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マイコプラズマ肺炎は大人が感染すると重症化の危険性

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 マイコプラズマは、細胞壁がないので、細菌とは異なり、電子顕微鏡でもキャッチしにくい自己増殖可能なごく小さな病原微生物だ。4年に1度大流行を起こしたので、オリンピック病といわれていた時期もかつてはあったが、2011年、2012年と続けて流行があり、今年も春から感染報告が多く、寒くなるこの時期、10年ぶりに大流行するのでは、と危惧されている。

 発症年齢は5~10歳前後がピークで、幼稚園や小学校などで集団感染することが多いが、その親にあたる20~40代にも発症の山があり、職場で集団感染するケースもある。丸の内トラストタワークリニックの濱本恒男院長の話。

「この時期は風邪やインフルエンザ、細菌による肺炎、咳喘息など咳を主症状とする病気が多く発生します。マイコプラズマ肺炎は、タンが絡まない空咳が長く続き、しかも夜になると症状が激しくなる特徴があります。咳は3~4週間も続き、約25%の患者さんで、肺と肋骨を隔てる胸膜に炎症が起こり、胸痛の症状が見られることがあります」

 マイコプラズマは、咳などによる飛沫感染や手などについた病原微生物が体内に入る接触感染で広がる。インフルエンザに比べると感染力は低く、長時間一緒にいる濃厚接触がないと感染しにくい。

 初期症状としては、38℃程度の発熱や全身倦怠、頭痛などが起こる。熱が下がっても激しい咳が続く。最初はタンが絡まない激しい空咳が続き、その後はタンが混じった咳になる。診断がつく前や症状改善後も、しばらくは感染力があるため、他人にうつしてしまうケースも多い。

 子供はそれほど重い症状にならずに回復することが多いが、大人の感染ではサイトカインを生じ、強い免疫反応で炎症が起こり、肺炎が重症化することもある。また、ごくまれだが、髄膜炎や脳炎、心膜炎などの重篤な合併症が起こることもある。

「マイコプラズマ肺炎の治療は、抗菌薬を用います。マイコプラズマは、細胞壁がないので肺炎などで使う細胞壁ができるのを抑制し、菌を殺すペニシリン系やセフェム系などβ―ラクタム剤が効きません。このため細胞の核酸を破壊するニューキノロン系や細胞の核酸の合成を阻害するテトラサイクリン系、マクロライド系などの抗菌薬を服用する必要があります」(濱本院長)

 マイコプラズマ肺炎の初期は、風邪と症状が似ており、診断がつきにくい。胸部X線画像も、他の肺炎と紛らわしく確定診断が難しい。血液検査によるマイコプラズマ抗体検査は、ペア血清で抗体が4倍以上の上昇を確認する必要があり、1週間程度かかるのが問題だった。

 最近、咽頭ぬぐい液中のマイコプラズマを直接蛍光抗体法により検出する、マイコプラズマ抗原精密測定で短時間判定が可能になった。なにより感染予防はうがい、手洗い、マスク着用が不可欠だ。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2016年11月25日号

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