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次々と取引先が倒産…それでも生き残った会社の社長が社員に伝えた言葉とは?

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次々と取引先が倒産…それでも生き残った会社の社長が社員に伝えた言葉とは?

どんな会社でも長く続けば、紆余曲折の歴史が生まれるものだ。

バブル経済が終焉を迎え、不況の風が吹き荒れはじめた1995年、まず兵庫銀行が破綻する。1996年には太平洋銀行、阪和銀行が破綻。そして1997年、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券が破綻するというこの時代の象徴的な事件が起きる。

多くの企業が危機的状況に陥ったこのとき、スポーツ・カジュアルウェアの輸入卸販売をメインの事業とする株式会社ロイヤルもその例に漏れることはなかった。

顧客だった小売が不況の煽りを受けており、特に大口だったダイエーの業績は急速に悪化。1973年に創業し、順調に成長を重ね、拡大路線を歩んでいたロイヤルの売上高は1997年9月期を天井に落ちていくこととなる。

ロイヤルの創業者であり、当時代表取締役社長を務めていた中根巌氏は自著の中で次のように回想する。

拡大成長志向でしたので、行け行けドンドンで、当然、発注も強気でした。

(中略)

小さな会社ですが、売上高が拡大し、人員が増えていく過程で、権限を委譲し、仕事を任せていくことが多くなっていきました。正直に言えば、私自身が「バカ殿様」になってしまって、「よきにはからえ」状態になっていたことは否定できません。その姿勢が上から下まで伝染し、組織全体が「よきにはからえ」病にかかっていました。

(『本物だけを世界から―――商標権と真贋問題を乗り越えて』P86-87より引用)

危機に陥ったロイヤル。中根氏は抜本的な改革――リストラを決意する。もちろん出すべきところに金は出すが、節約すべきものは節減し、削除すべきものはゼロにする。それも1年で変えることを決めたのだ。

 ◇

中根氏の著書『本物だけを世界から―――商標権と真贋問題を乗り越えて』(ダイヤモンド社刊)は、ロイヤルを創業してから今に至るまでの約40年間を振り返る経営書であり、経営の神髄が至るところに散りばめられている。

特に面白いのは、経営危機に陥り、リストラ断行に振り切ったときに、中根氏が役員含めた全社員に送った「強烈なメッセージ」が書かれたメールとFAXの一部を原文そのまま掲載している部分だ。

1997年11月に送ったメッセージでは、ロイヤルを建て直すために中根氏が3つの行動を社員たちに要求している。

1)どんな仕事をしていても、全員セールスマンとしての意識を持つこと

2)営業マンは効率や経費を気にせず、とにかく多くのお客様に顔を見せること

3)経費削減は「たった今」から徹底的に始めること

物を売らなければ売り上げは立たないが、そのときに頑張るのは営業マンだけではいけない。すべての業務が売上に繋がっている意識を持たないと、会社が一丸となることはできない。この中根氏の考え方は今、多くの企業で持つべきものだろう。

さて、2年間でリストラを終結させ、組織をコンパクトにしたロイヤルだったが、経済の状況は変わらず、厳しい不況の風が吹き続けていた。

最盛時、当社の顧客件数は三〇〇〇件を超えていましたが、過半数の二〇〇〇件程度が倒産あるいは自然消滅したのではないかと推察しております。

(『本物だけを世界から―――商標権と真贋問題を乗り越えて』P135より引用)

ただ、こういう状況においても、数億円の営業利益を出せるまでに経営が改善していたことは、中根氏の手腕によるものが大きい。

社長のメッセージは継続的に発信されており、2005年の年明けには「確かにこの6-7年かけて贅肉を落とし、こじんまりした会社にはなりましたが反面何となく活気の無い、元気の無い会社に成り下がった様な気がします」と発破をかけている。

危機の時に、社長が何を考えているのか、そのメッセージをしっかり伝えること。それが、ロイヤルという会社が、リストラを経て不況の荒波を乗り切れた大きな要因の一つだったのではないだろうか。

 ◇

またもう一つ、取り上げたいロイヤルの歴史がある。それは、商標権(真贋)にまつわる訴訟だ。

書籍のタイトルとなっている「本物だけを世界から」という言葉は、ロイヤルの会社案内の冒頭で使われている、社を象徴するキャッチコピーである。

この「本物」は超有名ブランドの「本物」という意味であり、ブランドのほぼ100%すでに日本に総代理店があったり、現地法人が設立されたりしている。そのため、ロイヤルの並行輸入というビジネスの特性上、日本の総代理店からのクレームは絶えず発生している。

例えば、スニーカーのブランドであるコンバース。日本では伊藤忠商事がコンバース・ジャパンの商標権を取得していたが、ロイヤルはアメリカのコンバースから並行輸入をして日本で卸していた。

ロイヤルは伊藤忠から販売ストップと在庫処分の通知を受け、裁判沙汰に。その後、どのような流れになったのかはぜひ本書を読んでほしいが、「本物」にこだわる中根氏の姿勢はまったくブレることがない。

変化が激しい時代において、荒波を耐えて生き残ってきた会社の歴史を辿ることで、たくさんの学びを吸収できる。

行き詰りを感じているときにこそ、この一冊を手にとってみてはいかがだろうか。

(新刊JP編集部)

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