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矢野顕子×YUKI、二人の歌声が響く魔法の時間「40年やってると、こういういいこともある」

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矢野顕子×YUKI、二人の歌声が響く魔法の時間「40年やってると、こういういいこともある」

 矢野顕子のデビュー40周年を記念して春から行われてきた共演シリーズ【ふたりでジャンボリー】特別編が、12月2日にZepp DiverCity TOKYOでJ-WAVE SPECIAL LIVEとして開催された。

矢野顕子×YUKI 写真

 今回のゲストはYUKI。意外な顔合わせに思えるが、90年代に矢野が所属したエピック・レコードからJUDY AND MARYも’93年にデビュー、両者はレーベルメイトだった。また矢野が2006年に出したセルフ・カヴァー・アルバム『はじめてのやのあきこ』の共演者にYUKIも名を連ねている。この夜、幸運を手にいれた観客は椅子席・立ち席合わせ2000人。どんなライブになるのか、誰もが期待に胸を高鳴らせていた。

 まずはグリーンのミディ丈ドレス姿で矢野顕子が登場。ステージ中央に置かれたスタインウェイのグランドピアノにつくと、大らかなタッチの「BAKABON」からスタート。赤塚不二夫の漫画がモチーフのコミカルな曲に、会場内の空気も緩んでいくようだった。さらに空気を和ませたのは、次の曲に移ろうとしたところ空調の風で譜面がピアノから落ちてしまい、矢野は即興で「この風はどこから~?」と歌ってスタッフに指示。客席に笑い声が溢れ、トラブルに動じない矢野の懐の深さに、のっけから魅了されることとなった。そんなアドリブから自然に次の曲「椰子の実」に入っていったのも圧巻。「古い歌」とざっくり説明していたが、島崎藤村が作詞した誰もが知る童謡を、まるで違う曲のように歌っていく。矢野スタイルは相手を選ばない。

 限定グッズの缶バッヂを、3日前にYUKIと二人で描いて作ったと、バッヂ作りの機械を操作する真似をした後で「半分ウソです」などと和やかなMCを挟みながら、「ごはんとおかず」「こんなところにいてはいけない」と自身の楽曲を演奏。柔軟なピアノと伸びやかな歌が矢野独特のスタイルで曲を生き生きと聴かせていく。そして、「YUKIの詞はすごい!」と感心して歌ったYUKIの「汽車に乗って」も、見事に矢野スタイルに。YUKIファンは驚いたのではないだろうか。歌い終わった矢野が「YUKIさんです!」と紹介すると、ピンクのグラデーションが綺麗なフワフワのミニドレスにピンヒールブーツ姿のYUKIが登場。少女のようにキャッキャと声をあげて挨拶をした二人が、最初に共演したのは「リンゴの歌」。”赤いリンゴにくちびる寄せて~”という有名な歌詞を、YUKIは1番を津軽弁で、2番を函館弁で歌うスペシャル・ヴァージョンにしていた。函館出身のYUKIが修学旅行で青森に行った時のバスガイドが歌っていたものを覚えていたのだとか。子供時代を青森で過ごした矢野とお国言葉で話してみせたり、次に歌った「丘を越えて」は、姉が持っていた矢野の初作『JAPANESE GIRL』をよく聴いていたので矢野の歌い方で覚えてしまったと思い出話を披露するにつれ、YUKIの矢野へのリスペクトと二人の親しい間柄が伝わってきた。

 曲によって、1番をどちらかが歌い2番はもう一人が歌う構成だったり、ハーモニーをつけるパートがあったりと、どれもこの日だけの歌。さらなるスペシャルは、この日のために二人が共作した新曲「バナナが好き」だ。矢野が書いた歌詞に、YUKIによるシンプルだがポップで華のあるメロディがついている。この曲を作るにあたり、いつも自分の作品は「曲をもらって詞をつける」と言ったYUKIに、矢野が「じゃあ逆をやりましょう」と即決したのだそうだ。歌詞をもらってから完成まで10日ほどかかったと、苦労のほどがYUKIの言葉から感じられた。こんな話をしている二人の手元にはバナナが用意されており、YUKIが頭に乗せてみせると矢野も真似て、「こういうグッズを作ればよかった。YUKIと書けば売れるんじゃない?」と矢野が言えば「誰も買いませんよ」とYUKIが笑った。

 そんな話をしているところへドラムセットが現れ、この曲ではYUKIがドラム演奏を披露。2012年のツアー”BEATS ON TEN”以来のことだ。その時に使ったドラムセットを持参したらしい。出来たばかりの曲を、ドラムを叩きながら歌うのはさすがに緊張したのだろう。歌い終わった途端、ドラムスティックを握ったまま両手を挙げて「やった!」と笑顔を見せた。そんなYUKIに矢野も笑顔で拍手を送る。まったく初出・初演の曲に観客からも大きな拍手が送られたのは言うまでもない。

 この「バナナが好き」を誰かカヴァーしてくれないかしらなどと二人で盛り上がったり、バナナは子育てしている時にバッグに入れておくと便利と矢野が独自の育児法を話したり、ニューヨークの矢野宅をYUKIが訪れた時のことに話が及んだり、新曲を演奏し終えて安堵したのだろう、急にリラックス・モードになっていたが、時間は容赦なくすぎていく。終盤はYUKIの「tonight」。原曲もピアノをフィーチュアした演奏だが、矢野のピアノも新たな味わいを曲に加えていた。ゴスペル調の曲に矢野も想いが入ったのか、演奏しながら思わず声が出ていた。そして「もっと話したい」「またやりたい」と二人が時間を惜しみながら最後に演奏したのは「ごはんができたよ」。冒頭に書いた矢野の作品でYUKIが参加した曲だ。その際にYUKIに合わせて歌詞が変更されているのだが、ここでは当然YUKI・ヴァージョンで。交互に歌いコーラスをする二人の声が、響き合い大きな波となって場内にあふれていた。

 アンコールに応えて再登場した二人は、再度「またやりたい」と言い、矢野が「40年やってると、こういういいこともある」と笑顔を見せて、「JOY」のイントロを歌い出すと客席から歓声が起こった。矢野の自在でリズミカルなピアノとYUKIの澄んで伸びやかな声は、”どんなに離れ離れでもふたりをつなぐ呪文”という歌詞の通りにつながっているようだった。演奏が終わり二人がステージ中央に並ぶと、YUKIが手で顔を覆った。そんなYUKIを矢野が優しくハグした。そして二人は手をつないで頭を下げ、笑顔でステージを離れた。

 この公演の模様は1月1日22時からの『J-WAVE SELECTION Akiko Yano The 40th Anniversary Live with YUKI』でオンエアされる。

TEXT:今井智子(音楽評論家)

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