新築マンション分譲時からコミュニティクラブ開始、その効果は?

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新築マンション分譲時からコミュニティクラブ開始、その効果は?

マンションの良好な管理運営、資産価値の維持にコミュニティの重要性が注目されている。外部コンサルタントの協力を得て入居前からコミュニティ形成の支援活動を行い、その後入居者同士の自主的な取り組みが生まれ始めているマンションがあると聞いた。現在コミュニティクラブを運営している住民の方々に話を伺った。

得意分野のスキルを活かしてコミュニティクラブを運営

神奈川県横須賀市にある“ザ・パークハウス 追浜”は、約5万4000m2もの広大な敷地に5棟の建物が立つ総戸数709戸の大規模マンションだ。2012年から2014年にかけて順次竣工、分譲された。最寄りの京浜急行本線・追浜駅から歩いて10分ほどで到着するエレベーターホールからシャトルエレベーターで約59mもの高さを一気にあがると、そこには5棟のマンションと4つの庭園と2つの提供公園のある広大な1つの街のようになっている。

コミュニティクラブの運営委員は管理組合理事なども含めて10名。活動内容は、イベント等の企画・運営、登録サークルの募集や活動の承認、掲示板や会報誌を通しての居住者への告知などさまざまだ。共用施設が集まる建物のキッチンスタジオで、コミュニティクラブのメンバーとして活躍する3人の住民の方にお話しを伺った。※以下、役職はすべて2016年9月時点

コミュニティクラブの会長で管理組合の副理事長でもある阿波野さんは、生まれも育ちも横浜市の金沢区、追浜とは目と鼻の先という距離に住んでいた。地元と言っていいエリアからの転居だ。

「4年前に入居して以来、理事会とコミュニティクラブに参加しています。特に積極的にかかわりたいと思ったわけではないのですが成り行きで委員をすることになってしまいました(笑)。コミュニティクラブとしては夏祭りなどのイベントの開催やサークル活動のサポートが中心ですね」

同じように副理事長でコミュニティクラブではICTを担当する木澤さん(30代)は2014年に都内から転居してきた。「当時子どもが2歳、広くて自然がある環境で暮らしたいと家探しをしていました。海が見え緑が多く共用設備が充実していたのと、自分は事業を経営しているので通勤の必要がないこともあり、ここに決めました。理事会には自ら立候補して参加しました。マンションの運営も人任せではなく自分でかかわりたいと思ったんです」と積極的だ。

小美野さん(30代)はフリーランスのアニメーターで東京に仕事場がある。「以前も神奈川県内の団地に住んでいて自治会活動をしていた経験があります。高台にあるこの環境とコミュニティを大切にするというコンセプトが気に入って引越してきました」とのこと。マンション内のコミュニティ活動の必要性を痛感しているようだ。

最終期の入居からわずか2年で、すでに夏祭りを開催したり、サークル活動が始まっているのは、やはり最初からコミュニティクラブが設定されていただけのことはあるだろう。コミュニティ活動が盛んと言われるマンションでも入居後5年以上たってから着手されることが多い。その点でもスタートダッシュが早い。【画像1】ザ・パークハウス追浜の管理組合理事・コミュニティクラブ委員として活動中の3人、左から木澤さん、阿波野さん、小美野さん。取材当日は残念ながら台風が近づいており曇り空だったが、テラスの向こうには海と空が一面に広がる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】ザ・パークハウス追浜の管理組合理事・コミュニティクラブ委員として活動中の3人、左から木澤さん、阿波野さん、小美野さん。取材当日は残念ながら台風が近づいており曇り空だったが、テラスの向こうには海と空が一面に広がる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

入居前からコミュニティクラブを用意した理由

同マンションを企画した三菱地所レジデンス株式会社の担当者に、コミュニティクラブを入居前につくった理由を聞いてみた。

「住宅というハードに、住民の方々がコミュニティという魂を入れることで、真に“ザ・パークハウス 追浜”が完成すると考えました。集合住宅はさまざまな異なる価値観をもった人が集まって、管理組合という組織のもと生活をしていくわけですが、特に本物件のような700戸以上の大規模物件ともなると、より多くの価値観、趣味嗜好、家族構成等が集まることとなります。そのためコミュニティ形成はより複雑となると考え、専門家に依頼をしてコミュニティ立ち上げのサポートを企画し、引き渡し当初から誰もが積極的に交われるコミュニティを形成していきたいと考えました」とのことだ。

また同マンションはクッキングスタジオや和室などのカルチャールーム、体育館のようなスポーツアリーナ、キッズルーム、屋外にはバーベキュープラザや菜園など20以上もの豊富な共用施設を備えている。

「提供した多種多様な共用部は、前述のコミュニティ形成の一助となればという思いで取り入れました。自然発生的にさまざまなイベント、サークル活動等を立ち上げ、そのなかで共用施設も活用していただきたい。住民の方同士がつながることで住環境の維持管理はもちろん、非常時の助け合いなどを含め安心安全な暮らしを享受することができるとも考えています」と話してくれた。【画像2】自走式駐車場の上に設けられた屋上庭園。ウッドデッキや石を配した遊歩道の脇には、ベンチが置かれ、美しい眺望や季節ごとに表情を変える草花を楽しめる(画像提供/三菱地所レジデンス株式会社)

【画像2】自走式駐車場の上に設けられた屋上庭園。ウッドデッキや石を配した遊歩道の脇には、ベンチが置かれ、美しい眺望や季節ごとに表情を変える草花を楽しめる(画像提供/三菱地所レジデンス株式会社)

新しい人にも参加してもらい、基盤づくりをしていきたい

コミュニティクラブは全世帯加入が原則で、1戸当たり月額500円のクラブ会費で運営されている。入居時はコミュニティクラブの実質的な運営は、マンションのコミュニティ支援に精通した外部コンサルタントが事務局として主導をし、2年の契約期間のうちに徐々に居住者に引き継いできた。

「当初はコンサルタント主導でしたが、現在は住民主導の運営になっています。夏祭りやイベントの開催も自分たちで委託業者にやってもらいたいことだけを頼むようにしています。次のハロウィーンにも新しくイベントを開催できればと思っています」と阿波野さん。

【画像3】クリスマスコンサートの様子(画像提供/木澤充さん) 【画像3】クリスマスコンサートの様子(画像提供/木澤充さん)【画像4】お正月のもちつき大会。お餅をつく楽しさ、そして食べる楽しみをみんなで味わった(画像提供/木澤充さん)

【画像4】お正月のもちつき大会。お餅をつく楽しさ、そして食べる楽しみをみんなで味わった(画像提供/木澤充さん)

新築マンションに入居した場合、住民同士が知り合うまでに時間がかかる。理事会に入ったり、防災訓練に参加しないと、なかなかお互いに顔見知りになれない。初対面の人に声をかけるにも、きっかけをつかみづらいものだ。このマンションでは入居前に契約者同士の交流会が開催されたそうだ。あらかじめ分譲する側が機会をつくってくれれば、コミュニティを醸成するのも早くなるだろう。もちろん最終的には、住民のみなさんがそういった機会をどう利用していくか、というかかわり方が大切だ。交流会等の機会があれば、上手に活用してほしいものだ。●取材協力:

三菱地所コミュニティ株式会社

・三菱地所レジデンス株式会社
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