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【2年連続ベストセラー1位、ドラマ化も決定】『嫌われる勇気』が支持され続ける理由とは?

上司と部下が人間として対等だと皆が理解していれば、風通しのいい職場になります。上司側も、理不尽に怒鳴って虚勢を張らなくても普通にすればいいんだと気付いたほうが、はるかに楽でしょう。部下の意見が正しければ、それを採用すればいいだけで、それで上司のプライドや立場が傷つけられることはありません。上司にとって、そもそも部下が優れた部下になるのは誇るべきことであり、「自分が優れている」ことを示すことにもつながるのです。

私は奈良女子大学で古代ギリシア語を教えていたのですが、優秀な彼女たちにも古代ギリシア語は難解です。ギリシア語を日本語に訳すようにと言っても、答えずに黙ってしまう学生もいました。なぜ答えないのか聞くと、「間違って、デキが悪いと思われたくなかったから」という。私はそんなこと思わないし、わからないところがわからないと教えようがないし、自分の教え方のせいでわからないのかもしれない。「間違ってくれないと私が困るんだ」と伝えたら、次から間違えることを恐れなくなりました。

間違えることは授業の質の向上につながり、早い上達につながります。4月にアルファベットを覚えるところから始まった学生たちが、11月にはプラトンの『ソクラテスの弁明』を原書で読めるようになります。私は3年もかかったのに…。きっと彼女たちの教師が優秀だからでしょうが(笑)、教師が優秀ならば、生徒は教師を超えるのです。

職場もこれと同じで、上司が優秀ならば部下はもっと優秀に育つはずなのです。自分を超える部下がたくさん出てきたら自分の評価も上がるし会社全体の利益にもなるのに、自分にしか関心がない人は、そんなことにも気付かず部下が伸びることを恐れる。そんな企業が伸びるはずはないのです。

「幸せに生きるために働く」べきであり、そう思えないなら変える決断をすべき

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「何のために人は働くのだろうか」と悩む人は多いですが、誰しも「働くために生きている」のではなく、「幸せに生きるために働く」のです。これさえ理解しておけば、ぶれることはありません。自分は今、幸せに生きられているのか?自分が幸せに生きるためには、どういう道を選べばいいのか?と自問自答しながら決断していけばいいのです。

今の世の中は終身雇用が当たり前ではなくなっているとはいえ、1つの会社で長く勤め上げることを推奨する風潮はまだあります。何かに着手したら、最後までやり遂げることを良しとする雰囲気も依然根強いです。

だからといって、本当は辛くて仕方ないのに会社を辞めずに頑張ったり、本当はしんどいのに仕事を投げ出さずに無理やり続けたりするのはおかしい。なぜならば、「この人生は、あなたの人生」なのだから。幸せに生きられない状況にいるならば、幸せに生きられそうな道に進むことを決断したほうがいいと思います。

アドラーの思想がテレビドラマ化され、広まるのは喜ばしいこと

――このようなアドラーの思想は、今の世の中にフィットしている気がします。そして、1月からはテレビドラマ化も決まっているとか。

アドラーにもやっと、こういうことが起こる時代になったのだなあと思いました。フロイトやユングにインスピレーションを受けた芸術家や作家はたくさんいますが、彼らに比べると、アドラーの場合は、そのような人はあまり多くなかった。

でも、アドラーの思想は「劇薬」と言われるだけあって、面白いし、得るものも大きい。これを何らかの方法で世に広めたいと思う人がいてもおかしくはありません。そもそもアドラーの思想を『嫌われる勇気』で対話篇の形にしたのもその一つ。アドラーの本を出すに当たり、編集の柿内芳文さん、ライターの古賀史健さんとでどんな内容にすればこの思想が効果的に伝わるのか議論していた時に、柿内さんが「この僕たちの議論をそのまま本にしたら、読者により面白く伝わるのではないか」と言い出したからなのです。今回のドラマ化もこの発想と同じ。しかも刑事ドラマという、思ってもみなかった方法でアドラーを伝えようとしてくれています。アドラーの思想に感銘を受けて広めたいと思う人が現れ始めたことをうれしく思います。

過去と未来を捨てて、今日を過ごすことに専念すれば、道は作られる

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