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うまい焼鳥店には、“焼鳥を焼く顔”を持つ店主が焼き場に立っている?【静岡】

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“焼鳥を焼く顔”について

子どもの頃から一貫して好きな食べ物って、誰にでもあると思います。僕の場合は、焼鳥ですね。小学5年生のころ、近所に持ち帰りの焼鳥専門店ができて、僕はそのオープンの日にはじめて焼鳥というものを口にしました。その衝撃はすごかったらしく、それ以来、同級生がゲームにお金をつぎこむのを横目に、僕はひたすら焼鳥のテイクアウトにお金をつぎ込む変な子どもになったのです。

申し遅れました。どうも、焼鳥偏愛おじさんことメシ通レポーターの間覚です。

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さて、そんな子どもの偏った情熱などすぐに冷めてしまいそうなものですが、僕はその後もずっと焼鳥が好きでした。それには、かけだしの編集者時代によく飲みに連れていってくれた、音楽評論家で大の焼鳥好きのKさんの影響も大きかったと思うんです。酒飲みの名言(迷言?)をたくさん携えていたKさん。なかでも、思い出すのが、

「いい焼鳥屋さんは、焼き場の人間が“焼鳥を焼く顔”をしているんだよ」

というもの。

はて“焼鳥を焼く顔”とは、なんぞや。まだヒヨッコの酒飲みだった当時の僕には、なんのことかわかりませんでした。

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あれからずいぶん時が経ち、Kさんも天国へ旅立ってしまい早8年。「今年も命日が近づいてきたな」とKさんに思いを馳せることが僕の風物詩になっている晩秋のある日、飲み仲間のTが、「とにかく焼き場の人がいいキャラしている、うまい焼鳥屋さんがあるんだよ」と、Kさんのお告げのような情報提供をしてくれたのです。

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こういう巡り合わせは大事にしなければいけませんよね、Kさん。ということで、僕はいてもたってもいられずに、その焼鳥店に行ってみることにしたのです。

うわさの“焼鳥を焼く顔”を持つご主人とご対面

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JR藤枝駅の北口から北へ真っ直ぐ伸びる目抜き通りを歩くことおよそ5分。駅前の商店街を越えてすぐの路地にお目当てのお店はありました。お店の名前は、「備長炭焼鳥 鳥しげ」といいます。時刻は、まだ4時を少しまわったところ。オープンが4時からのお店のあんどんは、すでに灯がともっています。落ち着いた和の佇まいの外観は、ワンランク上の小料理屋の雰囲気。暖簾をくぐると、上品な白木のL字カウンターに座席が8席。奥の焼き場に立つ噂の店主は、笑顔で出迎えてくれました。

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重野佑太さん。33歳。

パリッと真っ白な割烹着にねじり鉢巻。そして、存在感のある丸眼鏡。

これぞまさしく“焼鳥を焼く顔”じゃないかしらん。

だってもう、パッと思い出したのが、有名なやきとりの缶詰のキャラクターなんですもん。といっても、重野さんはその上位互換というのでしょうか。まるでベンゾウさんみたいな丸眼鏡をかけているのに、昭和のキャラクターの大衆的の風情はなく、どこか上品な佇まいを感じるのです。この方はもう“焼鳥を焼く顔”を持つ方に違いないと、僕は根拠もなく確信したのは、言うまでもないのです。

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うかがったこの日は、ちょうどオープンして1周年という特別な日。こざっぱりとした焼き場にシンプルなしつらえの内装の店内には、お祝いの花が届けられて華やかな雰囲気。和装に割烹着でびしっときめた奥様の接客も、お店に彩りを添えています。

店主おまかせの2つのコースメニュー

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「備長炭焼鳥 鳥しげ」のメニューは、「おまかせ11品(串8品)」の3,780円とおまかせ6品(串5品)の2,370円の2つのコース料理が基本で、8時を過ぎたら、単品でいろいろな串のオーダーが可能になります。使っている鶏は、主に上質の脂とうま味の強いプリッとした歯ごたえが特長の地元・静岡の地鶏・一黒軍鶏を使用。調味料は、キリっとした塩味のなかに甘味のあるアンデス産の岩塩をはじめ、それぞれの串に合う厳選されたものを使っています。

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うれしいのは、静岡の地酒からワインまで、重野さんが選び抜いた焼鳥に合う銘柄がそろっていること。

この日は3,780円のコースを、まずは静岡の地酒らしい辛口端麗な飲み口の静岡・袋井の地酒「國香」(860円)とともに堪能させていただきました。

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▲一品目:もも

一黒軍鶏の上質な脂と濃いうま味が味わえる”もも”は塩でいただきます。プリッとした歯ごたえのある肉質は、かむほどにジューシーで臭みのない上品な味わいです。

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▲二品目:血肝

銘柄鶏のまだ若くてクセの無い鮮度のいいレバーを、絶妙な焼加減で、とろけるような食感に仕上げています。自家製のタレとその場で挽いた山椒の香りが上品なアクセントになっています。

