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赤提灯に「みそ汁」の文字。夜な夜な全国から常連客が訪れる味噌汁屋さんで、きっぷの良い美人ママが待っている【福岡・春吉】

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この地で早40年。春吉の歴史を見つめる老舗。

メシ通レポーターのあずま梓です。今から17年ほど前、初めて一人暮らしをしたのが、福岡市の春吉という街でした。都心にほど近い割に、薄暗い路地の多い街でしたが、キャナルシティができて徐々に住む人も増え、飲食店も増えつつある頃でした。

そんな中、気になって仕方がなかったお店が、この「みそ汁 若尾」です。古びた小さな入口、なのにやたら大きな赤提灯。「みそ汁 若尾」という店名も気になります。

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「おかあさんの料理」うんぬんの文字、当時はありませんでした。

今ではすっかり明るくなった路地ですが、昔は本当に暗くて人通りもまばらで、夜になるとうつむいて早足で通り抜けるのが常でした。しかしさんざんためらった挙げ句、ようやく勇気を出して入ってみると、そこにはとても明るく居心地の良い空間があり、ホッとしたのを覚えています。

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煌々(こうこう)と明るい店内。

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靴を脱ぐスペースの横には、心づくしの花が飾られています。

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奥には小上がり。畳にテーブル、テレビ。居心地はまるで実家。

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常連さんのボトルが並ぶ棚には、これまた常連さんたちの写真がいっぱい。歴史を感じるものもあり、昔のしのママの美しい姿も見られます。ぜひ、来訪の折には探してみてください。

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カメラを向けられて照れる女将、しのママ。みんなに「お母さん」と呼ばれる彼女は、長崎の五島出身なのです。

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壁のメニューは少し古く、「夕食」は現在、腹具合によって1,500〜2,000円で見繕ってくれます。みそ汁の他に五島うどんもありますが、こちらは何と価格据え置き。

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こちらが人気メニュー五島うどん(510円)。すっきりとしたあご出汁は、思わず飲み干したくなる優しさ。ツルンとしたのどごし良い細麺で、香り高いうどんです。

「若尾」を一人で切り盛りするしのママは、18歳から福岡で働き、店を構えて40年。彼女の優しさと明るさ、きっぷの良さにひかれて、地元はもちろん全国各地からお客さんが集まります。出張で福岡に来たとき誰かに連れて来られて以来、福岡に来るたび通うようになったというビジネスマンの常連さんも多く、平日でもカウンターが満席になることは珍しくありません。

基本は「おまかせ」。まるで母の晩ご飯。

「若尾」の料理は日替わりで、おまかせ。カウンターの上に並んだ大皿と鍋から、お客さんの腹具合や好みを聞きつつ5品以上を盛りつけてくれます。しのママが毎日市場で仕入れながら、旬と肉、魚、野菜のバランスを考慮しつつ、献立を決めるそうです。この日は……

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鯛(タイ)の酒蒸し

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白和え

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卵焼き

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おでん、などなど。

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別の鍋では、牛すじ煮込みや水炊きがグツグツ言っていました。

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こんな風にあれこれ出してくれて、一人1,500〜2,000円(飲み物別)。

この日、初めて来たという台湾人カップルが「It’s like my mammy cook!」と大喜びしていました。本当に、ホッとする家庭料理です。お母さんは気前が良いので、食の細い人やあまりお腹が空いていない人は最初に言っておかないと、驚くほどの量が出て来ますよ。

そんな「若尾」だから、「今日のおかずは何かな?」と、ワクワクしながら通う楽しみがあります。「最後におみそ汁を入れて、軽めに」「うどんで〆たい」など、リクエストもどうぞ。

お待たせしました。いよいよ、みそ汁(500円)の登場です。

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大きさの比較のためにスマホを置いてみました。お分かりになりますか、この大きさ。ちなみにiPhone6sです。

こちらももちろん、五島のあご出汁。あらかじめ出汁を引いておき、注文を受けてから作ってくれます。丁寧な出汁と溶きたての味噌。最高にぜいたくなみそ汁です。とても優しい上品な味なので、飲んだ〆に「こんなに飲めるかな」と尻込みしても、ついつい飲み干してしまいます。

みんなのお母さんは、姉心でできていた。

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いつも元気で、シャカシャカと本当によく働くしのママ。

東京から初めて来たという男性に「おいくつですか」と聞かれると、「そげんこと、忘れた」。そんな彼女の明るさにひかれて、老若男女が集まります。旦那さんは中洲で、天ぷらのおいしい「屋台 もり」を経営なさっているのですが、両方を行き来する常連客も珍しくありません。とても仲の良いご夫婦で、二人ともとても優しく個性的なキャラクターで、みんなに愛されるのもうなずけます。

「どんどん食べり(食べなさい)」「もっといっぱい食べんね」と次々出てくる、しのママの料理。目が回るほど食べても、お会計は驚く安さ。

通い始めて、しのママと親しくなった頃、その秘密を根掘り葉掘り聞き出したことがあります。そこには弟たちを愛する、優しい姉の気持ちがありました。

五島出身のしのママは、幼少期に両親を亡くし、二人の弟とともに親戚に預けられました。裕福ではなかったようで、お米はぜいたく品。ある年の運動会の日、ふかしたじゃがいものお弁当を姉弟で囲んで食べていたとき、周囲の子供達が両親といっしょに食べているおにぎりをうらやんで、幼い弟が「お米のおにぎりが食べたい」と泣き出してしまいました。ずっと泣きたいのを我慢していたしのママも、つられて思わず泣き出してしまい、「いつか姉ちゃんが、お前達を腹一杯食わせてやるから」と弟をなだめたのだそうです。そして、18歳になると福岡へ。

懸命に働いて、稼いだお金で弟たちに好きなものを食べさせたい。そんな思いが、しのママの原動力。以来、周囲の人をお腹いっぱい食べさせることが、何よりの楽しみになったのだそうです。

自慢話の嫌いなしのさん。わたしがこの話をすると「そげんことは言わんでよか」と嫌がるのですが、ここは書いた者勝ちということで、堪忍ね。

最後に。長いことお世話になっているお店ですが、この日、しのさんが書き物をしている姿を初めて見ました。

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「何をしているの?」と聞くと、「いつ誰が来んしゃったか(いらっしゃったか)、忘れんように書いとうと。若い女性のお客さんやったら、名字じゃなくて名前で呼んだほうがうれしいかなとか、考えながら」。彼女の企業努力の一端を垣間見た瞬間でした。

お料理ももちろん良いけれど、しっかり者なのにおっちょこちょいで、ちょいちょい天然ぶりを見せてくれるお母さんのキャラクターが、「若尾」の何よりのごちそうです。

全国のみなさん、福岡へお越しの際は、ぜひ「みそ汁 若尾」と「屋台 もり」のハシゴがオススメです。初来訪でも、いきなり「第二の故郷」ができること請け合いです。

お店情報

みそ汁 若尾

住所:福岡県福岡市中央区春吉2-7-22

電話番号:092-731-2392

営業時間:18:00〜23:00

定休日:土曜日・日曜日・祝日

www.hotpepper.jp

※金額はすべて消費税込です。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

書いた人:あずま梓

あずま梓

福岡県生まれの40代。地元情報誌の編集・ライターを経て2000年独立。現在コピーライター、エディター、プランナー、ディレクターとして、主に紙媒体と映像を中心とした広告制作に携わる。趣味は料理と食べ歩きと俳句。

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