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「2017年、祝日4日減」は本当に【悲報】なのか

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 2017年は祝日と土曜日が重なる日が4日あり、「休みが少なくなる」と嘆く声があるという。だが休日が減ることはそんなに悪いことなのだろうか。コラムニストのオバタカズユキ氏が語る。

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 まったく威張れたことでも、いいことでもないのだが、今年の正月は2日からずっと仕事をしている。パソコンに向かってあれこれ原稿をいじり、休憩でネットを徘徊してみるという、普段と変わらない働き方だ。

 その休憩徘徊中によく目についた記事の類がある。例えば、こんなものだ。

〈【悲報】2017年は祝日が4日間も消滅 / ゴールデンウィークはたったの5連休〉(ロケットニュース24)

〈2月、4月、12月は平日休みなし… 2017年は「社畜イヤー」? 祝日と土曜が重なりまくり〉(R25)

〈【社会人絶句】2017年は休日が4日減る!?祝日が土曜日に…〉(ママテナ)

 主要な発信源はこの3記事のようだが、他に同様の内容でテレビ放送されたものが幾つか記事化されている。それらがあちこちの別ニュースサイトに転載されているので、ちょっとネットをうろつくとすぐ【悲報】とか【絶句】とかにぶち当たるのだ。

 伝えられている内容はごく単純で、2017年は「建国記念日(2月11日)」「昭和の日(4月29日)」「秋分の日(9月23日)」「天皇誕生日(12月23日)」の国民の祝日が土曜日だから、土日休みの人は4日ぶん祝日休みが少なくなる、という話である。

 たしかに今年はそういう年なのだが、これはそんなに悲しいことなのだろうか。記事に目を通しながら、なんか違うだろ、という気持ちがもりもり膨れ上がった。

 まず、ウソっぽいなと思うのは、記事を書いているライターが、祝日休みの減少で困るわけがないのに、悲しんでみせている点である。内輪の話になって恐縮だが、我ら同業者は祝日や連休が基本的に嫌いだ。

 なぜなら、自分の書いた原稿を受け取ってくれる会社の社員さんの多くは祝日や連休で休みを取れるが、フリーランスは関係ない。むしろ、原稿提出先の社員さんなどの休みのために前倒して原稿を仕上げねばならず、一時的に仕事が集中、混乱しがちなのである。また、「休み明け締切」が設定されやすく、祝日や連休中ものんびりできる人は少ない。

 だからフリーランスのライターのたいていは、祝日増や連休を迷惑がることはあっても、歓迎はしていない。今年は4日祝日が少ないと聞けば、逆にちょっとラッキーな気分になるものなのだ。なのに、【悲報】とか【絶句】とか、心にもないことを書いているため、記事がすごく薄っぺらいのである。

 もちろん、当該記事を書いたライターが、そこに私情を挟まず、いわば読者の気持ちを代弁してみせたということは否定しない。だが、果たして、その代弁者の心遣いは不特定多数の読者のみなさんの多くに届いただろうか。みなさんそんなに祝日休み減が悲しい?

 この根本的なところも、ちょっと考えると怪しいのである。お勤めの人はカレンダーの赤い日はぜんぶ休んでいる、というのはライターの勝手な先入観であり、公務員でかつ仕事がそんなにない人ならともかく、少なからずの日本人は赤い日もけっこう働いているのである。

 祝日にどれだけ休んでいるかのデータは探せなかったが、完全週休2日制を採用している企業の割合なら、厚生労働省の就労条件総合調査がはじき出している。平成26年のそれによると、(土日に限らず毎週2日の休日がある)完全週休2日制の企業は、46.9%だ。半分未満なのである。しかもこれは30人以上の従業員がいる企業に限っており、より零細のケースは省いている。会社が小さいほど休みが少ないのは明らかだから、日本の企業全体だと%はもっと下がるだろう。

 さらに、である。そもそも日本の祝日はかなり多い。日本の「国民の祝日」は、2016年に山の日(8月11日)が新設され、年間計16日になった。この日数は先進国最多といわれている。欧米は年間計10~11日の国が主流だ。

 そもそも多いから、土曜と重なったっていいではないか、という乱暴な話をしたいわけではないが、では、なぜ日本は祝日だらけなのだろう。その有力な説に「有給消化の少なさをカバーするため」というものがある。

 たしかに、日本の有給消化率は低い。エクスペディアという世界最大の旅行予約サイトの会社が実施した調査では、2016年の日本の有休消化率は50%で、世界28か国中最下位だ。最下位常連国の韓国の53%を下回った。ブラジル、フランス、スペインオーストリア、香港あたりは100%である。

 どうして日本の会社員は有給をとらないのか。よく言われているのが、「職場の空気がそれを許さない」という同調圧力の強さだ。それはその通りなのだろう。ただ、エクスペディアの調査では、「休み不足と感じている人の割合」も出していて、日本は34%しかない。これもまた最下位なのである。同調圧力で嫌々、というよりも、「ま、このくらい働いてもいいんじゃね」くらいに受けとめている層の厚さがイメージできる。

 また、同調査で「休みをとらない理由」の1位は「人手不足」だ。2位の「職場の同僚が休んでいない」よりも毎年、多い。有給を満足に取っていたら仕事がまわらない現実があるのだ。

 よく日本の労働生産性は低いと言われる。カイゼンに励む自動車工場労働者をはじめ、ブルーワーカーの生産性の向上は徹底している。比して、ホワイトカラーがだらだら残業をやっていてダメダメというお決まりの批判だ。

 でも、どうなのだろう。ノー残業デーなどを実施しても、結局、家に持ち帰る仕事が増えるばかりというのが一般的ではないか。ただでさえ、人手が足りなくてせわしないのだから、労働時間は減らしたくても減らせないんだよ、という現場からの声も実は多いのではないか。

 それに、日本の場合、労働生産性の低い医療・福祉分野にさらなる人員を割かざるをえず、これから力を入れていこうという観光だって決して労働生産性は高くない。少ない人手でぼろ儲けできる金融分野は苦手だし、巨大な富と直結しているエネルギー関連産業は、そもそも資源のない国なので弱い。

 そんなこんな考えると、実は、「祝日休みは減らしたほうがいい」と思っている人もホワイトカラーを中心に多そうな気がする。高度成長期からバブルにかけての勢いが異常だったのであり、もともと日本はさして豊かではなく、かつ貧富の格差が小さ目な国だ。だから、みんなで汗して働かねばならない。残念だが、欧米並みに休んでいられない、と実は大半が悟っているのではないか。

 ただし、過労死するほど自分を酷使しては絶対ダメである。倒れない程度目一杯いっぱい働けたらいいね、 というあたりがリアルな落ち着きどころのような気がするのだが、いかがだろう。


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