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フィラデルフィア・インターナショナルの極めつけディスコヒット5曲

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今回は70年代のディスコ黎明期に大ヒットを連発し、モータウンの対抗馬となったフィラデルフィア・インターナショナル・レコードを代表する5曲をセレクト。
フィラデルフィア・インターナショナルの極めつけディスコヒット5曲 (okmusic UP's)

1971年にアメリカで始まったテレビ番組『ソウル・トレイン』
毎回、黒人音楽のスターをスタジオに呼び、観客が踊るという趣向の内容で、この『ソウル・トレイン』が世界中にディスコを広めるきっかけとなった。その昔、日本でもちゃんとテレビ放送されていて、洗練されたダンサーの巧みなダンスに、今、中年以上の人なら感動した記憶があるはずだ。
同番組のテーマ曲を演奏していたのが、フィラデルフィア・インターナショナル・レコード(以下、P.I.R)に所属するグループ、MFSBである。若い人でも、MFSBというグループ名やテーマ曲のタイトル「T.S.O.P(The Sound Of Philadelphia)」は知らなくても、曲そのものは聴いたことがあると思う。それぐらい日本ではよく知られた曲だ。

60年代には大ヒットを飛ばしまくっていたモータウン・レコードであったが、70年代に入ると、誰にでも愛されるヒット曲という意味では翳りが見え(もちろんアルバム単位では秀作は多かったが)、キャッチーなメロディーを持つ曲を量産していたP.I.Rが70年代の主役に躍り出る。もちろん『ソウル・トレイン』の高視聴率のおかげで好セールスに結び付いたこともあっただろうが、何より親しみやすい曲が多いということが一番の大きな理由である。ソングライター兼プロデュースを、ケニー・ギャンブル&レオン・ハフ、そしてトム・ベルという非凡な才能を持った3人が担当し、彼らが次々と新しいシンガーやグループを生み出していったのである。

それらを総称してフィリーソウルとか、フィラデルフィアサウンドと呼び、オージェイズ、イントゥルーダース、ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツ、スルー・ディグリーズなど、ギャンブル&ハフのもとで、70年代の独創的なソウルミュージックを送りだしていく。そして、それらが第一世代のディスコ・ムーブメントに華を添えることになる。

そんなわけで今回は、70年代初頭のディスコを盛り上げたP.I.Rのディスコ・クラシックスを5曲セレクトしてみた。

1.「T.S.O.P(The Sound Of Philadelphia)」(‘74)/MFSB Featuring The Three Degrees
ディスコ向けのヒット曲として世界最古の曲である(ビルボードの全米ホットチャート1位)。邦題は「ソウル・トレインのテーマ」。ストリングスを中心にしたダンサブルなナンバーで、フィラデルフィアサウンドを代表する一曲だと言えるだろう。3人組女性コーラスグループのスリー・ディグリーズがゲスト参加しているが、合いの手を入れる程度で、基本はインストナンバーだ。高校生の頃だったか、この曲を最初に聴いた時、ヴォーカルもないし華麗なギターソロのようなものもないので、この曲の使われ方というか意味が分からなかった記憶があるのだが、その頃はまだ“踊る”という概念が僕の中に定着していなかったからだと思う。MFSBはマザー・ファーザー・シスター・ブラザーの略で、数十人にも及ぶP.I.R専属のバック・ミュージシャン・チームだ。白黒混合で、モータウン・レコードのファンクブラザーズやスタックス・レコードのブッカー・T&ザ・MG’sのような存在である。

2.「Back Stabbers」(‘72)/The O’Jays
フィラデルフィアサウンドを代表するコーラスグループ、オージェイズの大ヒットナンバー。全米R&Bチャートで1位。ポップスチャートでも3位を獲得した名曲。邦題は「裏切り者のテーマ」。長い間、下積み生活を送っていた彼らがフィラデルフィアで大成功を収めた記念すべき曲で、これがP.I.Rの最初の大ヒット曲でもあった。オーケストラのアレンジをはじめ、コーラスの部分やソロパートの上品なシャウトぶりなど、この曲でのギャンブル&ハフとトム・ベルのプロデュースは、当時かなり斬新だったと思う。初期のディスコではオージェイズは大人気で、80年代までヒット曲をリリースし続ける。リードヴォーカルのエディ・レバートの歌い方にやさしさと温かみがあり、他のP.I.Rのヴォーカリストたちも大いに参考にしたと思われる。フィリーソウルの典型的なスタイルだと言えるだろう。

3.「Love Train」(‘73)/The O’Jays
2)と同様、オージェイズの大ヒットナンバー。5曲のうち2曲もオージェイズを選ぶのはどうかと思ったが、やっぱりディスコってことで言えば、これは外せない。ソングライティングはギャンブル&ハフ、アレンジはトム・ベルが担当、P.I.Rのプロデュースチームは、多くの曲がこの3人なので、どうしても似通ったサウンドになってしまうのは否めず、これは1)の「TSOP」とほぼ作りが同じ。しかし、このスタイルこそが当時のディスコにとっては定番で、もっとも踊りやすかったのだ。ただ、ここでは南部ソウルの泥臭さを少し取り入れるなど、試行錯誤の部分も見られる。地味にすごいプレイを聴かせるベースのグルーブ感が素晴らしい。ひょっとすると、若かりし頃のアンソニー・ジャクソンかもしれない(MFSBはベース、ギター、ドラムなど、各パートに複数のミュージシャンを用意していた)。

4.「天使のささやき(原題:When Will I See You Again)」(‘74)/The Three Degrees
P.I.Rのスプリームスとも言えるスリー・ディグリーズ。この曲は世界的に大ヒットし、特に日本での人気は高かった。コマーシャルにも登場した他、日本語で歌った曲もリリースし歌謡番組にも出演していた。この曲も全米チャートでは2位であったが、日本では1位になった。ちょうどこの頃、日本でもディスコが認知され始めた時期(僕は追いついてなかったが…)で、当時のダンス好きのお兄さんお姉さん(現在60歳ちょいすぎの方々)はディスコに通い始めていたのではないか。スリー・ディグリーズは、当時ソウルグループという認知はされず、ディスコ専門のグループのような捉え方であったように思う。今改めて彼女らの音源を聴き直してみると、これが実に良い。良い曲を歌う歌の上手いグループで、ディスコファンだけのものにしておくのはもったいない気がする。続くシングル「Dirty Ol’ Man」(‘74)も大ヒット、70’sディスコの完成されたサウンドが聴ける。

5.「(Win, Place Or Show)She’s A Winner」(’72)/The Intruders
オージェイズやハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツと並んでP.I.Rを代表するグループのひとつ、イントゥルーダースのディスコヒット。彼らはP.I.R設立前の1968年、ギャンブル&ハフと組んで「Cowboys To Girls」で全米チャート1位を獲得し、それが縁でP.I.Rに移籍している。このナンバーはMFSBのタイトなリズムをバックに付け、ダンサブルで明るいスタイルに仕上がっており、ディスコには持ってこいだろう。この曲がリリースされた72年の時点では、まだディスコの概念はアメリカでもあまりなく、全米R&Bチャートで12位という結果であった。この時にダンスチャートがあれば、間違いなく10位以内に入っていると思うのだ。そういう意味では早過ぎるリリースだったと言えるかもしれない。僕はこの曲、バリー・ホワイト(この人も70‘sディスコの大物)やアバなど、後のディスコで頭角を表すミュージシャンに影響を与えた曲だと考えている。オリジナルは2分20秒ほどの短い曲だが、2011年にトム・モウルトンによる7分30秒のリミックス版がリリースされ、この曲の重要性が再確認できた。

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