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「台湾の駅弁あります」ノスタルジックな台南の駅弁で旅行気分【京都】

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よく通る道で数年前にオープンしていて気になっていたけど、まだ入ったことがなかったお店ってありますよね。こんにちは。メシ通レポーターの松永です。

今回、そんなお店に入ってみようと思い、行ってみたのは、京都は河原町丸太町の交差点すぐにある「微風台南」さん。

エスニックな提灯がかかる外観。

交差点の北東側にあり、ふたつ隣には京都で有名なタイ料理屋も。河原町丸太町はなんだか国際色豊かです。

気になっていたのはこのメニュー。台湾の伝統的な弁当ってなんだろう。楽しみ。

ドアには台湾語?「開けたら閉めてください」かな……開けてみます。

お、外観もどこか懐かしい感じがしましたが、中もいろいろ古いものが置いてあるようです。

これはなんだろう……と見ていると、店主の平岡尚樹さんが出てきてくれました。

「ゆで卵ですよ。茶葉と八角で煮込んだ茶葉蛋(チャーイエダン)と言います。これ、台湾ではコンビニで売っているんですよ」

──そうなんですか! すごい色ですね……。 えっと、こちらは台湾料理のお店なんですよね?

「はい、特に台南の屋台や家庭の料理を出しています」

──最近雑誌やメディアでも話題の台湾料理ですが、実はよく知らなくて……。中華料理とは違うんですかね。

「一応、中華料理の一種なんですが、中華と和食の間みたいな感じです。よく知られているメニューだと、魯肉飯(ルーローファン/豚バラ煮込み飯)があります。他にも、チャーハンや焼肉飯、台湾式カレーなんていうのもあります。洗練された味というよりも、もっと家庭料理のようなものがメインで、あっさりした味わいと甘みを多用したものが多いです」

メニューを見せていただきました。イラストつきでわかりやすい!

「それと日本料理の影響も受けています。50年続いた日本統治時代があったからなんです。例えば、甜不辣というメニューは『テンプラ』と読みます。日本語の当て字ですね。日本のものより硬くしっかり揚げた台湾風さつま揚げです。おでんもあったりします」

──天ぷらやおでんも! 統治時代に入ってきた日本の文化は、台湾の食卓にも影響したんですね。

「そしてウチのお店は、そんな日本統治時代である1930年代をイメージした作りになっているんですよ」

──どうりで懐かしいレトロなものにあふれていると思いました。しかしどうしてまた?

「台湾には、その時代に建てられた日本の家屋なんかがたくさん残っているんですが、それを再利用したカフェなどが数年前から流行っていると聞いて、実際に現地での取材を重ね、そのスタイルを逆輸入してみようと思ったんです」

「うちは町家をあえてモダンには改装せず使っています。この建物も築約100年なので、統治時代と重なるんですよね。それで近い年代の調度品なんかもいろいろ集めたんです。私、以前に仕事で古物商の免許を取ったことがあったので」

──え、ちょっと待ってください。平岡さんは古物商だったんですか?

「会社員時代がありまして、中国の骨董や文房具などを扱う老舗の筆墨店で働いていました。中国、香港に出張によく行っていまして、その時に古物商の免許は取ってあったんです」

店内にも筆とか硯などが。

──そうだったんですね! では脱サラされてこのお店を?

「いえ、もうちょっといろいろありまして。その仕事は楽しかったんですが、昇進が決まった時に、管理職になるのがイヤで辞めてしまったんです。その時、理由を作るために、飲食店をします、って大口をたたいて辞めたんです」

──いきなりですね!

「飲食の経験なんてありませんでしたが、出張先の香港で知り合った友人なんかに大衆料理を教えてもらっていたこともありまして、まだ日本には紹介されていない香港の大衆的な料理を出す店をしようとお店を開いたんです。1997年の香港返還のタイミングもあって流行るだろうと見込んで」

──すごい思いきりましたね。しかも知り合いに教えてもらった家庭料理!

「料理は面白いです。料理って具材にしても調味料にしても入れた分だけ変わったり、反応があるというか、味を解明したり、試してみるのが楽しくて」

──なるほど、バックボーンが豊富。でもまだ台湾料理の話が登場しませんね……。

「はい、まだ出てきません(笑)。そのお店というのが、実はこの店の2軒隣のビルの奥で。『TEARS』という名前で2014年まで営業していたんです」

──そうでしたか!

「そこでは、香港料理でも日本では紹介されていないメニューだけをやる尖ったお店で、カッコつけていたんですが、だんだんインドネシアや東南アジアなどの料理もやるようになって、無国籍料理として売り出して、メニューが増えすぎてしまって収拾がつかない状態になっていったんです」

──メニュー、どのぐらいあったんですか?

