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映画『沈黙』にも縁 信徒の涙が流れた長崎、天草の教会を旅する

映画『沈黙』にも縁 信徒の涙が流れた長崎、天草の教会を旅する

 全国公開が始まった、マーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙」。原作は遠藤周作の同名小説です。厳しいキリシタン禁制下の江戸時代の日本に潜入したポルトガル人司祭の苦悩を描いた作品。スコセッシ監督は28年前に原作を読み、ようやく、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、加瀬亮といった豪華な日本人キャストも交え、公開にこぎつけました。

 不幸な歴史を背負いながらも、キリスト教を信仰し続けてきた長崎と熊本の天草地方。映画で注目を浴びるとともに、世界遺産登録に向けての期待も高まっていますが、この地には数多くの教会が残されています。それらを旅してまわった本書『長崎と天草の教会を旅して』が出版されました。

 著者は長崎在住の写真家、繁延あづささん。荘厳な教会だけでなく、離島などの最果ての地でひっそりと佇む小さな教会が多いことに、心をひかれたといいます。

 「日本におけるキリシタンの歴史をあらわす遺構は、執拗な破却によってほとんど何も残っていません。そんな中で、小さな教会のある風景は、物語のラストシーンだけが残された小説のように思えました。そして、そのラストシーンに至る物語を、辿ってみたい……」(本書より)と繁延さん。

 たとえば、モデルのKIKIさんとめぐった野崎島。2001年を最後に定住者がいなくなったその島で、キリシタン禁制のもと差別、迫害された信徒。明治時代になり禁教が解かれ、貧しくも教会を建設しようと奔走した人々。そして、廃堂となった今も凛として建つレンガ造りの旧野首教会。歴史を振り返ると今という目の前のラストシーンが、より鮮明に、より尊いものに思えてくるのではないでしょうか。穏やかな海を臨む丘に建つ小さな教会が人々にもたらした、たくさんの幸福を本からも感じることができます。

 現在は、信仰の場である教会内の撮影が規制されているとのこと。本書はその直前に丁寧に撮られた、貴重な一冊となりました。

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