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【後編】<2017年注目のニューカマー5組>[yahyel][Gi Gi Giraffe][PAELLAS][★chelmico][★Ancient Youth Club]

【後編】<2017年注目のニューカマー5組>[yahyel][Gi Gi Giraffe][PAELLAS][★chelmico][★Ancient Youth Club]

<[chelmico]ブームの一過性を無理やりにでも追い風とするガールズ・ラップ・ユニット>

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 流行に乗れるなら乗るのが得策だろう。ただどんなジャンルでもブームが到来すると飽和状態となるが常で、2016年、テレビ番組から“日本語ラップ・ブーム”が広がりを見せ始めると、ガールズ・ラップを耳にする機会も増えた。その中でも一際明るく、ホログラムの欠片にも似た幻想的なきらめきを発し始めたのが彼女たち、ガールズ・ラップ・ユニットのchelmicoだ。

 chelmicoは2014年に新世代の女の子を発掘するオーディション【ミスiD】に選出されたMC RACHELと、彼女の友人だったMC MAMIKOにより結成。翌年、楽曲「ラビリンス’97」を発表すると同時に本格的な活動をスタートさせ、2016年には、三毛猫ホームレス、FBIこと斎藤辰也(パブリック娘。)、jinmenusagi、ヒイラギペイジ(Lolica Tonica)も参加した初のアルバム『chelmico』をリリース。その後、12月には初のワンマンライブ【真冬のWOW】を開催するなど、着実にその地位を確立しつつある。

 可愛い、とは違う。ガールズ・ラップの醍醐味だろう、甘い声で鋭いリリックを紡ぐスタイルはchelmicoにも共通するものだが、彼女たちにはまったく媚が感じられない。時に英語のフレーズを軽快に放り投げつつ、女性にしては比較的低音域を維持したままメロディアスなラインを追うことにより、暖色のネオンサインのような温冷を同時に生み出し、ドリーミーなトラックに磨き上げた鉛のような質感を与えている。軽いと思いきや割にヘヴィ。なんとも背負いがいがある。

 もちろんポップ・アイコン的な意味での可愛さは十分すぎるほどで、雑誌『装苑 2017年2月号』でもそのファッショナブルな姿を披露している。外国の不良少女っぽさを金髪に象徴するRACHELと、愛らしい顔立ちを短めのヘアスタイルで引き立てているMAMIKO、2人のビジュアル的バランスも絶妙だ。ミュージックビデオで夜の東京を練り歩いたり、ピザ屋で好き勝手に煙草を吸ったりする彼女たちの姿には、それらの空間を支配しているような自信と強かさも伺える。無敵に違いない。

◎最新リリース情報
アルバム『chelmico』
2016/10/19 RELEASE

◎「Night Camel feat. FBI」MV:http://youtu.be/rwYIBiCKrgQ

◎オフィシャルHP:http://bit.ly/2i3Hojm

<[Ancient Youth Club]世界の広さをものともせずに独自の世界を生み出す北国の光>

 昔から「音楽に国境はない」とはよく言ったものだが、インターネット社会においては物理的距離もそれほど問題にはならないのかもしれない。テクノロジーの進化があったからこそ生まれただろう恋や友情があるように、Ancient Youth Clubもまた、この時代だからこそ誕生したバンドの一つである。

 始まりは2013年、鹿児島に住んでいた大野佑誠(vo,g)と今井竜成(b,cho)、北海道に住んでいた樋口健介(g,cho)がTwitterで知り合い意気投合。約1年間はSkypeなどを通して交流、同時にプロジェクトとしての音楽制作を続け、2014年に拠点を北海道に置き、サポートメンバーだったKJ(dr)を正式メンバーとして迎え入れた。2015年に200枚限定でリリースした自主制作盤『FOR,EMMA』は完売。2016年8月にはこの自主制作盤にリミックスとリマスタリングを施した同名作品を全国流通盤としてリリースし、フェスに出演したほか、京都、大阪、東京ではツアーを敢行した。

 Ancient Youth Clubが結成されたきっかけのひとつに、同じ北海道出身であり、『FOR,EMMA』のサウンド・プロデュースを手がけた岩井郁人(FOLKS)もかつて在籍していたGalileo Galileiの存在があったという。そしてそのGalileo Galileiにも影響を与えたザ・ストロークス(The Strokes)、ボンベイ・バイシクル・クラブ(Bombay Bicycle Club)、The 1975など海外のインディーロックやインディーポップに傾倒していたという通り、憂いを帯びながらも浮遊感に溢れたサウンドは素直に心地よい。そこに乗せられる冷たくも優しい風のようなメロディと、暖炉でくするぶる火のような声が響かせる日本語は、意図せずとも耳の奥に入り込み、ゆっくりと体の内部に染み渡っていく。

 北海道と鹿児島の距離は約2,000km。同じ国ながらこれだけ離れていることを考えると、世界の広さを実感せずにはいられないが、開放的なAncient Youth Clubの音楽を聴きながらまぶたを閉じたときに浮かぶ情景の豊かさは、おそらくこの世界にも劣らない。ワールドワイドな音楽性に大衆性のある日本的な哀愁を落とし込み、マイノリティとマジョリティのバランスを上手く取っている彼ら、次の夏を少しだけ涼しくするかもしれない。

◎最新リリース情報
EP『FOR,EMMA』
2016/08/03 RELEASE

◎ライブ情報
【Saturday Night Special】
2017年01月14日(土)大阪・chika-ikkai
<ACT>Post Modern Team.、VANILLA.6、Balloon at dawn、Luck & the HoneyBees(O.A.)

◎「Stay」MV:http://youtu.be/kc2CSKGXq5k

◎オフィシャルHP:http://bit.ly/2inouSk

テキスト:佐藤悠香

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