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RESASのデータから地方創生を考える「RESAS-APIハッカソン」開催レポート

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RESASのデータから地方創生を考える熱い2日間

RESAS(リーサス)=Regional Economy and Society Analyzing Systemは、人口急減・超高齢化に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的に、地方自治体が自らの現状と課題、強みと弱み等を把握し、その特性を踏まえた地方創生実現のための戦略立案に活用されています。

この2016年11月、RESASのデータを自由に取り出せるAPIが公開され、このAPIを利用して地方創生を考える「RESASアプリコンテスト」も今後開催される予定になっています。そこで、API初公開を記念し、またコンテストに応募するための作品作りを支援することを目的とし、「東京で考える地方創生!RESAS-API ハッカソン」が11月6日と13日の2日間にわたり開催されました。
RESAS
RESAS API
RESASアプリコンテスト

11月6日に開催されたハッカソン1日目については、以下を参照ください。
RESASのデータから地方創生を考える熱い2日間!(1/4)
RESASのデータから地方創生を考える熱い2日間!(2/4)

2日目、開発が締め切られ発表が始まる

2日目は、開始時間からずっと開発が続けられる中、いよいよ、締め切り時間が迫ります。5分前からスクリーンに時計が表示され、16時45分、ぴったりでタイムアップ。10分間の休憩の後、最終発表が始まります。

発表の前に審査員が紹介されました。審査員は以下の通りです。


内閣官房 地方創生推進室 RESAS 担当 大村 浩之 氏
チームラボ株式会社 カタリスト 床並 展和 氏
株式会社IDOM 執行役員 新規事業開発室長 北島 昇 氏
アソビュー株式会社 取締役執行役員 営業統括責任者 高村 圭 氏
駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)事務局 中山 圭太郎 氏
日本マイクロソフト株式会社 テクニカルエバンジェリスト 増渕 大輔 氏

3分間勝負の最終プレゼンテーション

最終発表は3分間。デモのみで、スライドの使用は不可。質疑応答も3分。
その短時間でこれまでの成果を説明することは難しかったようで、どのチームも概要を話すだけで精いっぱいという感じでしたが、それでも成果物はしっかりと見ることができました。

1.Zen OS(岩手県)

最初の発表者は、チーム「Zen OS」です。「社会を変えるために社会を創るサービスを提案します」という言葉から始まった作品は、エストニアのブロックチェーンを採用した仮想通貨を下敷きにしたもの。

その構想自体が大きく、また地域社会全体を相手にするもののため、実際に何かが動くのではなく、全体の仕組みと、ブロックチェーンを使うことでリアルタイムに取引が可視化できる、という点を説明するに留まりました。「コミュニティの作り方として提案したい」と伝えたところで時間切れ。

審査員からは、使うユーザーを想定しているのか、という質問があり、「企業自治体宗教などのコミュニティ単位で通貨を使ってもらいたい」と答えました。

2.シン・ショクアン(群馬県)

続いては「シン・ショクアン」。「大都市から地方への移住と転職は誰もが本当にできるのか?」という問いかけから発表が始まりました。

マップから移住したい地域、ここでは群馬県をクリック、続いて、年齢、職種を入力してスタートボタンを押します。これで、想定年収、ブラック度、住みやすさが表示されました。データ自体はRESASにあるので、その分かりやすいフロントエンドを作ったということでした。想定年収はRESASのAPIから一人頭賃金を取って表示。

本当は市単位で作りたかったがデータが取りにくく、県単位で作ったため、やや大ざっぱになったのが残念と話していました。

審査員からは、その地域の情報も見えると面白くなりそう、年収メインだと地方創生の逆バイアスになりそう、といった質問が出ていました。それに対しては、人にとって気になるのはお金。住居費、物価などの指標をコンパクトに見せることでバイアスを和らげられると思っています、と答えていました。

3.静岡茶(静岡県)

3番目は「静岡茶」。彼らが作ったのは、地域に埋もれた消滅寸前の貴重な食材を「ユニコーン」と名付け、クイズを通して、ユニコーンに出会う仕組み。

例として静岡の手もみ茶をユニコーンとしたデモが行われました。クイズはデータを利用したものが使われるということで、ここでは「農業をしている人の年齢が一番高いのは?」という問題が出された。そして、正答率によってポイントが付与され、地元の名産品の購入サイトなどに導かれる仕組みです。

審査員からは、クーポンのお金の出所や、静岡に限定するのか、地方の特産品をどうやって探すのか、といった質問が出ていましたが、それらは、これから考えるということでした。

4.アニメ版RESAS研究所(静岡県沼津市)

続いては、「アニメ版RESAS研究所」。アニメ「氷菓」「君の名は。」の舞台となった高山が人を集めたこと、長崎市がアニメ制作者や漫画家に取材の補助金を出すといった近年のニュースから、地方自治体とアニメの繋がりを提示。

アニメの作品から地域を検索し、RESASから人口推移などのデータを取ることで、観光資源としてのアニメの効果や転入転居とアニメの相関関係、前年比などの表示を行うもの、という話から始まりました。「アニメ作品のマスターデータは自作のAPIで公開しているので、それをRESASと連携したものです」と、実際にサンプルのデータを動かしてみせてくれました。内部的には経済波及効果も計算しているそうです。

