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OBLIVION DUST、全国13公演の20周年ツアーが開幕

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OBLIVION DUST、全国13公演の20周年ツアーが開幕

結成20周年を迎えるOBLIVION DUSTの、再結成以来最大規模となる全国ツアー「I Hate Rock’n Roll Tour 2016-17」が、12月17日に山梨・甲府Convictionにて開幕した。

約4年ぶりの新譜となる今夏にリリースされたミニアルバム「DIRT」は、再結成以降の緻密で流麗な洗練されたロックではなく、生々しくも計算された爆発力を、ここぞというタイミングで意図的に暴走させる様な、同じ緻密や洗練でもまったく違うベクトルで練り上げられた快作であり、その方向性を「原点回帰しながら進化させる」という、よくバンドが新譜を出す時に言葉にする(が、なかなかそう簡単ではない)テーマを、まさに体現してみせたアルバムだった。

その変化と今後の行く末を占う上で、改めてこの数年間やって来なかった細かい都市を回るというタイプの全国ツアーは、なんとなく意味ありげでいて不明瞭だったバンドの進もうとする方向性が垣間見れるのではという期待もあったからだ。

オープニングを飾る「In Motion」から、小細工なしで出し惜しみもなし、全力でトドメを刺しに来る姿勢は、決して熱くロックを迸らせるのではなく、淡々と余裕を持って事を進める冷血な仕事人のごとく有無を言わせぬ迫力を帯びており、ショーをファンと一緒に楽しむなどというスポーツライクな汗は一切拒絶するかのような、まさに神経の削り合いを愉悦するかのステージングで、元々そういったスリリングさを持ち合わせていたバンドではあったが、ここに来てさらにキラー度合いが増している事に気がつく。

そんなメンバーの演奏に、決して大きくはない会場にギッシリ入った観客達は、真冬だというのに身体中の汗を霧散させるかの様に音と一体化して暴れ出す様子が、まるでバンドと観客が一つの生き物であるかの様な光景であった。それは好きな音楽に身を委ねるとかいう生易しいものではなく、全身でバンドの演奏に呼応しながら、忘我の中でひたすらに今ここに生きてる実感だけを感じようとしているかの様だ。

「I Hate Rock’n Roll(ロックンロールなんて死ぬほど嫌いだ)」と銘打たれた今回のツアーだが、そこにあった光景はロックのもつ知性と暴力の結晶そのものであり、本来ロックが持っていた反社会性や反骨精神を現代に復活させたような様相であった。バンドが訴えたいことを見事にアイロニカルに反映させたツアータイトルとも言え、多くの耳の肥えたファンや関係者、あるいは同業であるミュージシャン達が、時として別格扱いする意味が理解出来る。

要はこのバンドは、多くの人が原体験として持っている、初めてロックを聴いた時の衝撃といったものに忠実に、かつ凝縮して表現しようしてるのではないか?という仮説に辿り着く。そもそもそれは各々まったく違う体験であり、状況も時代も聴いた音楽も違うはずなのだから、雲を掴むよりも荒唐無稽な試みなのだが、それを拡大解釈するのではなく、重要なエッセンスだけを圧縮して見せる事で、その生まれて初めて味わった衝撃を再現しようとし、その為に緻密な計算を重ねたものが最新作なのではないか。

生前hideに見出されhide with Spread Beaver の一員として表舞台に立ったguitarのK.A.Zは、その後OBLIVION DUSTの解散を経た後もVAMPSを筆頭に様々なバンドやユニットでサウンド・プロデュースの腕を磨き、vocalのKEN LLOYDは自らのバンドFAKE?で、他のメンバーの意見に囚われない自由な表現を手に入れた事から、シンガーとしての深みを増し、bassのRIKIJIも特撮や土屋アンナといったアーティストから、重用される人気プレイヤーとなった。

