政務活動費は砂浜だった 千葉県市川市の百条委員会報告書より

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政務活動費は砂浜だった
千葉県市川市の百条委員会報告書より

 百条委員会という言葉は政務活動費不正疑惑や元東京都の猪瀬知事に対しての設置、直後辞任など関心のある方はよく耳にする言葉だと思いますが実物を見ることはあまりないのではないかと思います。
今回は千葉県市川市の百条委員会の報告書を紹介します。

「砂浜を歩くと、そこには歩いた人の足跡が残るものである。 砂浜をどう歩いてきたのかは 、歩いた人が自身の足跡を示すことで 、誰もが首肯(※)するところとなる。本委員会では、政務活動費(調査費)という砂浜に残されたはっきりとした足跡を、最終的に了知することはできなかった。 しかしながら、市民にとって、(議員により)政務活動費が使用されたという足跡は、常に「はっきり見えるもの」でなければならない。」〜千葉県市川市「政務活動費等により切手を大量に購入した議員の調査に関する特別委員会」報告書77ページよりhttp://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000241033.pdf
これは千葉市川市の政務活動費等の不正支出に関しての百条委員会による調査報告書の82ページにわたる報告書です。
百条委員会という言葉はよく耳にすると思いますが実物を見ることはあまりないのでこの機会に目を通してみてください。
※しゅこう【首肯】うなずく 納得する

政務活動費は砂浜だった。

2016年9月26日、市川市の政務活動費により切手を大量に購入した議員の調査に関する特別委員会の調査報告書が発表されました。

過去の経緯は、2014年8月に市民から「一部会派の議員が切手を大量購入している」として監査請求が行われ棄却、同12月24日、政務活動費の不正支出疑惑で2つの百条委員会が設置される異常な事態から2年以上を経てようやく調査報告書が発表されました。
経緯詳細はこちら http://gikainews.jp/924

調査報告書の75ページ 5まとめ には
「結局のところ本調査事項に係るアンケートの実施の有無についてはこれを断言できるだけの確証を得ることはできなかった。」
とあり政務調査費の不正事実は実証できなかった模様です。だれも責任は取らなくて良いようです。

そもそも野々村号泣議員より続く切手大好き議員のチェック機能は無いのかという疑問ですが市川市の場合、政務活動費は各会派から提出された予算案を
「議院事務局庶務課」で一次審査、その後議長が行政「総務部総務課」へ提出し二次審査を経て承認となりますからすでに二重チェックを通過していることになります。
どこの地方議会も同じようなルールで動いているはずですから切手問題などが取り沙汰される議会はチェック機能が麻痺しているといってもよいでしょう。

調査報告の内容ですが送りつけたアンケートの回収率が90%を超えたり(66ページ)、数千もの同じ送付物全部に切手を貼って出すなどあり得ないが実証できないものが盛り沢山。
議員の宣誓拒否や数ヶ月にわたる証人の不出頭も問題ないようです。
結果、この調査報告書からは不正支出が確認出来ていないのでわかりやすい不正支出議員一覧も作れません。

外部監査までつかって作成した調査報告書も最後は議会の自浄作用に頼るしかといった締めくくりでした。→砂浜の足跡

政務活動費問題については富山市議会などの事例をはじめ全国の地方自治体で表面化しない不都合な事実は少なからずあると思われます。

切手大量購入などポピュラーな手法で攻めてくる会派や議員は流石にもう出てこない気がしますが、怪しい政務活動費それぞれに監査請求、百条委員会を設置するというのも現実的ではなく、設置出来たとしても市川市のような形での結末が見えています。司法の裁定に委ねられるのも稀でしょう。それでも懲りない面々は議員を継続、灰色切手議員候補に投票する選挙人(有権者)も継続するでしょう。

地方議員は地元有権者が直接選挙で選ぶことが出来る仕組みになっています。

地方議員の政務活動費はオープンソースで議員事務事業標準会計システムを導入し、まずは支出面から議員を評価できるようになればいいと思います。

地方議会ニュース 記者 青山真士
PHOTO   POHAN CHEN   https://www.flickr.com/photos/pohan-camera/

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