タワーマンションのフロア格差って?高層階は増税されるの?

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タワーマンションのフロア格差って?高層階は増税されるの?

TBSドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』では、タワーマンションの低層階と高層階の「フロア差別」が描かれている。タワーマンションの低層階と高層階では価格差が大きいので、高層階の住人ほど資金力があるということで生じるわけだ。どの程度の価格差があるのか? スタイルアクトが調べたので見ていこう。【今週の住活トピック】

同一新築タワーマンション内の坪単価差を比較 /スタイルアクト

タワーマンションの坪単価差は、首都圏で1.74倍、関西圏で2.12倍

スタイルアクトでは、2014年以降に販売されたタワーマンション(20階以上のマンション)について、同一マンション内での坪単価を比較した(画像1)。その結果、平均坪単価差は首都圏で1.74倍、関西圏で2.12倍となった。

タワーマンションは眺望が良いというのがウリ。高層階では周囲に視界を妨げる建物がないため価格が高くなり、低層階では周囲の建物が視界を妨げたり、タワーならではの見下ろすような眺望がないために、価格は安く設定される。加えて、低層階は幅広い層に購入してもらうように、比較的狭い間取りで手が届きやすい価格を設定し、高層階は面積を広くして、富裕層向けに販売するという戦略をとるのが一般的。特に最上階とその数階下までは、室内の仕様を豪華にして億ションとして販売することも多い。

実際のマンションの販売価格の価格差は、面積の狭めな低層階に対して面積の広い高層階となるので、さらに広がる。スタイルアクトが面積にかかわらず同一マンション内の最高分譲価格と最低分譲価格を比較したところ、首都圏で3.71倍、関西圏で4.58倍までその差は広がった。【画像1】同一マンション内での坪単価差(出典/スタイルアクト「緊急調査!同一新築タワーマンション内の坪単価差を比較」リリースより転載) 【画像1】同一マンション内での坪単価差(出典/スタイルアクト「緊急調査!同一新築タワーマンション内の坪単価差を比較」リリースより転載)【画像2】同一マンション内での分譲価格差(出典/スタイルアクト「緊急調査!同一新築タワーマンション内の坪単価差を比較」リリースより転載)

【画像2】同一マンション内での分譲価格差(出典/スタイルアクト「緊急調査!同一新築タワーマンション内の坪単価差を比較」リリースより転載)

売買価格と評価額の差を利用して、タワーマンションが節税に使われる!?

マンションを購入した場合、購入した住戸部分と共用の土地の一部の所有権を得ることになる。通常、所有権は敷地の総面積を住戸の面積に応じて持ち分を案分する。つまり、何階であろうと住戸の面積が同じなら、持ち分となる土地の面積は同じということだ。加えて、タワーマンションの場合は、同じ広さの敷地でも上に高く伸びる分だけ住戸の数が増え、200戸などの規模で敷地を分け合うので、持ち分となる土地の面積は小さくなる。

一方、2015年から相続税が増税となる改正が行われたことで、タワーマンションに節税の効果があることが注目されるようになった。

相続税は、相続した時点の時価で相続財産を評価することになっている。例えば、現金で1億円を相続した場合は、相続財産は1億円となる。1億円で取得した投資信託を相続した場合は、相続時の基準価格で相続財産が評価される。住宅の場合は、建物は固定資産税評価額、土地は路線価など自治体で定めた評価額で評価されるのだが、この評価額は実際の売買価格(時価)よりも低くなるのが通常だ。

したがって、次のような節税方法が考えられるわけだ。現金で2億円を相続した場合と比べると、2億円の高層階のタワーマンションを相続した場合のほうが相続財産の評価額を下げられ、それを賃貸していればさらに評価額を下げることができる。例えば、評価額が5000万円だとすれば、相続財産を現金より1億5000万円圧縮して相続税を計算することができる。

加えて、タワーマンションを売却する場合は、販売価格と同様に高層階は高く売れるので、相続後そのタワーマンションを買ったときと同じ2億円で売れるということもありえる。評価額と売買価格の差が大きいことが、富裕層にとっては大きなメリットになるという仕掛けだ。

国税庁も以前から、タワーマンションによる節税で租税回避行為とみなされるものは厳しくチェックするとしていた。そこで政府はフロア格差の解消に、2018年以降に引き渡されるタワーマンションの固定資産税評価額を、低層階は低く、中層階は変わらず、高層階は高くするということを、来年度の税制大綱に盛り込むことを検討している。

さて、タワーマンションの本来の魅力は、高層階での眺望の良さやランドマーク的なステイタスにある。加えて大規模な戸数ゆえに、豪華なエントランスやゲストルーム、眺望の良い高層階のラウンジなど、充実した共用部分が利用できる点も見逃せない。低層階の場合は、同じ価格帯の普通のマンションより、充実した共用部分を利用できるというメリットもあるわけだ。

節税目的などではなく、タワーマンションの本来の特徴を理解したうえで、どんな暮らしをしたいのかを考えて住まいを選んでほしいと願うばかりだ。
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/11/121566_main.jpg
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