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ザ・レモン・ツイッグス、LAで行われたデビュー・アルバム発売記念ライブをレポート

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 NYロングアイランド出身のインディロックバンド、The Lemon Twigs。メンバーは19歳のブライアンと17歳のマイケルの兄弟を軸にキーボードのダニーとベースのミーガンで、今年10月14日にデビュー・アルバム『Do Hollywood』を発表した。

 数年前のFoxygenのtourで彼らのマネージャーから「もうすぐデビューする素晴らしい才能ある子達だよ」と紹介されたのが彼らを知ったきっかけだった。当時彼らはFoxygenの前座をしたり、地元NYやLAでミニショーを行いながらアルバムを制作中だった。プロデュースはFoxygenのジョナサン・ラドー。2014年に曲作りをスタートし、Foxygenのファンだった彼らがジョナサンにデモをオンラインで送ったのがきっかけで、即ジョナサンが気に入り全面プロデュースが決まった。後にジョナサンとともにスタジオでレコーディング。そしてマネージメント・カンパニーもジョナサンの紹介でFoxygenと同じところに決まったのである。(ハドソン・モホークやPhoenixも抱える会社である)

 またBeckやエリオット・スミス、ジェニー・ルイス、ホワイト・ストライプスのアルバムジャケットを撮影したことで知られる有名フォトグラファーのオータム・デ・ワイルドが彼らのLAでの公演を見て気に入り、アルバムジャケットを撮影していることからも彼らがレーベルやマネージメントに特に目をかけてもらっているだけでなく、他アーティストも魅了するビッグな新人ということがわかる。レポートはそんな彼らのアルバム発売前日にLAのアミーバレコードストアで開かれたスペシャル・リリース・パーティーの模様をお届けする。

 10月13日、 ロサンゼルスの老舗レコードストアの一画に設けられた小さなステージ。観客はステージ前の1メートル満たない狭いスペースとレコードが陳列されている場所からバンドの登場を待った。

 アミーバレコードのスタッフが「これから紹介するのは10代のとても才能あるバンドThe Lemon Twigs!僕は仕事柄、アーティストのレコードを星の数ほど聴いてきたけど、彼らのアルバムは旋風を巻き起こすことまちがいないと言い切れるよ!」と紹介し、ブライアン、マイケルそしてキーボードのダニーとベースのミーガンが登場。ブライアンが「僕たちのアルバムが発売されることにとてもエキサイトしているよ。今夜はアルバムの曲をたくさん演奏するから楽しんでね」と語りショウがスタート。

 ショウの前半はブライアンがボーカル&ギターでマイケルがドラムを担当し、後半は逆になるというスタイルで演奏。兄弟よりもレトロファッションのダニーはキーボードと電子ピアノの2段スタイル、そして紅一点のベースのミーガンは控えめだけど一番クールだ。「I Wanna Prove to You」ではダニーのコーラスのドゥワップとマイケルスネアドラムのリズムが50年代のオールディーズ調を更に引き立てる。マイケルは肩よりも高い位置にスティックを構え、じっと兄のブライアンを見つめる。兄弟ならではの息のあったセッションが始まる。

 「Horoomata」の冒頭でのブライアンとマイケルのハモりは兄弟ならではの美しいハーモニーを披露。静かなメロディから一転ポルカ風のリズムになりスタッカートとレガードを使い分けブライアンがポルカステップを踏み、マイケルはザ・フーのキース・ムーンさながらにドラムを叩きながら片手でスティックを回す。かと思えば、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」のごとくクラシックに変化を遂げた。

 そしてキーボードのダニーのソロから始まるシングル「These Words」 キーボードに合わせクルクル回るブライアン。この曲ではダニーはコーラスも担当。ブライアンのギターソロにミーガンの緩やかなベースラインが導く。それとは対象にアグレッシブでリズミカルなドラムがキーボドのソロを促す中盤。ここではブライアンのライブ用にアレンジした早弾きとマイケルのジャジーな感じをメタルパワーでドラムを叩く姿が印象的だった。

 「As Long As We’re Together」からは、リードシンガー&ギターをマイケルが務めた。幼いことからマンハッタンへ電車で45分かけてギターレッスンに通っていたという2人のギターの腕は10代とは思えぬほど洗練されていてプロフェッショナルである。サビの「As Long We’re Together」では、美しいメロディを奏でながらもマイケルの激しい歌い方に呼応するかのごとく左足を高く蹴り上げるパフォーマンスを披露。そこへブライアンのドラムロールが入り、マイケルはダニーのキーボードとセッションし「That’s right!」と叫びまた高々とジャンプ&足上げを繰り返す。ソフト路線からエネルギッシュな演奏にそれまでおとなしかった観客の興奮を誘った。

 その後の「Hi+Lo」でもマイケルの躍動する足上げパフォーマンスは止まらない。幻覚を誘発するようなサイケデリックロック調の出だしの後、サビの「High and low for you」は80年代のパンクロックとモダンなブリティッシュロックのようでこのサビがマイケルのコーラスとブライアンのウィップラッシュが繰り返される。ライブでしか体験できない臨場感だった。

 そして兄弟だけでビートルズの「Theres A Place」をカバー。ブライアンがキーボードとボーカルをつとめ、マイケルがコーラス。アップテンポな原曲をスローにアレンジ。これがビージーズ風になっていて彼らのアレンジ能力にも感心させられた。

 ラストソングの「Loving Touch」が始まる前にアンプの音の出力を確かめる様子のマイケル。曲が始まり前奏の間も曲中も彼の足上げパフォーマンスは幾度となく繰り返される。そしてそれまでソフトなプレイを続けていたブライアンもプレスロールし、ダニーとミーガンもリズムに合わせ首を左右に振ったりジャンプしたりし4人の熱いプレイがいよいよクライマックスへ。こうなるとマイケルはもう止まらない。ジャンプと足上げを繰り返し最後はアンプへのぼりドラムロールを待ってステージへジャンプ!観客の歓声とともにステージが終了した。

 アルバム全曲演奏プラスカバーまで披露し、アルバムリリース記念のミニライブとは思えないショウと、気を抜かない彼らのパフォーマンスに始終興奮しっぱなしの時間であった。

 終演後、サイン会が行われアルバム購入者やファンと束の間の交流を楽しんだり、会場に来ていたUSツアーをサポートするバンドで公私ともに仲の良いStarcrawlerのメンバーのアローとオースティンと共に記念すべきデビュー・アルバム発売を祝っていた。

 ブライアンが「プロデューサーのジョナサン(Foxygen)はクラシックだけど最新の機材も使うんだ。だから僕らの曲がまるっきり60~70年代のようだとも思わないんだ」というように、『Do Hollywood』は、普遍的で完璧に思えるけどどこか儚く、50~70年代のボップロックを彷彿させるが、彼らなりに現代風にアレンジし、またサザンロックやサイケデリック、ソウル、グラムロックの要素もミックスされており、その世代を知る人にとっては懐かしく感じ、若い世代にとっては違和感なく衝撃的で鮮烈なアルバムなのである。

 そして彼らのソングライティング能力と演奏技術、ライブパフォーマンスは10代という年齢を考えたら信じられないくらい洗練されていて、なおかつ若い彼ららしい向こう見ずで怖いもの知らずのエネルギッシュなパフォーマンスに誰もが魅了される。現代の音楽シーンに一石を投じる新たな才能の登場として活躍が期待されるだろう。

◎CD情報
The Lemon Twigs
デビュー・アルバム『Do Hollywood』
2,400円(tax out) 4AD / Hostess

Text & Photo:ERINA UEMURA

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