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結婚式の司会者から18の結婚式場を展開する経営者へ――株式会社ブラス 代表取締役社長 河合達明さん【起業家たちの選択と決断】

近年、「結婚式」の市場が縮小しつつある。少子化に加え、結婚する人、結婚式を行うカップルの数が減っている傾向が見られる。

そうした環境の中、右肩上がりの成長を続け、現在も年間2店舗のペースで結婚式場を出店、2016年3月には東京証券取引所マザーズ、名古屋証券取引所セントレックスに新規上場を果たした会社がある。名古屋に本拠地を置く株式会社ブラスだ。

代表取締役社長である河合達明さんは、サラリーマン時代に友人たちの結婚披露宴の司会を務め、それが好評を得たことからプロの司会者に転身した。

「派遣の司会者」としてブライダル業界に足を踏み入れて約20年、現在は東海エリアを中心に16の結婚式場、レストラン、ドレスショップなどを経営し、年間約71億円(※平成28年度7月期決算)の売上を挙げている。2017年には新たに2店舗のオープンも控える。その発展のプロセスには、どんな選択と決断があったのだろうか。

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株式会社ブラス 代表取締役社長 河合達明さん

さまざまな仕事を経て、30歳の頃に「自分の道」を発見

愛知県で生まれ育った河合さんは、高校卒業後、シンガーソングライターになる夢を叶えるために上京。しかし、音楽の才能がないことを悟り、あえなく帰郷。水泳インストラクターや配送業など数年間のフリーター期間を経て、22歳でイベント制作会社に就職した。しかし、その会社も3年で退職。食品メーカーの営業に転職した。

「生き方がブレまくりでしたね(笑)。人から与えられた仕事は素直にこなすし、成果も挙げてきたけれど、自分は何がしたいのかがまったく見えていませんでした」

しかし、河合さんには元来の特技があった。「喋ること」「仕切ること」だ。

その特技を買われ、21歳のとき、友人から「結婚式の司会をしてほしい」と頼まれた。一度も結婚披露宴に参加した経験がないにも関わらず、河合さんは「いいよ」と即答。得意の話術と仕切り力で披露宴を盛り上げた。これが好評を得て、知人や友人の結婚式の司会を度々引き受けるようになる。

そして30代に差し掛かる頃、司会者事務所から「プロにならないか」とスカウトを受けた。当時は子どもが生まれたばかり。「収入源をもう一つ確保できる!」と、二つ返事でOKした。こうして、普段は食品メーカーの営業マン、週末は副業として結婚式の司会を務めるようになった。

「この頃、『自分にはこれしかない』と気付きました。『この道で生きていくんだ』という覚悟ができたんです。30代を迎える頃になってようやく、です」

32歳、河合さんは独立し、結婚式の司会事務所を立ち上げた。前職の営業職では高い実績を挙げており、営業力には自信を付けていた。

「やるからには、事業を拡大したい」。顧客からのあらゆるリクエストに応じられるよう、さまざまなタイプの司会者を集め、事務所規模を拡大していった。

「最高」を追求するなら、自分の「ハコ」が必要だ

この頃は、「司会事務所の仕事で食べていければいい」と考えていたという河合さん。その後、18もの結婚式場を経営するに至ったのには、どんなきっかけがあったのだろうか。

当時の河合さんの司会は「型破り」だった。会場を歩き回ってゲストにマイクを向け、くだけた言葉使いや冗談で笑いを誘った。披露宴は大いに盛り上がり、「こんな楽しい結婚式は初めて!」と大好評だった。

ところが、結婚式場側からは度々クレームを受けた。当時は「格式」を重んじ、丁寧かつ厳かな進行が求められていたのだ。しかも、当時の結婚式会場は、大型の専門式場かホテルが中心。1日に何十組の式をまわすため、アドリブで時間が延びることは絶対に許されなかった。会場側の都合による「流れ作業」の中で、どんなに場が盛り上がっても時間通りに打ち切られた。

「自分がすべて仕切ったほうが、絶対にいい結婚式ができるのに……そんなもどかしさを抱いていました。そうするうちに『レストランウエディング』というスタイルが流行り始めたんです。自分もレストランウエディングの司会をいくつか務めたんですが、やはり演出の自由度が高い。何十年後かには自分のレストランを1軒持てるといいなぁ、などと考えていました」

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