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ココリコ田中が漂わせる「闇」 『砂の塔』で迫真演技

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 タワーマンションに引っ越してきた主人公家族がさまざまなトラブルに巻き込まれていくサスペンスドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS系)。序盤こそ低視聴率に喘いでいたが、物語が大きく動き始めた第5話、第6話は連続で2桁視聴率をマークした。

 終盤を迎えるにあたりキーマンとなっているのが、ココリコ・田中直樹(45)演じる高野健一だ。高野は菅野美穂(39)演じる主人公・高野亜紀の夫で2児のパパでもあるが、真上の階に住む松嶋菜々子(43)演じる佐々木弓子と過去にただならぬ関係にあり、物語の謎をより一層深めている。

 お笑い芸人がドラマに出ること自体は珍しくなくなっているが、シリアスなドラマでここまで重要な役を任せられる例はそうそうない。しかも田中は、菅野美穂と松嶋菜々子という大物女優の間に違和感なく入り込んでいる。俳優としての田中に、いったいどんな才能や魅力があるのだろうか?

 ドラマ評論家の成馬零一さんは、一見気弱そうな人間を演じる田中だが、その演技の中に一種の「狂気」が宿っていると話す。

「『砂の塔』もそうですが、田中さんは家庭のある役をよく演じています。そして気弱で、女性や会社の上司に振り回される役が多い。見ている側としては、真面目でいい人が痛い目に遭うと『かわいそうだな』と思うところですが、田中さんの役がそういう目に遭ってもそう思えません。むしろコントのように笑えてしまうところもある。それはその役の人間が、決して善人ではないからです。

『砂の塔』の高野も、普段考えていることは凡庸だし、自分から進んで悪いことはしない。でも自分より上の人間から受けた命令ならどんな悪いこともしてしまう“ヤバさ”があります。凡庸さとヤバさは相対するものですが、普通の人にも宿る狂気というものを、田中さんは大きな体や表情、血走った目でうまく表現しています」(成馬零一さん、以下「」内同)

 田中演じる高野は、ローンの返済のために一生懸命働いてはいるが、成績不振で上司からパワハラを受けていた。ここまでは普通の気弱な人間だが、後ろめたさを感じながらも「危ない副業」に手を染めていくところがこの男の闇の部分である。田中のこの「ダークな演技力」は、コントから来ているものだという。

「NHKのコント番組『LIFE!~人生に捧げるコント』で、田中さんがゲスい記者(ゲスニックマガジン西条記者)を演じるネタがありますが、これには田中さんのゲスさが凝縮されています。記者が囲み取材で相手の嫌がる質問を浴びせ続けるというネタですが、こういう、心ない人の役をやらせるとエグい。実はもっと怖い役ができると思います。たとえば怪しい宗教団体の幹部とかをやらせたら、狂気がより一層際立つんじゃないでしょうか」

 トップではなく、幹部。これも田中の適役だという。

「田中さんはお笑い界でも決してトップに立つことはありません。ダウンタウンやウッチャンナンチャンの2番手を進み続ける。虎の威を借りて絶妙な小物感を出しているので、ドラマに出ても、会社など組織の中で映えるのだと思います。人が大勢いる中にいると面白いので、NHKの大河ドラマなんかは合いそうです。2019年の大河はオリンピックがテーマということなので、大きい組織の中で翻弄される役で見てみたいですね。

 田中さんが他の芸人俳優と違うのは、自分の意思がなさそうに見えるところ。板尾創路さんや今田耕司さんなどは自分の意思がありそうに見えてしまいますが、田中さんの場合はそれが見えないので、最後までどっちに付くか分からない。芸人としてもダウンタウンなのか、ウンナンなのか、誰の下に付いているのか分からないところがありますね。『砂の塔』でも、最後に家庭を守るのか、昔の恋人との秘密を守るのか、どっちに転ぶか読めません」

『砂の塔』の結末が読めないのは、田中の演技にも秘密があるのかもしれない。

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