ポール・マッカートニー、ビートルズ時代の楽曲の権利を取り戻す裁判を起こす

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ポール・マッカートニー、ビートルズ時代の楽曲の権利を取り戻す裁判を起こす

 ポール・マッカートニーが、ソニー/ATV音楽出版を相手取り、ビートルズ時代に自身が関わった貴重な楽曲の数々の所有権を近く取り戻すことができると言明する宣言的判決を求める裁判を米ニューヨークで起こした。

 アメリカ合衆国の著作権法に盛り込まれた解除規定を活用する目的のこの裁判は、音楽業界のこの10年間で最も重要な法廷闘争の一つになるかもしれない。

 1976年にアメリカ連邦議会は楽曲の著作権保護期間を延長したが、交渉力が弱い立場の制作者が音楽出版会社やスタジオに譲渡していた楽曲の著作権について、35年が過ぎた時点で返還を要求することができ、保護期間の終盤に権利を取り戻すことを認めている。ボブ・ディラン、トム・ペティ、そしてプリンスなどは権利解除をちらつかせるだけで新たな契約や条件のいい報酬協定を結ぶことに成功した。

 マッカートニー側の訴状によると、1962年から1971年の間にジョン・レノンと共作した楽曲の数々の権利を様々な音楽出版会社に譲渡したとしている。

 1980年代にマイケル・ジャクソンが「イエスタディ」、「ヘイ・ジュード」、「レット・イット・ビー」などを含むビートルズの権利を買った話は有名だが、その後彼はソニー/ATVと共同事業に乗り出し、2016年に彼の遺産管理人がマイケル側の残りの所有権をソニーに売却した。

 この訴訟により、マッカートニー側が10年近く解除通知を送達し、それを記録していたことが明らかになった。早ければ2018年10月5日にも著作権を取り戻すつもりでいる。「最初に解除通知を送達してから被告側は一度もポール・マッカートニーに解除通知の有効性を争う姿勢を見せていません。ですが、被告側の関連会社は少なくとも1組の別のアーティストに対し、1976年の著作権法の条項による譲渡の解除を妨げています」と訴状には記述されている。

 これは2016年12月にデュラン・デュランがアメリカでの著作権返還を求めていた裁判でソニー/ATV側が勝訴したことを指している。イギリスの高等法院は、バンドが交わした契約は英国法が適用されるため、著作権解除に関する米国法よりも契約内容が優先されるとする判決を下し、議論を呼んだ。

 この判決により、ソニーはビートルズの楽曲に関しても同様の作戦が使えると判断したようだ。つまり、マッカートニー側からの解除通知に反応しないまま、著作権解除が発効した段階で契約違反を訴える手段に出ようとしているのでは、とマッカートニー側は警戒しているのだ。

 マッカートニー側が今訴訟を起こしたのは、イギリスではなくアメリカの裁判所にこの争いについて裁定を下してもらおうとしているのは明らかだ。そうすることにより、アメリカでは解除権利は譲渡不可能なので、契約内容より優先されると主張するものとみられる。

 なお、訴状に添付された資料によると、ジョン・レノンの所有権に関しては著作権の存続期間が切れるまでソニーが全世界での権利を保持するようソニー側が手配している。

 ソニー/ATV音楽出版は、「貴重なレノン&マッカートニーの楽曲に関し、ソニー/ATVは、サー・ポール・マッカートニーと長年互いに実り多い関係を築いており、彼に対して最大の敬意を表します。我々は何十年もの間、楽曲の長期的な価値を保護、保存、そして促進するためにサー・ポールと故ジョン・レノンの遺産管理人と緊密に連携してきました。この訴訟は不必要で時期尚早であり、起こされたことに失望しています」とする声明を発表している。

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