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『逃げ恥』と『ドキュメント72時間』 放送後の余韻に共通点

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 ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏。今クールで最大の話題作、との評価を固めつつある『逃げ恥』とあるドキュメンタリー番組との共通点に着目した。

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 ガッキーこと新垣結衣主演のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系火曜午後10時)が回を重ねるごとに視聴率をアップさせ注目を集めています。ドラマの最後の“恋ダンス”がまたカワイイ、ムズキュンと話題をかっさらっている最中。

 けれど。ガッキーは好きでも、相手役の星野源がいまいち苦手、という人もいたり。あるいは、ラブコメにはちょっと感情移入できないという人も。そうした方々の受け皿?になっているかもしれない番組がひとつ。密かに、静かに、じわじわと人気の裾野を広げているその番組とは──?

『ドキュメント72時間』(NHK金曜午後10時50分)は、いわば定点観測ドキュメンタリー。一つの場所にカメラを据えて72時間、つまり3日間、そこに訪れた人に話を聞く、という実にシンプルな構成の番組です。

 隠れファンが多い、ということを実感したのは偶然でした。年齢も性別も仕事も違う人々が集った場でたまたま「72時間っていう番組知ってます?」と口にすると、いきなり激しい共感が。

「え、私も!」「僕も見てる」。老若男女が口々に熱い感想を語り始めたのです。こうも人の心を掴んでいる理由は何か? 視聴者はどこに惹かれているのでしょうか?

 番組の舞台は毎回変わります。コインランドリーだったり、定食屋だったり、ゴルフ場だったり。山の上のテント村といった個性的な場所の回もありましたが、たいていは日常的な場所。とりたてて派手な出来事がおこるわけではない。刺激的な内容が語られるわけでもない。平凡な人々。ありふれた風景。どこにでもありそうな「普通」の姿が切り取られていく。

 例えば、「新宿の画材店」にカメラを据えた回。墓参りのついで、という白髪の女性は色鉛筆をじっと見つめている。理由を聞くと「ふらっと立ち寄っただけ。色を見ると楽しくなるから」。

 焼き鳥屋の店長は、白いキャンバスを購入。「夜一人で抽象的な絵を描いています。楽しい。単なる趣味です」

 20歳の男性はスクリーントーンを物色。「ただの紙きれに絵を描くだけで世界が無限に広がっていくのが、すごい」

 団体職員という中年男性は、角材を購入。「空想の町の地図を作っているので。立体的な地図にするため、木片を使おうと」

「普通」の人々の中の、小さなゲイジュツ。一人ひとりの中にある、夢見る姿。とにかく描きたくて、作りたくて、という無垢な情熱。そんなほとばしりが突然、鮮やかにかいま見える時。ドラマではないのに、まさしくドラマチック。

 作られた感動物語ではないのに清々しい気持ちになる。浄化されていくような気持ちになる。「人って捨てたものじゃない」「明日も前向きにいこう」とささやかな勇気をもらう。一つの小さな場所にこだわることで、そこから無限の世界が見えてくる。最後に響く松崎ナオの声。一瞬の温かなシアワセを分かち合おうというメッセージが、歌を通してじわりと余韻を残すのです。

 平凡な生活の中にある一瞬のきらめき。もしかしたら、人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』と『ドキュメント72時間』とは、まったく違うようでいて、どこか重なりあっているかもしれません。

 美男子でもなければモテるわけでもなく、普通に不甲斐なさや不器用な自分を抱えている、星野源演じる津崎平匡というオトコ。実に「普通」そうな人に、視聴者は自分自身を重ねて、その中にドラマを見ている、という意味で。もしかしたらこの2つの番組、両方楽しんでいる視聴者は案外多いのかもしれません。

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