞の仕組みについて学び、博士課程まで進みました。でも、家庭の事情で中退して、金融系のシステムを作る会社に就職したんです。そこで3年ほど働いたのちに、独立してブライトテーブルを立ち上げました。

――飲食とはかけ離れた世界にいたんですね。「食」を事業の中心に据えたのには、なにかきっかけがあったのですか?

松下:会社員時代、同期の飲み会を僕が取り仕切ることが多かったのですが、それぞれ忙しくなるにつれて、飲みの機会が減っていったんです。それと同時に「心が折れた」って会社を辞めていく同期も出てきて、彼らの話を聞いているうちに、もし一緒に飲む時間を作っていたら立ち直れたのかもしれないって感じて。それから、「テーブルシェア(※SNSのつながりを利用したオープンな食事会。”日程が合う人同士で””友人を誘って”など、より幅広い交流が期待できる)」という形で「食卓をシェアしよう」「理由はないけど飲み会しよう」と社内ではじめました。

ちょうどそのころ、たまたまベンチャーキャピタルの友人からビジネスコンテストの話を聞き、「テーブルシェアを事業化するなら」と、興味本位で出場したんです。ずっと頭の中にあった「食卓を囲むこと」の大切さを事業にしたらどうだろうって思って。

――それから、起業の道に進んだんですね。

松下:2年くらいはテーブルシェアのサービスをしていました。でも、オンラインでかんたんにコミュニケーションが取れる時代に、あえて「オフラインで会う」ことをサービスにするというのは、時代に抗うような形になってしまって、いまいちうまくいかなかったんです。

新たなサービスを模索していたところ、ふと地下鉄のホームで周りを見渡したら、みんなスマホで何か検索してるんです。ちょうどその頃、地下でも電波が通じるようになったんですよね。それを見ていたら、「小さい画面でいろんなお店の口コミを読み比べるのは厳しいだろうな」って感じて。そこから「ペコッター」のアイデアが生まれました。要は、「みんなが不便に感じていること」にパッチ(解決策)をあてる発想です。そこから1年くらい開発に専念して、2015年の3月にリリースしました。

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◆偶然か? はたまた運命か!? はらぺこ君誕生秘話

――ペコッターといえば、イメージキャラクターの「はらぺこ君」がかわいいですよね。誕生のきっかけを教えてください。

松下:気軽に不具合や感想、要望などを伝えてもらうため、チャットを利用しようと考えたんです。それで、はじめは僕の顔写真で「代表の松下です。なんでも言ってください!」ってやる? なんて言ってたんですけど(笑)、せっかくの雰囲気が崩れるので、ペコッターの世界観に合ったキャラクターとして「はらぺこ君」が誕生しました。

――ヒツジをモチーフにしたのは何か理由があるんですか?

松下:よく間違われるんですけど……生クリームの妖精なんです(笑)。で、手に持っている草はミントの葉っぱ。はじめはアルパカとかモコモコした動物をイメージしていたのですが、顔が長いとアイコンに入らないんですよね。それでポンポンぐちゃ! ってして、はらぺこ君が生まれたんです(笑)。

――失礼いたしました! 語尾に「ペコ」が付くのも親しみが持てていいですね。

松下:チャットって小さい吹き出しでやり取りをするので、敬語だと長くなって読みづらいんですよね。でも、「○○でいいペコ?」なら、ユーザーさんに失礼なく、端的に内容を伝えられます。ただ、初めからペコ語だったわけではなく、やりとりをしていく中で生まれてきたスタイルなんですよ。

――ちなみに、宣伝からその格好だったとお聞きしたのですが……。

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松下:よくご存じですね(笑)。サービスを広めるとき、なるべく効率的に、いちばん効果を発揮する方法でプロモーションしたかったんです。イベントなどの集まりの場で、「どうしてそんなのをかぶってるんですか?」って、向こうから興味を持って声をかけてもらえたら、「こういうことやってまして」って話せるじゃないですか。自分から話すと営業になっちゃうけど、質問に答える形なら受け手にとってはプラスのイメージになるかなと、いろいろ考えた結果です。

◆努力と使命感で成し得た“5分100%”の回答率

――ところで、最初はユーザー数も少ないのに、どうして「5分以内に100%の回答」ができたのですか?

松下:リリース開始からしばらくは、僕がすべての質問に回答していました。僕、自分のスマホの中に、飲食店リストをエリア別にストックしているんですよ。例えば、恵比寿のお店はすべて「恵比寿・○○」みたいに店名の前に地名を書いてあるので、エリア名を入れるだけで一覧が出てきます。そこからユーザーさんのニーズに合った店舗をチョイスして提案するので、5分以内の返信が可能だったんです。地方など、僕の知らない街の質問は「一緒に探してあげる」っていう姿勢で、知り合いに聞くなどして回答していました。

――完全に人力だったんですね! リリース当初の質問量はどのくらいだったんですか?

松下:20分に1件くらいのペースできていました。朝、目覚めとともにペコッターをチェックして回答して……からスタート。ミーティング中や移動中でも、夜中の2時頃眠りにつくまで、質問がきたら即回答の日々でしたね(笑)。今では分速で質問が来ますが、半年ほどでユーザー同士の助け合いが生まれたので、僕自身で回答することは少なくなりました。回答してくれた人にアマゾンギフト券に換えられる「ペコポイント」を付与する仕組みも、効果があったかと思います。

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――回答がつかないことはないのですか?

