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「話しかけても反応してくれない…」認知症の方と楽しくコンタクトを取るコツ

こんにちは。クラウンアンバサダーの金本麻理子です。昨年は、認知症ONLINEを通して私の活動に興味を持ってくださり、ありがとうございました。

今年もケアリングクラウンの観点から、認知症ケアのご参考となれることをお伝えしていきたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願いします。

年末もありがたいことに、いくつかの高齢者施設を訪問させていただきました。その中で、ちょっと印象的だった場面がありました。今回はその中から、“反応の無い方”に対して、どうやったら楽しくコンタクトをとれるか、ヒントをお伝えします。

車いすに座っていた女性との出会い

ある高齢者施設を訪問中、私はアコーデイオンを弾きながら、入居者様のいられるフロアーを移動していました。窓からたっぷり光が入る廊下で、車いすに乗られた女性の方とすれ違いました。

顔が半分毛布に隠れていて、(お顔を拝見したいなあ。ご挨拶だけでもしたいなぁ)と、私は足をとめてその方に近づきました。車いすを押していらしたご主人が私に挨拶をしてくださったので、私に対してウエルカムであるのがわかりました。

まばたきの返事

女性は殆ど目をつぶったまま、眠っているようでした。そばにいたスタッフの方がその方の名前を呼びましたが、特に反応はありません。

私はその女性の手を静かに握り、お名前を呼び続けました。ほどなくその女性は目をゆっくり開け、そしてしぱしぱと瞬きをされました。私が名前を呼ぶのと比例してそのまばたきが強くなっていきます。

「○○さんの目、とっても輝いていますね。すごく奇麗」と私が言うと、その女性の目が大きく開かれたようでした。

そばに居たスタッフの方、そしてご主人がその様子にびっくりされていました。そして、手を握りながら歌を歌うと聞き入ってくださっている様で、ほんの少し唇が動いているようでした。

私は、「一緒に歌っているんですね」と声をかけながら静かに歌い続けました。ご主人は、「昨日、息子がきたときは何の反応もなかったのですよ。驚いたなあ。ちゃんとこうやって1対1のコミュニケーション大切なんだなあ」と、奥様の反応に驚きながら、ゆっくりと私と奥様のやりとりを見ていました。

そして、ポツリと話されました。

「いやあ、私はだめだな。だっていくら私が話しかけたって何も言わないんだものね。嫌になる」と。

コミュニケーション手段は言葉だけではない

後からスタッフの方に聞くと、奥様はアルツハイマー型認知症となり、ここ数ヶ月かなり進行しているとのことでした。そのご主人はとても熱心で、毎日奥様の所に通われているそうです。奥様に対するご主人の愛情も充分感じられました。

だからこそ、せっかく通ってきているのに、せっかくそばにいるのにともどかしい気持ちもあったり、なんとか良くなって欲しいという気持ちにもなるのでしょう。

ご主人からすると、「話しかけたらなんとか言ってよ」と言う気持ちになるのも無理はないと思います。

ただ、言葉では返事をしなくても、それ以外の表情やしぐさで応答したり自分の気持ちを表わしています。むしろ言葉以外でその人が自分の感情や気持ちを表わしている方が多いくらいなのです。

例えば、貧乏ゆすりをしていたり、立ったり座ったりしている場合は、もしかしたらイライラしている時なのかもしれない。声が大きくなったり荒げているようだったら、怒りを表わしているのかもしれない。横を向いたら嫌だのサイン。下を向いたら意気消沈している、などなど実にさまざまな表現の仕方を持っています。

クラウン的寄り添うとは?


しぐさ、一瞬の表情の違いを私たちクラウンは読み取って見逃さずにいます。そして“できている”ことにフォーカスして強化するのです。

その女性が瞬きを始めたら、すかさず、「○○さん目が輝いていますね!すごく奇麗」とこちらは言葉にし、そばにいる私もより大きく表現することで、その方も引っ張られるように目の輝きが増して反応が強くなりました。

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