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Raphael 最後の檜舞台で伝えたかったメッセージ「忘れないで下さい、あなた方もRaphaelの命の恩人です」そして……

Raphael 最後の檜舞台で伝えたかったメッセージ「忘れないで下さい、あなた方もRaphaelの命の恩人です」そして……

 華月(g)の17回忌、メンバー邂逅20周年(結成からは19年)という節目の年を迎えたヴィジュアル系ロックバンド Raphael。今春より最後の全国ツアー【Raphael Live Tour 2016「癒し小屋」】を繰り広げていた彼らが、これまでのすべての活動に決着をつけるラストライブ【Raphael Live 2016「悠久の檜舞台」】をもって解散した。

Raphael 解散ライブ写真一覧

<喜びも悲しみも希望も絶望もすべて「決して死ぬことのない音楽」へ昇華>

 今年4月7日 渋谷TSUTAYA O-EASTでのワンマンライブ(http://bit.ly/27CWPRH)で「少年だった僕の夢は……今年の活動で終わりを迎えます。それと同時に同じ夢を描いた4人が集まって結成されたバンド、Raphaelも終幕を迎えます」と、YUKITO(b)の口から告げられた今回の解散。メジャーデビュー、初の日本武道館、リーダー華月の死、12年にもわたる活動休止期間、賛否両論も巻き起こる中で開催された再演ライブ等々、19年間にわたってメンバーと苦楽を共にしてきたファンが、10月31日 第壱夜 白中夢、11月1日 第弐夜 黒中夢と2daysにわたってZepp Tokyoにて開催されたラストライブに集結した。

 また、同公演には、ANCHANG(SEX MACHINEGUNS)、咲人(NIGHTMARE)、夢人(ベル)、都啓一(Rayflower)、潤(ALvino)、美月(Sadie、The THIRTEEN)、Ommy、Tokky、刻(Black Gene For the Next Scene)と、Raphaelと縁の深いスペシャルゲストも集結、楽曲によって次々と入れ替わる形で登場。巨大なLEDスクリーンをバックにした2階建てステージの上段には、HIROが操縦する大迫力のドラ付きドラムセット、その両サイドにはマニピュレーターとキーボードorストリングスチーム、下段の両サイドは前述の豪華ゲストギタリスト陣がめくるめく形でポジショニング。その中心には、リーダー代理としてRaphaelの看板を背負い続けてきたフロントマンであるYUKI(vo)、その右隣には、同公演をもって音楽活動から引退するYUKITO(b)がデビュー当時の髪型で立つ。そして左隣には、華月のギターと彼のサウンドを響かせるアンプが設置されていた。

 そんな完璧の布陣でラストライブに臨んだ彼らは、Raphaelの全楽曲を計2日間約7時間にわたって余すことなく披露。愛と敬意はもちろん、19年にわたる活動期間の中で背負ってきた喜びも悲しみも希望も絶望もすべて各曲に乗せ、同じくそのすべてを共有してきた同志とも言えるファンと「決して死ぬことのない音楽」を創造していく。

<「悲しいだけで終わらせちゃダメだよ。約束してね」>

 華月の命日でもある10月31日の公演、YUKIは華月が若くして生み出した名曲の数々を歌っていく中でこう語った。「2016年だよ、今。またこうして舞台の上で奏でることが出来て、それを聴いてくれる人たちがこんなにたくさんいて、そして、奏で終わった後に拍手をくれるんだよ? こんなに素晴らしいことってないよね。ヤキモチという意味で本当に悔しいけど、華月は天才だと思います。人の心に刺さる歌詞があって、メロディーがあって……とてもじゃないけど、自分が10代のあの頃に紡げたかと言ったら到底無理だと思うし、何よりも、時を経て今こうして奏でていても色褪せていない。最近作った曲ですと言っても違和感のない耳ざわり……あの頃の華月には、この未来が少しでも見えていたんだろうか? 答えは分からないけれども、今こうして奏でて、そして聴いてもらえる。この現実も正解のひとつだよね。作品がまだ生きているということ。音楽は死なないということ。今日と明日、2日間かけて「音楽は死なない」このキーワードをみんなの心に深く深く刻んでもらえるように、時間の許す限り、この声が枯れるまで全力で奏でていきたいと思います」