松下:たまにありますよ。ユーザーさんからの回答がつかない質問は、必ず運営でサポートしています。社内のコミュニケーションツールに「モニ太郎」っていうモニタリングするキャラクターがいて、回答がつかない質問を教えてくれるんです。「○○ちゃんが待っているモニ」って(笑)。

リリース当初から今でも変わらず、せっかくペコッターというアプリに来てくれて、質問までしてくれたユーザーさんに対して、とにかく誠意をもってお返ししたいなという使命感が大きいかもしれません。

◆あらゆる質問が“ビジネスの種”になる

――今まで来た質問で苦労したものはありましたか?

松下:「グルメサイトに載ってないお店を教えてほしい」というものですかね。そもそもグルメサイトのリンクで紹介しているので、載っていなければ教えようがない(笑)。あと、「一見さんお断りのお店」も苦労しました。知り合いの投資家さんに尋ねて提案はしましたけど、入れたかどうか……。それと、まれにですけど、「美味い」と「上手い」をかけて「散髪のうまい店」とか、クリスマスに「今すぐ入れるラブホテル」なんて質問もありました(笑)。

――では逆に、うれしかった言葉は?

松下:意中の女性へ告白するお店を質問したユーザーさんが、その後「付き合うことになりました」と報告をくれたのはうれしかったです。「接待がうまくいった」とか、うれしい声はたくさんいただいています。

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ユーザーさんから感謝のメッセージとともに届いた手づくりのプレゼント

松下:社内のホスピタリティの高さを保つためにも、どんな質問にもできる限り答えることを大切にしています。質問ややりとりから、ペコッターへのニーズや新しい使い方が発見できることもあるので、ビジネスの種を摘まないためにも“聞く”ことを大事にしていきたいと思っています。

――無料アプリでそこまでひとりひとりのユーザーに寄り添って尽力できる原動力はどこからきているのですか?

松下:ビジネス的な側面でいえば、日本語のやりとりのデータこそが自動化するときの資産になります。そのデータを使って自動で会話できるロボットが作れれば、やりとりのコストが下がってなんらかのマネタイズが走り出すのかなって。今はそのための先行投資だと思っています。

個人やチームとしては、「やるからにはいいアプリサービスを提供しよう」っていう思いですかね。「あのペコッターを作ってるんですね!」って言われるようになれば、それが運用チームとしても誇りになると思います。

◆「ペコっとく?」がみんなの日常になる日を目指して

――ところで、東京、神奈川限定で、「メカペコ君」という人工知能を利用した新しいキャラクターも登場したそうですが、どんなことをしてくれるのですか?

松下:質問にぴったりのお店を、投稿から5秒後に教えてくれるんです。人力で回答していたときは、ユーザーさんの回答を含めても3分くらいはかかりました。待っている方は3分でも長く感じるので、かなり印象は変わったかなって思います。

――メカペコ君の回答は過去の履歴を参考にしているんですか?

松下:履歴も活用していますが、グルメ雑誌や周辺リサーチなど独自に情報を集めて、リストアップしています。あと、「個室が2名から使えるか」みたいな、サイトだけではわからない情報を電話で直接聞いたり、渋谷のお店なら訪問もして、雰囲気や店員さんの対応を見たりしています。そうやってあらゆる情報を集めたうえで、そこから僕たちが選んだお店をメカペコ君に教えこませているんです。

――メカペコ君の導入で、今後どんなことが可能になっていくのでしょうか。

松下:直近で取り組んでいるのは、メカペコ君との対話です。メカペコ君の回答に対する「もう少し○○がいい」という追加の要望を認識して、よりニーズに近いお店を提案できるようになっていくと思います。あとは、メカペコ君の全国展開も遠くない将来の視野には入っています。でも、今は開発の優先度を考えて、まず東京・神奈川で深堀りして広げていくほうが先決かと。

――Android版を出す予定は?

松下:iOSとAndroid2種類のアプリを作ると、開発の工程も2倍になってしまうんです。それなら、iOSの開発に専念して、2倍サービスを進化させたほうがいいかなって。それに、「チャットbot」といって、すべてチャットの中だけで提供するサービスが今後伸びてくるはずなんです。今はマルチチャネルで提供できるよう、レコメンドの仕組みの精度を上げるほうに力を割いています。サービスが完成形に近づいたら、Androidでの開発もあり得ると思いますよ。

――会社の今後のビジョンを教えてください。

松下:ブライトテーブルは「食卓を明るくする」ために作った会社なので、今のスタイルにとらわれることなく、もっといろいろなものにチャレンジしていきたいです。「食事へ行く」となったとき、「ペコっとく?」みたいな。みんなの日常になるまで、ペコッターを「なくてはならない存在にしたい」というのが近い将来の目標です。そしてゆくゆくは、はらぺこ君でチャットbotの世界をけん引するようなサービスになりたいですね。

あと個人的には、僕らは今、人類が2,000年間で作り上げてきた文化の最先端にいるわけですよね。その時代にスマホができて、チャットで話して情報を共有できるようにもなって、僕らが人類の幅を広げているみたいな感じ。そんな時代の歴史に、かすかにでも自分の生きた跡を残すことができたらなと思います。そのためにも、ペコッターをより「使える」アプリにしていきたいですね。

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WRITING:千葉こころ+プレスラボ PHOTO:安井信介

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