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国公立大学で増えるAO入試枠 変革迫られる入試

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本来の導入趣旨と異なる使われ方をしていたAO入試

「AO入試」という試験形式が大学受験に導入されてからすでに25年が経ちました。
もともとはアメリカでの入試形式であり、「従来のペーパー試験では測れない個性豊かな人材を求めること」を目的としていて、学力よりも目的意識や熱意・意欲を重視し合否が決まる試験です。

しかし、日本ではこれまで明確な定義がなく、各大学が独自のやり方で行ってきました。
そのため、近年の少子化が影響して、AO入試は「大学側が生徒を確実に確保するための手段」にもなっており、特にAO入試で学力試験を課さない私大を中心に「大学生の学力低下につながっている」との指摘が多くありました。

確かに2018年には、大学受験をする18歳人口が減り始める「2018年問題」と言われる問題も間近に迫っており、また、すでに現時点でも私大の4割が少子化の影響をうけ定員割れをしているのが現状です。
そのため、近年では、大学側も入試形式を工夫したり、時代にあった学部の創設、大学のブランディング化など、さまざまな形で大学側も志願者確保に取り組んでいます。
それらの影響もあって私大ではAO・推薦入試での入学者が約半数にまで達している中、一方の国公立では2012年入試をピークにAO入試は減少傾向にありました。

国公立大学でAO入試が大幅に増加するワケ

そんな中、2017年度入試では、国公立大学でのAO入試が大幅に増加します。
背景にある理由は、2020年に行われる教育改革です。
2020年の教育改革では、現時点ではまだ方針がはっきりと決まっているわけではないものの、試験形式から試験内容、試される能力など、大学受験は大きく変化する予定となっています。
AO入試もその例外ではなく、従来の「推薦試験」や「AO入試」の区分を廃止し、新たなルールを作る事が検討されています。

そして、この教育改革では、従来からの形式面の変化ばかりに目が行きがちですが、もっと重要な改革として「これからの大学は、3つのポリシーを確立し、それぞれのポリシーに沿った選抜方法をすること」が大学側に求められている点があげられます。
1)ディプロマ・ポリシー(どのような人材を育成して社会に送り出すか)
2)カリキュラム・ポリシー(人材を育成するための教育課程・科目の編成方針)
3)アドミッション・ポリシー(どのような能力・意識を持った学生がほしいか)
これらに基づき、各大学、選抜方法をしっかりと考えていくことになります。

2020年の教育改革に向けて期待されるAO入試

その分、選抜方法は多様化しますが、これは、本来のAO入試の目指す形に近く、大学側がどういう生徒を求めていて、大学を卒業するときにどのような形を目指すのか?
また、そのために大学ではどのような教育をしていくのか?といった点をしっかりと示し、それに合った受験生を受け入れるという形が目指されています。
これまで不完全さが指摘されてきたAO入試ですが、やっと本来の目的に沿った実現がされそうです。

2020年の教育改革に向け、すでに各大学は動き出しており、2017年の国公立大学のAO入試の大幅増加もその1つと言うことが出来ます。
これまでの単に入学者を増やすための1入試方法から、しっかりとその大学が目指す生徒像にあった募集方法へ。
各大学は、「数」から「質」へと変革が迫られています。

(熊谷 修平/塾長)

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