 そして「目に見える景色だけが本当の景色じゃない。1人1人の五感をフルに使って、文字通り音を楽しんでいってください。悲しいだけで終わらせちゃダメだよ。約束してね。自分たちの力で文字通りの音楽に辿り着くんだよ。そして、その先をみんなで生きていくんだよ」とメッセージし、その後の音楽もひとつひとつ愛でるように優しくも激しく歌い奏で、本編の最後に披露した「eternal wish~届かぬ君へ~」ではYUKIが華月のギターを抱え、アンプから聴こえくる華月のギターと音を重ねていく。Raphaelの物語を、Raphaelの音楽を悲しみで終わらせない為のセレモニーとも言えた同公演においてそのシーンは、あまりに意味深く、もちろん多くの人が涙を堪えきれずにいたけれど、その音楽に贈られた拍手喝采はとてもポジティブな音色を奏でていたし、Raphaelの音楽は明日へ向かう為の糧として確実に機能していた。

<「生きてるか? ……生きてるかぁぁぁ!?」すべてを届ける意思>

 解散を迎える11月1日の公演、その色合いは更に濃くなった。YUKITOの髪型に限らず、HIROもYUKIも原点回帰を思わせるヘアスタイルにチェンジし、なんと衣装もデビュー当時のものを復活させ、この上ないファンサービスを展開。YUKIが突如堪えきれず涙を溢れさせる場面もあったが、それすらも悲しみで終わらない為の成分として昇華していたし、Raphaelが最後の新曲として生み出した「Ending~華弦の月~」「Love story ~悠久の四重奏~」はもちろんのこと、すべての音楽が恐ろしいほど強烈な生命力に満ち溢れていた。「生きてるか? ……生きてるかぁぁぁ!?」誰もが一切余力を残す気のない、観る者の度肝を抜く全身全霊の演奏を繰り広げ、HIROのドラマー人生を一撃一撃に乗せたと思われるドラムソロも圧巻。さらには、YUKITOがおそらく○パン三世をイメージしたと思われるユパンなるキャラクターに、HIROがおそらく刑事○ロンボをイメージしたと思われる刑事ヒロンボに扮し、ステージ上で追いかけっこをする茶番……ではなく、ここに集まった愛しいファンたちを喜ばせる為のエンターテインメントまで繰り広げてみせる(初日はユパンひとりで楽しそうに歌いながら駆け回っていた)。全曲披露どころか、Raphaelのステージ上で形にしたいもの、ファンが体感したいもののすべてを届けようとする意思の表れは尋常じゃなく、その何もかもが尊く、愛おしいと感じさせた。

<誰の人生も止まらないんだよ。失うものは何もない。
だから勇気を持って、笑って今日はサヨナラしましょう―――>

 「誰かの分まで生きることって、気負いがあってもさ、心意気があってもさ、やっぱり本当は出来ないじゃない。心は一人にひとつしかないし、命は一人にひとつしかないから。だからさ、失ってしまった誰かの分まで生きるんじゃなくて、その人と紡いできた思い出だったり、その人が教えてくれたものと共に生きていくのが一番良いと思うんだよね。悲しみは……多分、一生癒えないと思う。苦しいし、ツラいし、いまだに1年のうちに幾度も幾度も夢を見るし。でもね、少しずつ変化が起こってきて、本当に数年前までは、失ってしまった日のあのシチュエーションばっかりで、うなされて汗だくになって飛び起きることばっかりだったんだけど、最近ね、華月が夢に出てきてくれるときは、結構楽しいのが多いよ。だからね、決定的な何かが必要なのかどうかじゃなくて、きっとね、時間が解決してくれるものは少なからずあるのかなって思うし。そして、避けてばかり、目を背けてばかりでは見ることが出来なかった景色や答え、避けてばかりでは掴むことが出来なかった、心にとって確かなものが必ずあるような気がするんだよね。

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