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【イノベーターズ】「誰も知らないコンテンツを、ネットの力で光を与えた男」古俣大介

通信やICTにまつわる”なにか”を生み出した『イノベーターズ』。彼らはどのように仕事に向き合ってイノベーションにたどり着いたのか。インタビューを通して、その”なにか”に迫ります。今回は、才能はあるけど発表の場はないカメラマンたちが自身の作品を発表して売れるプラットフォームを作った、古俣(こまた)大介さんのインタビュー。

この人が経営するのは「ピクスタ」。彼自身が生み出し、10年で国内最大級の規模にまで成長したストックフォトの会社である。ストックフォトとは、画像を提供してくれるサービス。カタログや雑誌などの紙媒体からウェブサイト、テレビ番組までさまざまな用途に応じて、現在2,000万枚以上の素材が用意されている。ここには、登録すれば誰でも投稿できる。そして登録者も、素材の数も日々増殖している。

プロ・アマ問わず志あるクリエイターに対して門戸を開き、従来の同様なサービスよりもはるかに安価で利用できるようにしたのは、ピクスタの一つのイノベーション。でも、この項で語られるのはそれだけではない。古俣さん、ピクスタを通じて、さらなる別の未来の姿を思い描いているのであった・・・・・・。

始まりは大学時代。「ネットで起業だ!」と思ってしまったらしい。

古俣さんは1976年生まれ。ちょうど大学に入った年に「Windows 95」が発売され、インターネット革命の洗礼を受けた。「ワクワクした」という。時を同じくして、孫正義氏の快進撃を描いた本を読んだ。

「インターネットで世の中がどんどん変わっていき、新しい価値が生まれ、既存の業界に革新が起こると思ったんです。家にもネット回線を引いて、プログラミングの勉強もして・・・・・・これはあんまり実にならなかったんですが(笑)」

ネットでなにかビジネスを起こすんだ、というマインドだけは、強く深くセットされたのである。

ネットで事業を! 成功! でも辞めちゃう! の7年間

もともと起業マインドあふれる家庭環境。3兄弟の真ん中だが、3人とも経営者だという

実は、ここにもうひとつ背景がある。なんとご両親は2人とも起業家だった。お父さんは元商社マンで、、デパートなどの催事場で雑貨などを販売する仕事。実は2回倒産している。その最初の倒産の時、家計が大打撃を受け、驚くべきことにお母さんも「自分でも稼がねばならない」と起業したのである。

「だから僕も、小学生の頃から、将来は自分で会社をやらなくちゃなってなんとなく思っていたんです。自分で経営するのがむしろ当たり前というか、どこかに就職してサラリーマンになろうという気がもともと薄くて」

それで最初に手掛けたのが、コーヒー豆のネット通販。別にコーヒー通だったわけではない。たまたまおじさんがコーヒー豆屋さんを経営していたのだ。それをEC化しようと思いついたのが大学4年生の時。WEBサイトをつくり、顧客にメルマガを発行したりしていると、なんとなく3カ月目で月の売り上げは30万円に到達してしまった。

大学生が、余技で30万円売り上げることができれば、御の字だろう。でも、やめてしまうのである。

「それがね、”自分の事業”っていう感じがしなかったんですよね」

その後、自分の事業を求めて約7年間悶えることになる。ネットで注文を受け付ける小規模な印刷業を始め、そして辞め、巻くと腰痛が軽減されたり装着すると視力が回復するアイマスクなどの健康グッズを販売する事業を始め、それもまた辞める。

商売にならなかったわけではない。前者は約200社の飲食店を顧客に抱え、忙しく日々過ごした。今、ネット上には似たような形態の印刷屋さんが繁盛している。着想としては相当早い。

「デザインをクラウドソーシングしたり、ネットで印刷業を束ねるようなことができればよかったんですけど、営業からデザイン、印刷まで全部自分でやったので、手が回らなくて。結局、ネットと関係なくお得意さんのところに御用聞きに行くような状態で(笑)」

折悪しく、ネットバブルの崩壊が叫ばれていた時代だった。

「次のステップが見えなかったんです。そのままやっていても光明が見えなかった。頑張れば、10人ほどの会社をコツコツ続けていくこともできたかもしれないけど、それもちょっと違うなと。ネットにチョット懐疑的になっていて、ネットサービスじゃないことを選んでしまっていたということもあったし・・・・・・」

でも次の健康グッズは、ちゃんとネットを使った通販だったし、開業半年で500万円ほどの売り上げを得るようになったにもかかわらず、それも辞めちゃう。

果たして望みはなんだったのか。

「理屈で言うとどうなるんだろう・・・・・・自分がやることで新しい価値が見いだされないと、自分でやる意味がないと思っていたんでしょうかね。ECサイトって、カタログ通販の延長じゃないですか。そのとき売ってた商品も、楽天で検索すれば何十件もヒットするものなんです。たまたまSEOとかページのつくりが上手くいって、コンバージョンが一人でできたりするっていうだけのことで、”本質的に自分が生み出せる価値はなにか”とすごく考えていました。まあ、つまるところワクワクしなかったわけなんです」

大事なのは「果たして自分がやる意味のあることなのか」

小っちゃい頃からそうだったという。

「子どもの時から興味を持つことには没頭できるけど、そうじゃないことは手につかなかったですね。友達はいるし一緒に遊ぶんですけど、”人がやってる”っていうだけで、なんの疑いもなく参加することはなかったですね。ちょっとスナフキンみたいな、集団とは別のところで孤独にやってるのが好きだったんです。でも不安はあって時々は加わろうとするんですけど、やっぱり面白くないんですよね。地元の祭りも行きたくない。でも祭り囃子が聞こえるのは気になる。で、行ってみるけど居心地悪くて早く帰って家で好きなことをやってたい、みたいな(笑)」

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