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どう薦めていいかわからないが、きっと配信だからこその可能性 『どす恋 ミュージカル』

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「なぜ造った」は1994年に公開された映画『フランケンシュタイン』が駄作扱いされてしまった時に、何度となく引き合いに出された同作の宣伝コピーだが、『どす恋 ミュージカル』を観ていて20数年ぶりにその文句が脳裏によみがえってきた。
 
台湾出身、日本ではテレビ番組のカラオケバトルで人気者になった体重115kgのぽっちゃりシンガー、リン・ユーチュンの主演作。その歌唱力を活かしたミュージカルであり、その体格を活かした相撲コメディである。ユーチュンが扮するのは台湾からの留学生。ひょんなことから大学の相撲部に入り、情熱や友情、そして相撲の心を学んでいく。共演は『SRサイタマノラッパー』の駒木根隆介にもはや大御所バイプレイヤーの渡辺哲、そしてもれなくぽっちゃりな相撲部員役のみなさんだ。
 
正直言って、どんな観客層を想定して作られているのかさっぱりわからない。25分余りの短編で、たわいのないギャグをちりばめ、ミュージカルシーンを数曲入れ込めばストーリーを語れる分量はさほど残らない。実際ストーリーなんて申し訳程度にあればいいと言わんばかりの潔さ。エイベックスが絡んでいるから実現したと思われるリン・ユーチェンが歌うTRFの「EZ DO DANCE」カバーにのせて、まわしをつけた相撲部員たちが四股を踏みつつ踊ってみせる異様な映像に盛り上がれるひとは相当な通人だろう。
 
監督の落合賢がかねてから温めていた企画だそうだが、そりゃ実現しないだろうよ。マニアックな筋に向けたアングラビデオならともかく、半裸のおデブちゃんたちがぺったんぺったんくっついたり踊ったりする姿が売りだと言われて(念のために言うと相撲という競技を悪くいう意図は一切ありません)どこの出資者が「よし、それだ!その企画に乗った!」と言うだろうか。
 
にもかかわらず、『どす恋ミュージカル』はコマーシャル性もアーティスティックな独創性も感じさせないまま、おそらく「お相撲さんのミュージカル、おもしろくね?」くらいのノリで実現してしまっているのだ。筆者も皮肉ではなく25分間に何度も「なぜこの映像を見ているのだろうか」と自問自答せずにいられなかった。言い換えれば、本作は確かに「いまだかつて見たことがないもの」が画面の中で展開していたのである。
 
はっきり言えるのは、こんな「なんで生まれたのかわからないコンテンツ」が生まれたのは、配信という新たなフィールドができたおかげだということ。そしてそういう勢いの中からこそ、これまでの常識を打ち破る突然変異体のような作品や表現が生まれてくるかも知れないということ。『どす恋ミュージカル』がなにかの可能性を切り拓く未来を想像はできていないが、確かにこんな珍品は見たことがないし、それだけでもう革命ののろしのような気がしなくもないし、25分だから観てみてもいいんじゃないですかと無責任に人にも薦められてしまうのである。
 
 
※dTVオリジナルドラマ『どす恋 ミュージカル』dTVにて独占配信中
©BeeTV
 
[予告編]

 
[視聴リンク]
http://pc.video.dmkt-sp.jp/ft/s0004360

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