このアクの強さをメンバーはどうやってバンドとしてまとめているのだろうか?という疑問点を持った時に、ある一つのポイントにたどり着く。OBLIVION DUSTは結成して20年という月日を重ねつつも、実質的な活動期間はその半分どころか三分の一にも満たず、再結成以後も決してコンスタントな活動とは言えないほど、各メンバーそれぞれの活動が多かったバンドでもある。特に再結成以降は長めの休止状態と言えるくらいの期間があったほどなのだが、それがここにきてさらに激務と言えるほどのスケジュールの詰め込み様であり、K.A.ZのVAMPSは新作のリリースを控えてレコーディングしつつも、アメリカツアーを終えたばかり、RIKIJIは相変わらず特撮や土屋アンナのみならずAGGRESSIVE DOGSのステージにも参加している。KENに至ってはFAKE?で6ヶ月連続ライヴを敢行したところでもある。これまで同様に半舷休息をしながらの活動でもおかしくないのだが、なぜかOBLIVION DUSTも精力的にツアーを行うのは、なにも20周年だからというだけではないのだろう。そもそもそういったアニバーサリーにあまり興味も執着も持たないタイプのアーティストだったからだ。

では、今なぜ?彼らはOBLIVION DUSTをこうも活発に走らせなければならないのか?

こうしてライヴにおける充実度を見ていると、このバンドとして幾度目かの精神的なピークを迎えつつあるのはわかる。それ以上に、このバンドはようやく自分たちを持て余さないでコントロールできる術を身につけつつあるのではないか?これまでは自分たちの特異なポジションを理解していつつも、それを力任せに暴発させることは出来ても、きっちり計算の上で暴走させる様なテクニックが実は最近身についたのではないか?ということだ。

こう仮定してみるとこれらの疑問点も全て合点がいくのと、不敵に睨みながら何かやってくれそうな気配を着々と醸し出し続けている現状が綺麗に理解できる。

それほどいま、このバンドは新たな円熟期を迎えつつも、次のさらなる一手を隠しているのではないかと思わせる。彼らが「I Hate Rock’n Roll」と唱えたのは、誰も予想だにしなかった新たなロックの地平が見えつつあるからなのではないか?と勘繰りたくもなる。

すでに各地でソールドを起こしている今回のツアーを見ているファンの人たちは、そこにもう感づいており、その場にいることで一つの扉が開いた瞬間の目撃者なのではないか。そう思わせるほどの熱量が、今日の会場には満ち溢れていた。1月まで続くこのツアーの終演までに、OBLIVION DUSTが隠し持つさらなる決着点が見られるのでは、と期待せずにいられないステージであった。

撮影:緒車寿一

ツアー情報
「OBLIVION DUST “I Hate Rock’n Roll Tour 2016-17”」
2016年12月21日(水)埼玉/HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3 OPEN 19:00 / START 19:30
2016年12月23日(金・祝)浜松/Live House 窓枠 OPEN 18:00 / START 18:30
2016年12月24日(土)金沢/AZ OPEN 18:00 / START 18:30
2016年12月25日(日)高崎/club FLEEZ OPEN 17:00 / START 17:30
2016年12月30日(金)福岡/DRUM Be-1 OPEN 18:30 / START 19:00
2016年12月31日(土)熊本/DRUM Be-9 V1 OPEN 18:00 / START 18:30
2017年1月7日(土)広島/広島CLUB QUATTRO OPEN 18:00 / START 18:30
2017年1月8日(日)大阪/梅田CLUB QUATTRO OPEN 18:00 / START 18:30
2017年1月9日(月・祝)名古屋/名古屋CLUB QUATTRO OPEN 17:30 / START 18:00
2017年1月14日(土)仙台/darwin OPEN 18:00 / START 18:30
2017年1月15日(日)東京/新木場STUDIO COAST OPEN 17:15 / START 18:00
スタンディングチケット料金:5,940円
当日料金:6,480円
未就学児童入場不可

関連リンク

OBLIVION DUST オフィシャルサイトhttp://obliviondust.net

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