北海道の住宅事情[前編] 部屋の暖かさが日本一ってホント!?

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北海道の住宅事情[前編] 部屋の暖かさが日本一ってホント!?

「冬でも家の中ではTシャツ1枚で平気らしい」と、なかば常識として語られている北海道の暮らし。札幌在住の筆者は、夏でもないのにわざわざ半袖Tシャツ1枚で過ごすことはないが、それくらいの薄着でも平気なことは確かだ。厳寒の地・北海道の家はなぜそんなにあたたかいのか、北海道人は部屋の中でどう過ごしているのかを紹介しよう。

室内にツララができる寒い家は過去の話? 今は室温の高さ日本一

あたたかいと言われる北海道の家だが、昔は寒かった。特に古くて断熱性能の低い一戸建ての場合、玄関ホールに置いてある瓶入りのジュースが凍って割れる、お風呂の湯気が翌朝には浴室の窓枠に小さなツララになって下がっている、吐く息で掛け布団の襟元が明け方には凍るなど、玄関や廊下、水まわりの寒さは過酷だった。しかし、それは住宅の断熱性や気密性が今ほど進化していないころのこと。今でも、築年数が古い寒い家は多いが、最近のマンションや一戸建ては寒い外とは別世界のあたたかさだ。

北海道の家があたたかいことは、アンケートの結果からも分かる。2012年1月にウェザーニューズ社が行った「部屋の温度×セツデン調査」によると、厳寒期の1月の室温の高さは、北海道が20.73度で堂々の全国1位。おもしろいのは、室温が20度を超えている4道県のうち、1位、3位、4位が北海道・東北からのランクインだということ。北海道を筆頭に、寒い地域のほうが部屋をあたためることに力を入れるのだろう。冬に薄着だという点も、アンケート結果で証明されている。1月の室内での「半袖+短パン率」が、南国の沖縄県、長崎県に次いで北海道は3位だ。【画像1】2012年1月ウェザーニューズ調べ(回答者数2万3089人)

【画像1】2012年1月ウェザーニューズ調べ(回答者数2万3089人)

半年近く続く厳しい冬。乗り切るために部屋のあたたかさは重要

北海道人は寒い部屋で我慢しながら過ごすことが嫌いだ。北海道の冬は長い。初雪が降る10月下旬から雪がなくなる3月下旬までの半年近くを雪と寒さに閉ざされるのだ。部屋の中にいるときくらい、ぬくぬくとあたたまりたい。外の気温と差がないような寒い家では、気温が氷点下になる冬の夜など、寝ている間に命の危険にさらされることにもなる。快適に過ごすため、そして、命を守るため暖房費はケチらないという声も多い。

周囲の北海道人に意見を聞いてみた。

●寒さで風邪を引いて病院にかかるよりもいいし、薄着ですめば冬物の部屋着もそれほど必要ないので、ストーブはどんどん焚いたほうがかえって経済的(石狩市・32歳・男性)

●「最高気温が氷点下」という日も多いので、中途半端に冷えた体で外に出ると、あっという間に凍えてしまう。十分に体があたたまった状態にするためにも、室内をあたたかくすることは重要(札幌市・41歳・女性)

●寒いと悲しくなる(札幌市・35歳・女性)

●寒いのは嫌い。こちらは夏にエアコンを使わない(というか持ってない)ので、その分、暖房にお金をかけたっていいと思ってる(札幌市・28歳・女性)

●モコモコしたセーターが嫌いだから、シャツ1枚で過ごせる室温をキープする(札幌市・52歳・男性)

寒さ嫌いの北海道人を支える、住宅の断熱性・気密性の進化

今でも築年数が古い家は、盛大にストーブを焚かなければ寒いケースが多い。しかし、最近は一戸建てでもストーブ1台で家中あたたまるなど、寒さで苦労しない家が年々増えている。

北海道では、地元の工務店をはじめとする建築会社やリフォーム会社が、冬の寒さを乗り切るための家づくりを試行錯誤しながら進めてきた。かつては二重窓、今は複層ガラスのサッシが一般的。断熱材は厚くして断熱効果を高めるほか、家の構造材の外側を断熱材でくるむ外張り断熱工法が普及するのも本州より早かった。このように、断熱性能・気密性能を高める努力をしながら家づくりを行ってきた結果、昔のように盛大にストーブを焚かなくてもあたたかい家が多くなってきたのだ。

しっかり入れた断熱材で外の寒さに影響されず、隙間の少ない構造があたたまった空気を逃がさないから、家の中の温度ムラが少ない。暖房器具としてコタツを使わない家が多く、こたつ所有率は47都道府県中47位なのも、家のどこにいてもあたたかい証拠といえる。灯油ストーブ1台で暖房は十分という一戸建てや、床暖房と補助的にエアコンを使うだけというマンションも珍しくなく、家の中の寒さが嫌いな北海道人が、莫大な暖房費をかけなくても快適に暮らせる家が一般的になっているのだ。【画像2】2014年1月ウェザーニューズ調べ(回答者数6万6487人)

【画像2】2014年1月ウェザーニューズ調べ(回答者数6万6487人)

では、あたたかさがアップしている最近の家で、北海道人はどう暮らしているのだろう。古い家との違いは何だろう。

●築40年超の木造一戸建てのころは、初雪が降ったらストーブをつけて、春が来るまで24時間つけっぱなしだった。建て替えた今の家は、朝晩に数時間つけるだけで一日中あたたかい(札幌市・52歳・男性)

●冬でも厚いセーターは着なくなった(札幌市・41歳・女性)

●昔は一戸建ては寒く、マンションはあたたかいというイメージだったが、最近はどちらもあたたかいので、家を買うときの選択肢が増えたと思う(石狩市・32歳・男性)

●猫を飼っていると外出中もストーブをつけたままという話を以前はよく聞いたけど、今のマンションはストーブを消して出かけても室温が急には下がらないから安心(札幌市・40歳・女性)

寒い時期にあたたかく暮らしている北海道では、どんな暖房器具を使い、暖房費はいくらかかっているのだろう。後編では、気になる暖房費について紹介する。●参考

・ウェザーニューズ

節電効果!? 部屋の温度、昨年より全国的に0.5℃低下

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