「300は超えてましたね」

──300! 途方もない数字……。

「そして、時間が経つにつれ、無国籍料理という形態も古びてきた感じもして、行き詰まってしまった結果、2014年に突然何の予告もなしに閉店しました」

──なんと。それでどうしたんですか?

「二軒隣のこの家が空き家になったことを知ります。実は前のお店の後半7、8年間は、個人的に台湾料理に傾倒していまして、台湾から来たお客さんに提供して練習していたんですよ」

──あ、台湾料理でてきました。凝り性なんですね。

「はい、それで台南の友人に台湾料理のお店をしたいな、っていうのも少し話していたんですが、その友人からの後押しもあって、台湾一本でやるしかない! と、その翌年に『微風台南』としてリニューアルオープンしたんです」

友人からの後押しとは……。そして、これは台湾のグルメ本。台湾から届いたこの本には「ここは参考になる」といったメモが全店舗に貼ってあったとか。

──料理は平岡さんにとって、独学で詰めるものでしたもんね。家庭料理をいろいろ真似たりしたんですか?

「ええ、特に屋台の料理で、現地の味や流行なんかもそのまま再現できないかと思ったんです。さらに現地のお店も研究して、そのままの雰囲気を作ろう、と」

──日本人向けの味付けにはしないということですね。台湾のお店の特徴って何かあるんですか?

「例えば、現地ではお客さんがお酒は外で買ってくるので、普通の飲食店や屋台にはあまりお酒は置いていないんですよ。なのでウチはソフトドリンク中心です。現地から取り寄せていますね」

左から「台湾コーラ」、「グァバジュース」、「仙草ゼリー入りハチミツソーダ」、「りんごソーダ」、甘い「冬瓜茶」。すべて378円。※ビールは一応置いてあるそう。

見たこともないパッケージですね。レトロで可愛いものもある。

さて、前置きが長くなりましたが、いよいよご飯です。外の看板にあった、台湾のお弁当お願いしますっ。

「はい、台湾の駅弁で弁當(ベンタン)と言います。庶民的な味で現地だけでなく日本でも人気になっているんですが、私が台湾で味わったものをそのまま再現してみたものです。2016年10月から始めたメニューで、メインは手羽元煮込みの鶏腿(ヂートイ)か豚肉の排骨(パイグー)です」

微風弁當 864円。鶏腿(ヂートイ)を選びました。周りにはたくあんや卵、大根など総菜がぎっしり! なんだか懐かしい雰囲気です。

お持ち帰り用の箱にしてもらいました。このパッケージ……! 安っぽいですが臨場感があります。お箸も現地のものだそう。

おおー! どっしりとした手羽元。八角の風味と優しい味わいで、とっても美味しいです。

「そして、この夏台湾で流行った、星空ドリンクいかがですか。蝶豆花(ディエトウファ)と云うタイのお茶のドリンクで、底のシロップと分離している様子が星空みたいに見えるというものです」

星空漸層飲料 648円。 色の鮮やかさに比べて、あっさりしています。甘すぎず、すっきり。

「お茶自体には味はあまりないので」

京都の純喫茶を思い起こさせる、ノスタルジックな雰囲気がありますね。

〆には、定番愛玉という植物から作った黄金色のゼリー種愛玉檸檬氷(アイユイニンモンビン)を。ちょっと寒いけど、透明な食べ物って心ひかれちゃいますよね。

レモンシロップが爽やか 486円。

「台湾の、懐かしい感じもそうですが、適当というとあれですが、ゆるい雰囲気やチープな感じというか、その加減が好きなんですよね」

──うーん、徹底させている割にはゆるい感じもあるんですね。というか、ゆるい感じにしようと徹底しているということですね。 最後に、お二人の写真を撮らせていただけますか?

店名の「微風」は台湾語のそよかぜという意味。ちなみに台湾には、同名の大型スーパーのチェーン店があるらしいです。

台南の一角をそっくりそのまま日本に持ってきたようなお店には日本人より留学生なんかのお客さんが多くて、「なんでいろいろ知ってるの?」って驚かれるのだとか。そうするうち、台湾出身の女の子がバイトにいて、そんな中で見る平岡さんご夫妻はもう台湾人にしか見えないかも……。

実は、よく台湾人と間違えられるとか。やっぱり。

ドアを開けるとそこは台湾ですが、日本人の台湾マニアなご夫婦が迎えてくれます。

以上、現場からのレポートでした。

お店情報

微風台南 TEARSⅡ(びふうたいなん)

住所:京都府京都市上京区河原町通丸太町上る桝屋町359

電話番号:075-211-9817

営業時間:12:00〜17:00、18:00〜22:00

定休日:月曜日

※金額はすべて消費税込です。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

書いた人:松永大地

1981年、静岡県生まれ。大学から京都に住み、早17年。出版社、大学勤務を経てフリー。唐揚げとミルクが好物です。お酒は極めて弱く、チューハイ2杯が限界ですが、酒場とアテは好き。

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