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「瞬間」を生きている認知症高齢者の行動を促すコツのはなし

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認知症の人の行動には、さまざまな原因があります。そして、その行動には必ず理由があります。理由があると理解することで、スムーズに対応することができます。

その「瞬間」を生きている

今回は要介護4の義父と暮らす我が家のエピソードを交え、一瞬一瞬を生きている認知症の人の行動を促すポイントについて考えます。
食後に箸をつまようじ替わりにして入れ歯をつついている義父。
嫁(私)は「お義父さん、箸でそんなことをしたらおかしいですよ。つまようじを使ってください」と、つまようじを渡した。
次の瞬間、テーブルの上のミカンが義父の目に入り、そのミカンを皮ごと食べようとした。
それを見た義母が、「じいちゃん、皮をむかな。貸してみな」とみかんを受け取り、皮をむいて渡した。
そして義母は昨日の出来事を私に話しだした。「車に乗っているときに柿をもらって、車の中で食べてしまった上に、あちこち汚してしまった」と。

——-
ここまでほんの数秒。さて、義父はどうしたでしょう。

手に持ったつまようじで、皮を剥いたミカンを突き刺した。

目で見た情報と耳で聞いた情報がごちゃ混ぜになり、口の掃除をするはずだったつまようじは物を刺す道具となり、みかんが柿として認識されてしまいました。

私たちから見たらごく単純なことなのですが、重度の認知症の人はその瞬間が細切れで現れ、瞬時に消え、記憶がごちゃ混ぜになってしまいます。

私が行った対応

最も大切なのは、騒ぎ立てないことです。言われれば言われるほど、強く言えば言うほど混乱を招きます。こんな時は、本人の理解の瞬間に合わせて対応することで意外に上手くいきます。
「お義父さん、このミカンおいしいですよ。」と、手に持っているのはミカンであることを伝え、視線を移せるよう指さす。
ミカンであることを認識する義父。
次に、「これは後で渡しますね。」と、つまようじを一時的に見えない場所に移動させる。
義父はミカンにだけ注意を払うことができたため、ミカンを食べることができた。

もうひとつ例を出しますね。

毎朝、食卓の椅子に上手く座れない義父。椅子に上って立とうとしたり、正座をしてみたりと、意味不明な行動に家族は毎朝翻弄されています。

「ここに座るんよ。椅子に座って。違う。そっち向きじゃない!」なんて、矢継ぎ早に怒られたのでは混乱して当然です。

「なにしよんの!ちゃんと座らんかえ!」なんて言ったら、何故怒られるのかと大暴れします。

ほんのちょっとした介助のコツ

「お義父さん、おはようございます。椅子にすわりましょうか。」と正面から声をかける。
椅子を引いて、「お義父さん、ここに座ってください。」と椅子を見てもらう。
体が動き始めたところで、座りやすいように体の向きをちょっとだけサポートする。

さいごに

ほんのちょっとのコツがわかれば、介護はずいぶん楽になります。ちょっとした気持ちの余裕が持てれば、そのコツが見えてきます。私も目下修行中ですが、今後もみなさんにコツをお伝えできればと思います。

この記事を書いた人

中嶋 保恵

山間部で介護職や介護支援専門員として従事し20数年。たくさんの認知症の方と過ごしてきた。家では要介護4の認知症の義父を介護。愉快な、時として大変な毎日を送っている。専門職としてこうすればいいとわかっていても、笑顔で優しくできないこともある嫁の私。そんな毎日の中から見つけた認知症介護の細やかなヒントがどなたかの参考になれば幸いです。社会福祉士。精神保健福祉士。主任介護支援専門員。認知症ケア専門士。

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