この発表に対しては、学生に受けそうだけれど、想定ターゲットは?という質問があり、アニメの制作委員会が巡礼の効果を説明する時や、地方の振興課が宣伝するのに数値を見せる時などに使ってほしいと答えていました。

5.サバトレ(福井県鯖江市)

5番目は「サバトレ」。中間発表では地域での宝探しを提案していましたが、最終発表では、落書きを指標にした、地域の住みやすさの値、「ほっと指数」を算出するサービス「ラクトレ」に変わっていました。

落書きをマッピングして、実際にNPOなどでやっている落書きを消すサービスを行い、落書きの発生と消したものを可視化。いつどこで落書きを消すといったスケジュール管理も行うそうです。この「ほっと指数」が治安対策の方策になれれば、と話されました。

審査員からの、汚い落書きやアート作品になっているものなどの評価をどうするか?という質問には、アートになっているものは評価し、良いモノが多い地域なら町おこしも考えたいと答えました。「自分たちが町を見てものを作るという姿勢が良い。サービスから感情が伝わってくる。」という評価がある一方で、RESASをどう使うのか?という意見もありました。

6.星Niteen(広島県)

6番目は、地域の魅力を提供する観光案内を提案する「星Niteen」。地図上で、出発点と到着点を指定し、「歴史的な道順を」「夜景がキレイな道順を」などと、どういう風に経路を楽しみたいかを選び、さらに、徒歩か車かを選ぶと、道順に沿って観光ポイントを楽しめるルートを表示してくれるサービスを発表しました。

国土交通省などのデータを元に、Googleマップの写真の人気で重みを判断して地図から指標に沿ってルートを表示する仕掛けだそうです。

この発表に対して、ユーザーに合わせた重みづけができるのか、選択の結果によっては経路の順番が変にならないのか、といった質問が出ました。これに対し、地元住民に参加してもらい、クラウドソーシングで多数のデータを集めたい、と返答。また、ルート自体には重みが付けられないので、地点だけで判断しているという返答に対し、行って戻ってくるルートも面白そうという意見がありました。

7.matsuri.jp(長野県)

7番目は、「matsuri.jp」。ある晴れた日の長野の軽井沢の町役場を舞台にした寸劇で発表が始まりました。

発表されたのは、ある市町村を入力すると、人口歳出などが似ている市町村を検索、表示してくれるサービス。産業構造なども表示できるようにしたいと話していました。「町役場のデータはITの担当者から部下へ、そこから上司へという手順が踏まれます。でも、直接上司が検索できれば無駄が省けると思いました」と発表しました。

この発表に対し、審査員からは、上司がその都度切り口を変えて利用できるのは良い、という講評がありました。まだ可能性を示唆するに留まっているという指摘もありましたが、これを第一歩として、自治体が持っている絵と繋いでいきたい、との返答がありました。

8.外閣府(全国)

8番目は、地域の住みやすさを可視化したい、というテーマの作品を作った「外閣府」。全国の税収上位を表した地図を使って、「周りの地域から離れ、大都市からも離れているのに経済価値が高い地域などが分かる」ようにした作品を発表しました。

「これを使うと、大都市に近くても経済的な距離は遠いといったところも分かります。例えば、ここに道を通せば経済的に上昇するのでは?ということが分かるわけです。物理的な平均距離と経済的な平均距離の相関関係を見るものを可視化したいと思いました」ということでした。

この発表については、審査員から「都市との距離と税収の関係だけでなく、将来的に、新幹線の駅が一つできるとどうなるのか?といった税収以外の観点を盛り込む予定は?」という質問がありました。それに対しては、一人当りの賃金などの指標も考えたが、最初は見やすく税収に絞った、との返答がありました。

9.TripRecommender(岩手県)

9番目は、「TripRecommender」。チーム名が、そのまま作成したサービスの名前でもあります。市町村名を入力すると、そことは似ていない市町村を表示してくれるシステムです。渋谷と入力すると、奄美とかが出るわけです。

「日常と似ていない場所に行くことで、いつもと違う発見ができます」とのこと。また、観光目的だけでなく、戦略的に自分の地域にないものを持っていそうな地域の人を積極的に連れて来るといった用途にも使えるという発表でした。

審査員からの「似ていないの定義は?」という質問に対しては、RESASの産業定数のデータを使用して、渋谷区なら渋谷区の弱い産業を順に抽出、それらが強い地方を探して、独自の算出を行っているという答えでした。

10.HappyChild(北海道)

10番目は、子供が産まれそうな夫婦はどこに住めば良いかを提案してくれるサービスを提案する「HappyChild」。

住む地域によって、保育園や医療費、補助金などが大きく違う、という点に目をつけたサービスで、勤務地、優先事項(お金、環境、コミュニティ)を選ぶとお勧めの地域が表示され、クリックするとグラフ表示されるという作品でした。「どこならいくらもらえる、というのが一目瞭然で分かります。遊びに行くならどこ?というようなことにも対応します」という発表でした。

