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「ママ安心して、パパがんばって」熊本地震の日、お腹の中から励ましてくれた胎動

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流産を経て、結婚7年目にやっと妊娠中期まで経過した時期でした。

いつ胎動ってわかるんだろうね、なんて夫と話す日々を送っていました。

遅めの夕食を終えたとき、「ズン」っという音と同時に、自分も食器も跳び上がるような強い下からの衝撃を感じました。熊本地震の前震でした。

夫は災害時にはすぐに出動しなければならない職種でした。

一緒に行こう、と言ってくれましたが、地震に驚いた私のお腹はカチカチに張り、とても着いては行けない状態でした。

避難所まで歩くことも難しいと判断した私は、その晩は夫の帰りを家で待つことにしました。

翌日の午後に夫が帰って来るまでお腹は断続的に張り、一睡もできませんでした。やっと眠れると思った夜、本震はやってきました。 関連記事:あの日、帰宅難民になったパパが考える、夫・父として意識しておくべき2つのこと

やはり夫は家を空けざるを得なかったので、少しでもお互いの不安を減らそうと、本震の後は、私は夫の職場に近い場所で車中泊することにしました。

一人で過ごす夜の車の中は、冷えるし寂しいし、何より心細かったです。

このまま水や食事が底を尽きたら?このままお腹が張り続けたら?せっかくお腹に来てくれたこの子はどうなってしまうんだろう…また流産してしまったら…と考えてしまい、涙が出そうになるのを堪えて夜明けを待っていました。

そのとき、これまで感じたことのなかった「くるんっ」と何かがお腹の奥で動くのを感じました。

なんとなく、金魚が小さな丸い空間で一回転したみたい、とそのときは思いました。

これは何?もしかしてこれが胎動?

お腹にあてた手に感じることはできなかったけど、それは確かに私の中で動いて、夜明けまでに同じ感触を同じ場所に何度も響かせてきました。

すぐに返事は来ないだろうと思いながらも、夫へLINEで伝えました。「胎動が分かったよ」と。

少しずつ黄色に染まっていく空を見ながら、

「朝ごはんを食べて、元気を出して、私は何が何でもお腹の子を育てなきゃ!」

という思いがむくむくと湧いてくるのがわかりました。

ぬるい水で戻した非常用のお米をむしゃむしゃ食べながら、笑顔で夫の帰りを待って、秋には3人で楽しい生活を始めるんだ!という考えが私の中で確固たるものになっていきました。 関連記事:「お母さん、僕がいるから大丈夫だよ!」涙する私に、お腹の中から伝えてくれた息子

私を心配してくれた知人の中には、「身重の奥さんを置いて仕事に行くなんて!」と夫の行動を批判する方もいました。

でも、夫とその同僚の方々によって、たくさんの命が救われたのです。

そうなることが夫の本意だったので、私は夫の判断を誇りに思っています。

仕事のピークを越えて帰宅できた夫と、「この子は胎動で『大丈夫だよ』ってお母さんを励まして、お父さんを仕事に集中させてくれたんだよね」と、二人でお腹に手をあててお礼を言い、ベッドに並んで横になったときの安堵といったらありませんでした。

あのとき、元気だよ、と知らせてくれてありがとう。

おかげで私は、地震の中でもへこたれることなく、あなたの母親になれました。

著者:hr

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