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古くから女性たちの暮らしを彩る「キルト」の魅力

古くから女性たちの暮らしを彩る「キルト」の魅力

年間を通じ、さまざまなイベントが開催される東京ドーム(東京都文京区)。ここで2017年1月19日から25日にかけて開催されるのが「東京国際キルトフェスティバル」です。プロ野球もシーズンオフだし、アイドルのコンサートでもない……、失礼ながらやや地味にも思えるこのイベント。しかしながら、じつは今回で第16回目を数える伝統の催しなのだとか。期間中、最寄りのJR水道橋駅は淑女の皆様で埋め尽くされ、「キルトファン」の熱気が漂います。イベントを前に、インテリアにも使えそうなキルトの魅力について、識者に聞きました。

キルトフェスには世界から来場者が集まる

キルト専門誌「キルトジャパン」(日本ヴォーグ社)の石上友美編集長は「東京国際キルトフェスティバル」の盛り上がりについて、次のように話します。

「キルトの発祥はアメリカですが、本場で開催されるイベントに負けないくらいの規模と大きさのフェスティバルです。外国からの来場者も多く、世界中から注目されているんです。基本は国内の作家の作品ですが、海外から作家を招くこともあります。芸術品を楽しむ感覚で足を運ぶ方はもとより、ご自身もキルトをつくっていてヒントを探す方もいらっしゃいます。また、日本最大級のマーケットも開催され、あまり見かけない布や針道具、ミシンなども購入できますので、それを目当てに来場する方も多いですね」(石上編集長、以下同)

期間中は「キルトコンテスト」も開催され、審査は伝統的なデザインに基づいた作品「トラディショナル」、独創性が求められる「創作」のほか、「和」「額絵キルト」「バッグ」「ジュニア」の6部門で行われます。2016年は応募総数1459点から選ばれた400点近い作品が展示されたそう。ちなみに、最高賞は「日本キルト大賞」で、キルトづくりを楽しむ人たちにとって憧れの賞でもあるようです。【画像1】200以上並ぶブースでは、作品づくりを体験できるワークショップも開催。「キルトジャパン」を発行する日本ヴォーグ社も例年ブースを出しているそう(写真提供:日本ヴォーグ社/キルトジャパン)

【画像1】200以上並ぶブースでは、作品づくりを体験できるワークショップも開催。「キルトジャパン」を発行する日本ヴォーグ社も例年ブースを出しているそう(写真提供:日本ヴォーグ社/キルトジャパン)

アメリカの開拓時代から、女性たちの生活や日常に根付いていたキルト

2015年までに累計350万人が訪れたという「東京国際キルトフェスティバル」。では、多くの人を魅了するキルトとは、そもそもどのようなものなのでしょうか?

「布の表地と裏地の間に綿をいれ、刺し縫いをした3層構造になっている製品のことを『キルト』と呼びます。歴史をさかのぼるとキルトの原型となるものは、紀元前3000年前の古代エジプト時代にあったようですが、盛んにつくられるようになったのは中世のヨーロッパです。当初は保温着として重宝されていましたが、じきに上流階級の女性たちが手芸としてたしなむようになりました。その後、アメリカに渡った開拓者たちによって、端切れ布を縫い合わせる『パッチワーク』がつくられるようになりました。当時、一枚の布は非常に貴重で高価だっため、再利用していたんです」

キルトはベッドカバーや間仕切りなどインテリアの一部としてだけではなく、赤ちゃんのおくるみや南北戦争では遺体をくるむ布としても使われたそう。また、当時の女性たちの人生と深くかかわっていたのも特徴的です。

「結婚式のときにはウエディングキルトをつくって花嫁にもたせる習慣がありました。今でもアメリカ人女性のなかには、おばあちゃんがつくってくれたキルトを大事にもっている人もいます。また、大人数で一枚のキルトを制作する『キルティング・ビー』というサークルがあり、女性の社交場としての役割をもっていました。キルトはアメリカ開拓時代から、女性たちの人生の節目や日常に根付いていたんです。産業革命によって布が大量生産されるようになり、それまでは手持ちの端切れでつくっていたものが段々と自分の好きな色や模様をつくれるようになったため、デザイン性に富んだキルトが広がっていきました」

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