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より深い表現領域に足を踏み入れた福原美穂の、年末恒例のライブ。ほっこりした雰囲気に身体も心も癒される冬の宵。

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より深い表現領域に足を踏み入れた福原美穂の、年末恒例のライブ。ほっこりした雰囲気に身体も心も癒される冬の宵。

 暗いままのステージにメンバーが揃うと、オーディエンスの視線が1点に集中し、しばしの間を置いて演奏が始まる――。福原美穂、年末の恒例となった7回目の“Live in Music”ツアーは、軽快なグルーヴが発する親密なムードの中で幕を開けた。

 これまでゴスペルをルーツとした、豊かな声量とエモーショナルな表現力で、ダイナミックなジャパニーズ・ソウルをクリエイトしてきた福原。しかし、今年のステージは、今までとは雰囲気が大きく異なり、彼女が一歩、深い表現領域に踏み込んだことを実感させる、ディープで素晴らしいステージが展開された。

 エキゾティックな絨毯が敷かれたステージ中央に立つ福原は、ピアノ・トリオの演奏をバックに、まずは挨拶代わりの「Rising Like A Flame」をオーディエンスに届ける。そのシックな佇まいと、肩の力が抜けた風通しのいい歌は、聴き手の身体と心をリラックスさせてくれる。今年の初めに女児を出産し、子育てに奮闘する現在の彼女。そんな日常生活が影響して、彼女の表現スタイルが変化したのだろうか。力任せに声を発するのではなく、身体の底から繊細に、しかしヴィヴィッドに歌を紡ぎ出してくる福原美穂。以前に比べれば、少し声が細くなったかな? と感じる瞬間もあったが、きっとそれは彼女の表現力が深化し、より深い感情表現ができるようになってきたからだろう。今までになく、じっくり聴かせる曲がセレクトされていた今回のライブには、そんな思いが込められているように感じられた。

 歌われるナンバーは、ファンにとってはどれも親しみの強いものばかり。途中、マーヴィン・ゲイの「What’s Going On」やサイモン&ガーファンクルの「Bridge Over Troubled Water」といった印象的なカヴァーを挟みながら、彼女の世界観が歌によって構築されていく。今回、初共演となる実弟のコーラス&バック・ヴォーカルも、さすがに姉弟らしい声のシンクロが美しく、歌の世界をふくよかに膨らませていく。ライブが進行していくにしたがい、会場には心地好く上気した空気が満たされていった。
 観客は彼女と繋がれた“見えない糸”を確かめるかのように、真摯な眼差しを向け続け、身体を揺らしながら楽曲に聴き入っている。そんな空気の中で歌われるクリスマス・アンセムの「All I Want For Christmas Is You」や「THANK YOU」――。福原と観客がほっこりした気分を分かち合いながら1つになっていった。

 終盤にはダンサブルなナンバーも披露され、会場が陽気に躍動するシーンも。そして、1度引き上げた後に、観客の拍手に再び呼び戻された福原は、メロウ&グルーヴィにアレンジされた「Stand By Me」を、身体全体を使って披露。セカンド・ステージでは弾き語りで「Something New」を聴かせてくれたり、キャロル・キングの「You’ve Got A Friend」も歌われたらしい。

 まさに年末にふさわしい、ハートウォーミングなステージ。母親になった彼女の暖かい眼差しと、生きることへのオマージュが親しみやすく表現された今年のライブ。シンガー/表現者としてワンランク成長した福原美穂を目撃できた今回のステージは、新しい年に向けて、彼女が飛躍する予感を抱かせてくれる、癒しと慈愛に満ちた80分だった。

Photo by Rina Kihara

◎福原美穂 公演情報
【Tour “Live in Music Vol.7”】
2016年12月1日(木):大阪公演・ビルボードライブ大阪 <終了>
2016年12月2日(金):大阪公演・ビルボードライブ大阪 <終了>
2016年12月4日(日):名古屋公演・ブルーノート名古屋 <終了>
2016年12月5日(月):名古屋公演・ブルーノート名古屋 <終了>
2016年12月11日(日):東京公演・ビルボードライブ東京 <終了>
2016年12月12日(月):東京公演・ビルボードライブ東京 <終了>

2016年12月18日(日):福岡公演・gate’s7
公演詳細:https://goo.gl/i0yK4k

2016年12月24日(土):小樽公演・小樽GOLDSTONE
2016年12月25日(日):小樽公演・小樽GOLDSTONE
公演詳細:https://goo.gl/6z0ZJv

Text:安斎明定(あんざい・あきさだ) 編集者/ライター
東京生まれ、東京育ちの音楽フリーク。底冷えするような寒さが続く、今年の東京。こんな時期は、寒い地域で造られた“ほっこりワイン”はいかが? ドイツのアルザス河流域で生産されているシュペートブルグンダー=ピノ・ノワールが優しいコクに満ちた味わいで、身体をじんわれと癒してくれる。年末の慌ただしい時期を乗り切るためにも、ぜひ1度お試しを。

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