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〜Vol.8〜 日本が加盟してから、60周年。日本と国際連合のつながり方。

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2016年は、日本が国際連合に80番目に加盟してからちょうど60年目の年。日本は、アメリカについで第2位の分担金拠出国であり、安全保障理事会の非常任理事国にもたびたび選ばれており、今年からは、国連加盟国の中でも最多の11回目の安保理非常任理事国を務めています。その国連と日本の結びつき方について根本由梨奈さんに聞きました。

地球上の難題に挑む国際連合。193カ国が一つになって、問題解決を目指す。

学校の授業で習ったかもしれませんが、第2次世界大戦の反省を踏まえて1945年に設立されたのが国際連合です。世界の平和やその維持、国同士の友好関係を支え、人道的問題の解決や、世界の人々の人権や自由を助けることが目的。1つの国だけではなしとげられないような壮大な計画でも、193国の加盟国が協力し合うことで少しずつ世界の課題を解決しているのです。そのため、みなさんがご存知のUNICEFやWFP、さらに多数の機関が世界中の問題と向き合っています。私は、その機関の一つ、UNHCR(国際難民機関)でインターンをする機会がありました。そこで知ったことは難民にとってのUNHCRは「最後の救い」ということ。必死な想いでたどり着いた難民にできるだけ、応えられるように一生懸命、手をつくしている職員の真剣さを肌で感じることができたのです。

加入国がニューヨークに集結する、毎年9月の国連総会。

【ニューヨークにある国際連合本部ビル】

(写真提供:UN Photo)

このような各機関や国連全体の取り組みをまとめたり、各国が意見を表明する場として、毎年9月中旬に国連総会ハイレベルウィークが行われます。多くの加盟国の首脳級がニューヨークにあつまり、しっかりと話し合う審議の場を設けるのです。外務省としては、国連全体の目標を考えながら、日本としてどんなことができるのか、どんな主張をすべきなのか、構想を練りました。今年は5月にあったサミットの内容を踏まえたテーマや難民・移民問題、北朝鮮の問題を中心に考えていきました。また、国連総会での総理のスピーチに関するインプットも大変重要です。外務省が提供した内容がそのままスピーチになるわけではありませんが、準備段階で関わったスピーチが世界各国へ届けられるということは光栄な機会でもあります。期間中に国際連合本部ビルに入ることができましたが、その重厚な雰囲気に胸を打たれました。一般の方もビル内に入れるので、みなさんがニューヨークにいかれた際には、ぜひ行ってみて下さいね。

国連総会は、重要な外交期間。総理のスケジュールは分刻み。

【2016年第71回国連総会の様子】

(写真提供:UN Photo/Manuel Elias)

この国連総会は、各国の要人が集まるため、国連総会だけでなく日本独自の外交のためにも、とても重要な期間でもあります。どんな国と何を話すべきなのか、という検討の段階から、その段取りも併せて担当していました。日本として話しておきたい国々に連絡をとり、その会談の約束を取り付けていくのです。このタイミングを逃せない国がたくさんあるため、総理のスケジュールはほぼ分刻み。議論が白熱してしまい時間が伸びてしまうと、そのあとに控えている会談にも響いてしまうため少しピリピリとしたムードになるときも…。しかし、実際に国や世界が動いているという場に立ち会うことができ、これまでにない良い経験となりました。

求む、日本人職員。国際機関には日本人が足りていません。

国連総会以外での仕事は、国連で決まったことの広報をしたり、外交上、国連と話すべきことを調整していたりしています。その中で日々実感している問題は、国連機関で働く日本人職員が少ない、ということ。つまりそれは、日本独自の文化を理解する「味方」がいないということでもあります。日本は国連で世界第2位の分担金拠出国にもかかわらず、実際に国連で働いている職員は、国連事務局が発表している「望ましい日本人職員数」の実に3分の一程度。「とってもハードルが高い」と思われるかもしれませんが、その仕事自体は、世界中の困っている方と真剣に向き合っていく、とても有意義な仕事。日本という国のためだけではなく「世界や人々に対して何かしたい」という志があるならその門戸は開かれています。例えば、海外の国際機関本部や事務所などはインターン生を募集しているので、みなさんが大学生や大学院生になったら、挑戦してみて欲しいと思います。

根本さんの受験必勝法

私の受験勉強には、正直言ってびっくりするようなワザや秘訣はありません。ただコツコツと進めるだけでした。しかし、その「コツコツ進める」ための秘訣として、オススメしたいのが勉強をルーティン化すること。「朝の時間は学校で、夕方から夜にかけては図書館で」と場所や時間帯を最初に決めてしまうのです。どこで勉強しようか、いつ勉強しようかと迷いが生まれてしまうと、そこに「休んでしまいたい」という気持ちが入ってきます。そこで、ほぼ強制的に、このタイムスケジュールで勉強をしていると不思議と身体がこのリズムに慣れてくるものです。そうなったらしめたもの。あとはやるべき科目を着々と進めるだけです。

高校生のみなさんへ

私が今の仕事についたのも、高校生の頃、日本人外交官の回想録を読んだことがきっかけでもありました。就活の際も「人のために役立つ仕事を」と、様々な会社を見てみましたが、外務省でも新卒を募集していると知り「自分でも手が届く場所なんだ!」と応募しました。実際に外交に関わってみると、本当に奥が深い仕事です。いろいろな国があるだけに文化的な背景も国によって違っており、利害も方向性もそれぞれです。その中から、一つのことをどうやって実現させていくのか、ハードな局面もありますが、挑戦しがいがあるのが外交の魅力でもあります。高校生の頃から漠然と人の役に立ちたい、と思っていましたが、幸いにも今、人のため、国のため、そして世界のために働くことができています。高校・大学時代は、たくさんの可能性がある時期だと思います。自分のやりがいを見つけてくださいね。

国連加盟60周年記念トートバック

国際連合への加盟60周年を記念して作ったのが、このトートバッグです。水色は国連旗から、赤色は日本の国旗を表しています。真ん中に見えるたくさんの旗は、世界各国の国旗が平和の風でなびいている様子です。戦後、国際社会への復帰がかない、国際連合に加盟して60年が経ちました。今年は記念として様々なイベントが催されます。ぜひ参加してみてください。 プロフィール

根本 由梨奈

外務省 総合外交政策局 国連企画調整課

2009年外務省入省

大学で国際関係論を学んだのち外務省へ入省。国際テロ対策協力室を経て、フランスへ研修留学。フランスの大学院在学中、UNHCR(国際難民機関)にて、インターンとして関わる。その後、在セネガル大使館にて2年間をつとめ、2015年より現職。

バックナンバー 〜Vol.7〜 ASEANの経済成長のため、共に汗をかいてきた日本の開発協力 〜Vol.6〜 2030年までに、世界から貧困をなくそう。世界193カ国でとりくむSDGsとは? 〜Vol.5〜 2020年の東京大会へ向けて、スポーツで世界とつながるということ。 〜Vol.4〜 日本と巨大なアフリカが話し合う、アフリカ開発会議(TICAD)とは。 〜Vol.3〜 いま一番、困っている人を支援する、人道支援の仕事。

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