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脚本家・遊川和彦氏 「結婚は契約であり、制約」

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 大学時代に知り合った料理人の男性(30才)と、8年間の交際を経て11月1日に結婚したリオ五輪の柔道・銅メダリストの松本薫選手(29才)。会見で、「結婚は覚悟」と語った彼女にその真意を改めて尋ねると、松本選手は「好きで結婚というのは、あまり理解ができない」と独自の結婚観を語った。

「結婚とは、一生を共にするということ。この人が認知症になったときに、ちゃんと介護できるのか。添い遂げられるのか。そこまで含めて全部受け入れられると覚悟できたときに、初めて『結婚』するんです。私の中では結婚ってそういうものだと思っていて、その覚悟を持つまでに8年かかりました」(松本選手)

 この結婚観に対し、『家政婦のミタ』(日本テレビ系)をはじめ、数々のドラマで家族や夫婦を描いてきた脚本家・遊川和彦さん(61才)は、

「なかなか松本選手くらい考えているかたって、いないと思います。いや、そんな人いないです。いても1%か2%」

 そう言って笑う。

「結婚って本来そうあるべきだけれど、今の人たちって、覚悟が決められないでしょ? だって、決めなくても、なんとなく結婚できますから。別れるのも簡単ですしね」

 そう話す遊川さん自身も、2014年に20才下の妻と結婚するまで時間がかかった。

「長年独身でいると、ひとりの楽さがわかります。いろんなことが面倒くさいって思うわけじゃないですか。他人同士が一緒になるわけだから、わかりあえるわけがない。それに、相手の親や親戚とか、厄介な人間関係が増えるだけでしょ?

 だからぼくも慎重に10年間つきあって同棲する決心がついて、そこから4年同棲して、やっと結婚する決心がついた。最後は勢いでした。

 独身貴族だった某有名俳優が、家で倒れたとき誰もいないのが不安になったから結婚したとおっしゃってましたけど、そういう男って結構いると思う。妻がいると安心するんですよ」(遊川さん・以下「」内同)

 そんな遊川さんが初監督を務める作品は、阿部寛(52才)と天海祐希(49才)が主演の映画『恋妻家宮本』(2017年1月28日公開)。妻が記入していた1通の離婚届を、夫が偶然見つけたことから、子育てを終えた熟年夫婦に危機が訪れる。そして、口論が始まると、妻は夫に「あなたってさ、結婚に向いてないよねぇ」と決定的な一撃を言い放つ。

「これは、うちの妻もそう思っているでしょうし、自分でも思っています。男ってみんなそうだと思うんですけど、結婚に幻想を抱いてますから、現実がわかっていないんですよね。

 夫婦になると、男女の価値観の違いが浮き彫りになってきます。たとえば、男性は話さなくてもわかると思っているけれど、女性は違って、感情を共有したいんです。女性は湯沸かし器の調子が悪いことにイライラしていたら、同じように夫にもイライラしてほしい。でも男には無理。そんな具合に、どうやってもわかりあえないものなんですよ」

 そんな遊川さんに、結婚の現実を改めて聞くと、「大変デリケートな問題だな…」と、苦笑しながらもこう続けた。

「やはり、結婚すると、扱いがぞんざいになるというか、日々のことが妻に仕切られてくる。『明日は何時に行くの?』『今日の帰りは?』『夕飯はいるの?』って毎日聞かれるけれど、職業柄わからないことも多いので、不機嫌な顔をされてしまう。それから朝、新聞を読んでコーヒーを飲んでいる至福の時に話しかけてきて、生返事していると怒られる(笑い)」

 そんなぼやきが続く遊川さんに、「結婚のいいところは?」と聞くと「なかなか、人を愛するのは大変な時代になってきたから…」と口ごもる。

「だって、結婚して女性が男性からもらえるものって少なくなってきている。女性は自分で稼げる時代だし、男が弱くなっていて、愛だってもらえない。実際妻からは『私はこんなに愛してるけど、あなたは?』って聞かれます。周りからはうらやましいと言われるけれど、現場は大変なんですよ(笑い)」

 それでもなぜ結婚するのか。遊川さんは「結婚は契約であり、制約」だという。

「先ほど話したとおり、今は覚悟を持っている人のほうが少ない。決意とか勇気もね。でも、かといって自由だと、逆に何もできなくなるのが人間。だから自分を縛って、動けるようにしてくれるものが結婚なんじゃないかって思うんです。

 結婚、夫婦という言い訳ができることで、しょうがないけどって言いながら仕事をしたりするんですよ」

 自分を縛ってくれる相手が、気の合う、尊敬できる人であれば、その関係は長く続いていく。

「たとえば、うちの妻はぼくの作品を批評してくれるし、『だじゃれ』のセンスとか、感動することが共通しているんです。人に言えないくだらないことを考えていると、同じことを考えていたりする。『女性セブン』と聞いたら、ウルトラマンの歌を『セブン~♪』って口ずさむ。これって、ほかの人には絶対ないスペシャル感なんですよ。

 そのなかで、嘘でも、多少お世辞でも、気を使ってでも、言うべきことを言うことが大事。言わないと絶対伝わらないですからね」(遊川さん)

【恋妻家宮本】
2017年1月28日公開。デキ婚の宮本夫妻。子供が巣立って初めて夫婦2人きりの生活が始まったことで戸惑ったりすれ違ったり…。そんな夫婦を1999年の映画『必殺!三味線屋・勇次』以来、18年ぶりの共演となった天海祐希と阿部寛がコミカルに演じる。

※女性セブン2016年12月8日号

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