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ドレスの色論争、同じ長さなのに違って見える… なぜ人は錯覚してしまうのか?

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ドレスの色論争、同じ長さなのに違って見える… なぜ人は錯覚してしまうのか?

まったく違う大きさのように見えて同じに見えたり、止まっているのに動いて見えたり…分かっているけれど、そう見えてしまう。それが「錯覚」の世界だ。

かつてネット上で大論争を起こした「ドレスの色論争」も、この「錯覚」と密接に関わっているというのだから興味深い。

しかし、なぜいったい人は錯覚を起こしてしまうのか? そして、錯覚に触れることが私たちの脳にどのようなことをもたらすのだろうか?

『毎日[だまし絵]で脳トレ』(扶桑社刊)でだまし絵を使った脳トレを提案している、日本女子大学人間社会学部心理学科の教授・竹内龍人さんに「錯覚」のお話を伺うことができた。

 

■「毎日が同じ」という人は今すぐチャレンジ! だまし絵脳トレの秘密

――今から2年くらい前にネットで大論争を巻き起こした「ドレスの色の見え方が人によって違う」という画像がありましたよね。あの論争の際に、竹内教授は錯視の第一人者としてテレビなどに出演されて、なぜ錯覚が起きるのか解説されていました。

竹内:そうですね。あのドレスの画像は本当によくできていたと思います。逆光でボケている写真だったので、いろいろな「解釈」ができましたから。解像度が高くピントがしっかり合っていれば、あそこまでの論争にはならなかったでしょうね。

――この『毎日[だまし絵]で脳トレ』は、錯覚を引き起こす「だまし絵を用いて脳に刺激を与える脳トレ」ですが、この中には同じ色なのに全く違う色のように見える錯視図形が出てきます。これは驚きました。

竹内:これは2匹の猫は全く同じ色なのに、背景が暗いと中心は明るく見えて、背景が明るいと中心は暗く見えるという、対比によって起こる錯覚です。答えのページを見てもらうと、同じ色だということがわかります。

――他にも線の長さが同じなのに違うように見えたり、静止しているのに動いてみえたりという「だまし絵」がありますが、こうした錯視図形を見ることがどのように脳への刺激に結びつくのでしょうか。

竹内:この「だまし絵」脳トレの一番のポイントは、「考えること」と「気付く」ことです。これが脳にとっては最も有効なトレーニングになります。

脳の動きを調べてみると、ルーチン化されて簡単に出来てしまうものに対しては、脳はほとんど活動していないことが分かっています。だから見慣れたクイズや足し算などのすぐできる計算をやっても、脳のトレーニングにはあまりつながりません。

日常生活がだいたい同じことの繰り返し、つまりルーチン化しているという人は少なくないと思います。そうなると、どうしても気付きを得られる機会が少なくなる。

ただ、ルーチン化してしまった日常の中に、こうした錯覚を使った脳トレをしてみることで、見方を変えようと考える。そのときに脳の普段使っていないところが活性化するということなんです。

――では、この脳トレでは答えが分からなくても大丈夫ということですか?

竹内:考えて分かることがベストです。でも、極論すれば、回答が分かっても、分からなくてもいいんです。視点を切り替えて見ようとするだけでも刺激になります。

――そもそも、なぜ私たちは錯覚を起こしてしまうのでしょうか?

竹内:例えば、僕たち人間はモノをすぐに認識できますよね。ここにスマートフォンがあるとか、コップがあるとか、それを見ることで瞬間的に分かる。それに対しては不思議なことだと思いませんよね。

でも、実は僕たち人間が「見ている」という状態というのは、「ただビデオカメラのように1つの空間を切り取ってその像をただ写しているだけ」なのではなく、ここにコップがあり、そこにスマートフォンがあるという「解釈」をしている状態なんです。

これは、ロボットで再現するのはとても難しいことです。なぜなら、もしロボットが僕たちと同じように「解釈」できるようになるには、世の中のあらゆる形や仕組みをデータベースとして持っていないといけません。でもそれは不可能ですから、何か他の方略を考えなければなりません。

そして、脳はそんな難しい作業をあっさりとやりとげています。まだ解明されていない部分も多いのですが、大脳皮質の3割くらいは視覚に関係しているといわれています。その膨大なリソースを使って、人間は見ているモノを認識しているわけですね。

本題に戻り、僕たちはなぜ錯覚してしまうのかというと、脳が先走って「解釈」してしまっているからです。

例えば、明かりの下にいれば自分の影ができて、これは「影」だと分かりますよね。誰も黒いペンキがこぼれているとは思わない。それは脳が計算し、そう解釈しているわけですね。

ただ、真夏の晴れた日、道路にくっきりとした影があるとしまう。これは木の影なんですが、もしかしたら「黒いペンキがこぼれているのかな?」と錯覚することがあるかもしれない。

――周囲の状況などを含めて、パッと見たときに勘違いしてしまう。

竹内:そのとき、僕たちの脳では、無意識に「これが正解の確率が高いだろう」という回答をもって「解釈」します。淡い黒い模様は「影だろう」と「解釈」すると正しいことが多いから、それが妥当だろう、というわけです。こうした「解釈」が錯覚を生む要因になるんですね。

――では、普段している「解釈」とは別の切り口があるということを気づかせてくれるのが、本書の「だまし絵」なんですね。

竹内:そうです。視点や見方を切り替えるということは、違った「解釈」をするということです。そこで脳への刺激が生まれるというわけなのです。

だから、もし自分の生活がルーチン化されていると感じたら、ぜひ本書を通して「違った見方をする」というトレーニングをしてほしいですね。それが脳の刺激につながりますから。

(後編に続く)

■竹内龍人さんプロフィール

日本女子大学人間社会学部心理学科教授。

1964年米国生まれ。京都大学文学部心理学専攻卒業。カリフォルニア大学、NTT研究所を経て2011年より現職。視覚や記憶、学習方法に関する実験心理学的研究や脳科学的研究に取り組む。錯視・だまし絵関連の著書多数。その他の著書に『脳をその気にさせる錯覚の心理学』(角川SSC新書)、『実験心理学が見つけた超効率的勉強法』(誠文堂新光社)など。

■「だまし絵」に挑戦! 『毎日[だまし絵]で脳トレ』試し読み

http://fusosha.tameshiyo.me/9784594076146

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