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▲三品目 ぼんじり

丁寧に処理された一黒軍鶏の”ぼんじり”は、臭みが全くありません。自家製のダシ醤油で味付けさていて、かむほどに口の中に上品な脂があふれます。

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▲四品目:しいたけ

農林水産大臣賞金賞を受賞したという、地元・藤枝の玉取茸という肉厚な”しいたけ”を使用しています。焼いても小さくならない、身の詰まった肉厚な”しいたけ”はさっぱりと塩で素材のうま味を楽しめます。

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▲五品目:お漬物

ほのかに柚子の香るお漬物は、口直しに最適です。

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▲六品目:なす

地元・藤枝の無農薬で栽培された”なす”を農家から直接仕入れて使っています。表面の香ばしさと中のとろっとした食感のハーモニー。少し香ばしくなった特製の醤油ダレが後をひきます。

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▲七品目:ねぎま

一黒軍鶏の胸肉を使った”ねぎま”は、クシの上下にネギを配置した珍しいスタイル。しっとりとして上品なうま味、胸肉がネギの味わいを惹きたてるネギの存在感があるひと串です。

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▲八品目:ぎんなん

静岡・清水産の木から落ちる前に摘まれた大玉の”ぎんなん”を塩味で焼き上げています。鮮やかな緑色をしたぎんなんの、もっちりした味わいが楽しめます。

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▲九品目:ちょうちん

銘柄鶏の卵管とにんにく醤油に漬け込んだ未成熟の卵をあわせていただく、単品注文においても人気の一品。独特のうま味と歯ごたえを感じる卵管と、濃厚な卵のうま味が口の中で絶妙に絡み合います。

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▲十品目と十一品目:〆の焼きおにぎりと鶏スープ

香ばしく焼き上げられた”焼きおにぎり”は、お店で丁寧に出汁をとった濃厚な”鶏スープ”とともにいただきます。別々に食べるのはもちろん、スープに浸して食べると濃厚なスープにオコゲの苦味がアクセントになって絶品です。コースはこれで終了です。お腹も充分に満たされるボリュームでした。お酒は日本酒1杯とグラスワイン2杯。これで、5,500円は価格的にも大満足です。

「備長炭焼鳥 鳥しげ」の焼鳥へのこだわりは?

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職人気質のオーラをまとう重野さんですが、話しかけてみると料理のことやお店のことを、気さくにいろいろ話してくれました。

──焼鳥屋さんを始めたきっかけはなんですか?

「もともと焼鳥が大好きだったんです。でも、藤枝には焼鳥だけで勝負するお店が無かったんですね。でも、僕や間覚さんのように、焼鳥ファンって、どの地域にもいると思うんです。だから、いつか地元で自分自身が行きたいと思うような焼鳥のお店をやりたいと思っていました。」

──主に使っている一黒軍鶏の特長は?

「一黒軍鶏は、主にお米を飼料としている地鶏だけあって、臭みがないんです。プリッとした歯ごたえはもちろん、味わいにも深みがあり、静岡の地鶏の美味しさを地元の人にもアピールできると思います。」

──焼き方のこだわりはありますか?

「炭には高火力で高遠赤外線の紀州備長炭のみを使っていて、素材ごとの最適な焼き方を追求しています。また、日本酒ではなく白ワインとオリーブオイルを塗りながら焼くのがうちのお店のスタイルで、脂の乗ったうま味の強い鶏もほのかにワインの柑橘系の香りがのって、さっぱりとお召し上がりいただけると思います。」

──お酒の品揃えで気をつけていることは?

「やはり、静岡のお店で静岡の地鶏を使っていますので、静岡の地酒を合わせていただきたいですね。静岡の地酒の特長でもある端麗な味わいの日本酒(540円~)は、上質な一黒軍鶏の脂とも相性が抜群です。またワインにも力を入れていて、ほんのり酸味のあるイタリアワインを中心に、やはり焼鳥との相性を考えた銘柄を厳選しています。ワインはグラスワイン(430円)も用意していますので、気楽に楽しんでほしいですね。」

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実際のところ、どんな人が“焼鳥を焼く顔”を持っているかなんて、人それぞれの感覚で違うと思うんですけどね。でも、そんな思いこみを持つことも、食べ歩きを楽しむための装置になると、Kさんはそんなことを伝えたかったと思うんです。これからの僕は、ふと丸眼鏡をかけた御仁を見かけたとき、「備長炭焼鳥 鳥しげ」の焼鳥のことを思い出すことになるでしょう。そんな、焼鳥愛をいっそう大きくさせてくれるきっかけを作ってくれたKさんと、期待にたがわぬ焼鳥を満喫させてくれた「備長炭焼鳥 鳥しげ」に感謝した、晩秋の飲み歩き体験でした。

お店情報

備長炭焼鳥 鳥しげ

住所:静岡県藤枝市青木1-21-29

電話番号:054-641-6561

営業時間:16:00~23:00

定休日:火曜日

Facebook:https://www.facebook.com/torishige1111/

※金額はすべて消費税込みです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

書いた人:間覚(かんかく)

間覚

老舗出版社出身のライター件編集者。間隔ではなく感覚でもなく間覚。間を読みバランス感覚に優れるわけでなく、実際のところはお酒の飲みすぎによる皮膚感覚の低下と頻尿によるトイレに行く間隔の短さに悩みつつある初老。ライフスタイル系雑誌や新聞社などの紙媒体での執筆のほか、自社で雑誌を出版していたこともある。

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