審査員からは、「良くできたサービス」と好評。追加したかったものは?という質問に、保育園などの空き情報も入れたいと返答。また、補助金情報は都道府県ごとにバラバラに公開されているので手動で入力したこと、データだけでなく実際の声も見られるものにしたいと話していました。

11.R-dush(全国)

最後は、自治体カルテを作りたいと提案した「R-dush」。都道府県がどういう状態なのかを把握するものを作りたかったと発表。

「RESASは指標が細かく把握しづらいため、指標ごとの組み合せで表示できるようにしました。例えば、出生率、労働環境などのデータを合成して、『住みやすさ指標』を表示。その住みやすさ指数と老年人口を組み合わせて分析する、といったことが可能です」。

この発表に対して、審査員からは、一番のメリットは何か?と質問が出ました。それに対して「KPIを設定してもらって、それに合う指標はどこにあるのかを探るものです」と返答しました。

各チームの発表が終了

以上で最終発表は終了。時間を厳密に進行したため、予定より早く終了しました。審査員が審査を行っている間、参加者にはアンケート用紙が配られ、休憩、アンケート記入の時間が取られました。

その間に、ライトニングトークが行われ、一つは、Woman Who Codeによる、VRのイベントと12月に行うハッカソンの紹介。もう一つは、データを使って町の課題を解決する「Urban Data Challenge」の紹介。最後に「LODチャレンジ2016」の参加のお願いが話されました。

そしていよいよ審査結果の発表です!

審査結果の発表

いよいよ、ここから審査結果の発表です。

マイクロソフト賞:「サバトレ」

実業に継続開発する作品に贈られる「マイクロソフト賞」。プレゼンターの日本マイクロソフト・テクニカルエバンジェリスト増渕大輔氏は、「RESASを使った上で地域に貢献している。落書き以外にも発展性があると思った」とコメント。サバトレチームは、「落書きは地域の指標に使われていないけれど、気にしている人は多いと思っています」と受賞を喜びました。

ANTOR-JAPAN賞:「Zen OS」

最もグローバルな作品に贈られる「ANTOR-JAPAN賞」。プレゼンターはANTOR-JAPAN事務局の中山圭太郎氏。「仮想通貨という新しい技術を使う、未来を見ていたアイディアを評価しました」というコメントと共に賞品を授与。Zen OSチームは「光栄です。法的な問題はあるなあと思いつつ、地域通貨は今後の課題として重要だと考えています」と答えていました。

アソビュー賞「星Niteen」

各地域の魅力付けの一助となり、人の移動を生み出すことにより一時的ではなく、長期的な地域活性につながると期待される作品に贈られる「アソビュー賞」。プレゼンターのアソビュー取締役執行役員・営業統括責任者の高村圭氏は「地方では、地域を周遊して欲しいという願いが多いので、こういう経路を教えるサービスは魅力的。これまで手作りしていたものがたくさんできる可能性があります」とコメント。受賞者チームは「今回は直線で目的地に向かうルートのみでしたが、ぐるっと回るのもいいかもしれません」と答えていました。

IDOM賞「TripRecommender」

おでかけをもっと楽しく、もっと便利にする作品に与えられる「IDOM」賞。プレゼンターのIDOM執行役員・新規事業開発室長の北島昇氏は、「正面から地方創生をどうするかに向き合っているのを評価しました。出かけたくなるという部分で、似ていない町探しには可能性があります。一緒にやれるのではないでしょうか」と講評。チーム代表は「エンジニアだけれど地方創生の現場にいました。そういう知見を落とし込めたかなと思います」と喜びを表していました。

準優勝「アニメ版RESAS研究所」

「他に比べて市場が具体的に定義されていました。また、ニッチな部分に着目しつつ、現実的なアイディアというのが良かった。データの可視化サービスが現実的で将来が見えていたと思う」と評価概要が述べられました。

「アニメに沿った形で、わくわく感があります。アニメ情報のAPIが作られているのも良いですね。将来性が楽しみです」というコメントに対し、受賞チームは、「アニメは、10年前はニッチだったけれど、最近は地方創生にも使われていてファンとして嬉しいです。個人的に作っていたAPIも使ってもらえて嬉しかったです」と喜びを語っていました。

優勝「Happy Child」

内閣官房・地方創生推進室RESAS担当の大村浩之氏は、「元気が良かった。地方創生の中で子育ては需要が高いため、RESASでも入れたかったものを1週間で実現して驚きました。重み付け、地域のポイントを見える化、といった部分はシステムとして使えます。いろんな地域で使えるように改良してほしい」と絶賛のコメント。

優勝チームのシステム開発担当者は「自分も北海道出身なので、地方創生にチャレンジしたいです」と抱負を語り、データの収集整形の担当者は、「データは使われなくては意味がないので、継続して、データ公開、共有をやっていければと思います」と将来を語りました。

これで授賞式は終了。ここで、今回の参加者全員に「dots.利用券」が進呈されることが発表され、会場が沸きました。また、「RESASハッカソン2」の開催も発表されました。

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